57章 再び
彼が気が付くと、またあの「白い部屋」にいた。
「また、自業自得だな・・・」
彼は手首の包帯を見てそう思っていた。
その日から、彼は考える事を止めた。
自分から積極的に行動を起こす事も止めた。
ただ、日々の日常を惰性で生きていく事に決めた。
「狂人は何も行動してはいけない・・・」
「狂人は人を愛してはいけない・・・」
1年間の入院をへて彼は元の会社へ戻った。
彼は何も考えずに毎日、ひたすら仕事だけをしていた。
やがて、彼は家族や同志達と連絡を断ち切って1人だけの生活を始めた。
彼は他人と親しく接する事をなるべく避ける様にした。
どんな事があっても、彼は孤独で寂しいと感じる事は無かった・・・
「1人で静かに生きていれば誰にも迷惑が掛からない」
と、彼は考えていた。
色々なトラブルで苦しむ事があっても、彼は
「狂人の私は、人を殺しても罪に問われない」
「もしもの時は、相手を殺せば良い」と考える事で全てを解決していた。
後は、ひたすら年月だけが過ぎていった・・・