ミントガムの私... -2ページ目

ミントガムの私...

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「生命は」  吉野 弘


生命は

自分自身では完結できないように

つくられているらしい

花も

めしべとおしべが揃っているだけでは

不十分で

虫や風が訪れて

めしべとおしべを仲立ちする

生命は

その中に欠如を抱き

それを他者から満たしてもらうのだ

世界は多分

他者の総和

しかし

互いに

欠如を満たすなどとは

知りもせず

知らされもせず

ばらまかれている者同士

無関心でいられる間柄

ときに

うとましく思うことさえも許されている間柄

そのように

世界がゆるやかに構成されているのは

なぜ?

花が咲いている

すぐ近くまで

虻の姿をした他者が

光をまとって飛んできている

私も あるとき

誰かのための虻だったろう

あなたも あるとき

私のための風だったかもしれない

「さみしい王女 」  - 金子 みすゞ



つよい王子にすくわれて、
城へかえった、おひめさま

城はむかしの城だけと゛、
薔薇もかわらず咲くけれど、

なぜかさみしいおひめさま、
きょうもお空を眺めてた。

  (魔法つかひいはこわいけど、
  あのはてしないあお空を、
  白くかがやく翅のべて、
  はるかに遠く旅してた、
  小鳥のころがなつかしい。)

街の上には花が飛び、
城に宴はまだつづく。
それもさみしいおひめさま、
ひとり日暮の花園で、
眞紅な薔薇は見も向かず、
お空ばかりを眺めてた。