2018/7/10

松井珠理奈に関する一考察

早稲田大学AKB48G愛好会

幹事長 うっすー

 

1.   はじめに~執筆の動機は何か~

ここまでの事態に発展することは誰も想定していなかったに違いない。先日、2018年6月16日のAKB48世界選抜総選挙において、SKE48の松井珠理奈さんが一位を獲得した。例年ならそのまま選抜されたメンバーたちによる楽曲製作・プロモーションが行われるのだが、今回はそうすんなりと事は運ばなかった。直前のコンサートや開票イベント中、その後の記者会見等での松井さんの一連の言動が各所で物議を醸すことになり、まもなく渦中の本人は表に出てこなくなる。それから約1か月たった7月7日に日本テレビの音楽番組で総選挙の結果を受けて作成された楽曲が初披露されたがそれと同時に松井さんは正式に休養に入ることが発表され当面の間センター不在で活動していくことになった。新曲が正式メンバーで発表できた期間が極端に短い事例というのは過去にもあった(1)が、初披露時点でセンターが不在というのは過去10度にわたるAKB48の総選挙で前代未聞の異常事態である。

この一件を受けて、筆者自身はアイドルとしての松井さんを当分見られなくなることにまず寂しさを感じた。しかし、それと同時にこうなった理由について深く考えてみたいとも思った。たった一つの原因でこのような大事になるとは考えづらい。いくつかの要因が複合しているはずで、それらを解明することに興味が湧いたのである。今回はそういった原因究明とともに今後同様の事態が起こらないための対策、そして我々が今なすべきことについて考えてみたいと思う。筆者自身の推論に依るところも多いが一ファン(2)の私見として読んでいただければ幸いである。

 

(1)  2013年に第5回AKB48選抜総選挙の結果を受けて製作された「恋するフォーチュンクッキー」(同年8月21日発売)は同年6月29日に初披露されたが5位にランクインしていた当時の選抜メンバーの篠田麻里子さんが同年7月22日付でグループから卒業しており、正式なメンバーでパフォーマンスできた期間は1か月に満たなかった。

(2)  筆者自身は松井珠理奈さんではなく、宮脇咲良さんや岡田奈々さんらの方を推している。そのため、なるべく公平な視点で議論するつもりではあるが、一部バイアスのかかった意見になっている可能性があることをご容赦願いたい。

 

2.   事実確認~何が起こったのか~

一連の騒動で発生した出来事について、関連すると思われる事柄も含め改めて時系列に沿って振り返っていく。

1月21日:第10回AKB48選抜総選挙開催発表

3月23日:立候補期間開始、松井珠理奈さんは1番目に立候補

3月27日:立候補期間終了

4月19日:開票イベント開催地がナゴヤドームに決定

5月16日:公式ガイドブック発売、松井さんは1位と予想される(1)

5月29日:投票期間開始

5月30日:速報発表、松井さんは2位(38,943票)

6月14日:松井さん現地入り

6月15日:投票期間終了

6月16日:開票イベント当日

午前→直前コンサート開催、松井さんも出演するが普通でないと感じられる言動が連発(2)、途中過呼吸で倒れる場面(3)もあったが最終的にコンサートは完走

午後→開票イベント開催、松井さんは194,453票を獲得し1位に、しかしイベント中の立ち居振る舞いや記者会見での発言などでおかしいと感じられる点が複数存在(4)

6月17日:個別握手会開催、松井さんも参加するが途中で中止に、その後19日に行われる予定だった生誕祭も延期が発表

6月18日:生放送で行われるメンバー間の討論番組を体調不良として欠席、一方Twitterでは松井さんに対する批判や擁護などのツイートを片っ端からいいね、その後この日のツイートを最後に松井さんのSNS等(5)の更新が止まる

6月19日:総選挙後の記者会見に一部報道規制がかかっていたことが発覚

6月27日:SKE48が「テレ東音楽祭」に出演、新曲「いきなりパンチライン」を披露するが松井さんは出演せず(6)

6月30日:湯浅洋SKE48劇場支配人が松井さんについて言及「もう少々お待ち頂けますでしょうか」

7月04日:「いきなりパンチライン」発売、前後して行われたプロモーション活動(7)でも松井さんは姿を見せず

7月07日:「THE MUSIC DAY 伝えたい歌」にて総選挙の結果を受けてのAKB48の新曲「センチメンタルトレイン」が初披露されたが松井さんは出演せず(8)、同日正式に休養することが発表、レギュラーで出演していた企画(9)も降板することに

 

(1)  その他の順位予想でも松井さんを1位に推す意見は多かった。

(2)  奇声や無駄絡み(煽りのつもり?)、宮脇さんに対してステージ上で「もっとちゃんと踊って」と叱責、BNKのメンバーがしゃべる際伊豆田里奈さんが通訳するはずのところを「自分で日本語しゃべって」と流れを無視した発言、「ヘビーローテーション」でスタンドマイクを独り占め、など。

(3)  歌とダンスでただでさえ息が上がっている中、花道を全力疾走して自分の推し席(松井さんのファンが集中している客席エリア)の前へ行ったところ、感情が高ぶり過ぎて号泣、結果過呼吸となりまともにパフォーマンスできず、一度抱きかかえられて退場した。

(4)  順位発表中頻繁に席を立ち野次る、ステージ上で宮脇さんに対し「ライバルになってくれてありがとう」と発言するも直後の記者会見で「SKEの中にしかライバルはいない」と矛盾した回答をする、司会の徳光さんから「1位の椅子に座って」と急かされるも無視、延々しゃべった後しめようとしたら「まだ椅子座ってない」と駄々をこねる、など。

(5)  Twitter、Instagram、SHOROOM、755、Google+、SKE48オフィシャルブログ、Amebaブログ、モバイルメール。

(6)  松井さんのポジションはいずれもアンダー(代役)がたてられた。

(7)  イベント、メディア出演など。

(8)  アンダーはたてられず、トロフィーのみが出るという演出がなされた。

(9)  韓国との共同企画「PRODUCE48」。

 

3.   原因分析~なぜこうなってしまったのか~

ここでは(A)直前コンサート、開票イベントでの言動と(B)正式な休養期間入りについてそれぞれ①直接的要因と②間接的要因に分けて考える。

A-①

・強烈なプレッシャー

そもそもの事の発端となった彼女のコンサートでの言動は、この総選挙に際して松井さんが感じていた強烈なプレッシャーに依るものだと考えられる。松井さん自身が1位にならなければいけないと感じたであろう理由がいくつもあったからである。これらについては間接的要因として後述するが、松井さんは「不器用で真っ直ぐすぎる」とも評されており、その言葉通りこれら全てを背負い込んで臨もうとしていたとするならば、それを処理しきれず言動にも影響を与えたと考えられる。

・プライドと責任感

松井さんは2008年のデビュー以来現在まで10年近くの長きに渡ってずっとSKE48やAKB48の主要メンバーとして第一線で活躍を続けてきた。偉大な先輩方の背中も間近で見てきたし、グループ全体の盛衰も肌で感じていたことだろう。そして自分が一番努力している自信を持ち、今の48グループをどうにかしなければならないと感じていたとしても不思議ではない。そうした彼女の熱意がステージ上でのああいった言動につながったものだと思われる。

A-②

・総選挙に勝たなければならない理由

選挙前の下馬評の時点で松井さんは1位候補として最有力であった。歴代の1位経験者が総選挙の舞台を降りており、誰がなっても初めての1位という状況で最も近い位置にいたのが松井さんというのは誰しも感じていたと思う。加えて今回の開票イベントの開催場所は松井さんの所属するSKEの本拠地名古屋であり、それ故地元ファンが気合を入れて投票に臨んでいた。ここまで期待をかけられていればなんとしても勝つのだと考えるのは当然であろう。

・事実上の保護者不在

筆者が現地で見て松井さんに対して抱いた印象というのは「良くも悪くも子どもっぽい」ということであった。年齢相応に成長できていないようにすら感じられ、そうなったことの要因として保護者がいなかったということが考えられる。今現在の48グループで松井さんより上に立てる人はほとんど存在しない。同期のSKE1期生はいまや松井さん一人だけであり、松井さんより先輩のAKBメンバーもかなり減っている。一応松井さんはエースではあるが役職にはついておらず、本来所属するグループやチームのリーダー・キャプテンが監督すべきである。しかし該当メンバーはいずれも松井さんより後輩かつ人気・実力も松井さんの方が上という状況のため、松井さんに対して強く出ることはできなかっただろう。そうなると運営がしっかりと管理しなければならないのだが、人気も実力もトップクラスでグループの人気を担う中心人物ともなると甘やかしてしまうところがあったと思われる。こうなってしまうと誰も松井さんを止められないし松井さん自身も増長する。プライドが高くなるだけでなく自分が何とかしなければならないという責任感を必要以上に持ったことも考えられる。

B-①

・予想以上の批判の声

松井さんはこれまでにもアンチからの批判を受けることはあり、ある程度は批判されることも覚悟していただろう。だが、ここまで批判されることは考えてもいなかっただろう。それも味方だと信じていた自分のファンの中にも松井さんに失望する人まで現れる始末である。松井さん自身は一連の言動に対して悪意があったとは考えにくい。「良かれと思って」やったはずが、結果は全くの裏目に出てしまい相当なショックを受けたに違いない。それが表に出てこられなくなるほどの恐怖に変わったとなれば、休養期間に入る事態になるのは当然の帰結である。

B-②

・誤解や拡大解釈

今も昔も噂話には尾ひれがついて回るものである。今回も情報が拡散していく中で、情報がうまく伝わらずに誤解や拡大解釈を招いたことが一層批判の声が高まった原因として考えられる。例えば宮脇さんが開票イベント後の写真撮影を欠席したことについて、一部メディアがステージ上での松井さんからの叱責が原因と報じたが、その場にいた他の記者の記事によると、確かに叱責の件について言及はしたもののそれは罰の質問に対する回答の中で発せられた言葉であり、ニュアンスも異なっていたという。だが情報の比較検討をせずに真に受けた人はこれに激情してバッシングをしているものと思われる。これ以外にも真意を理解しようとせずに表面的な行動だけで松井さんを批判してしまっているものもあり、それらの批判の声を見た事情をよく知らない外野の人間がそれに乗っかっていったことにより、収拾がつかなくなってしまったのではないだろうか。

・自身による拡散

松井さんはTwitter上で自信を擁護するツイートだけでなく批判的意見に対しても「いいね」をしている。結果的にこれは火に油を注ぐ行動になってしまった。現在のTwitterの機能ではフォローしている人が「いいね」をしたツイートがタイムライン上に表示されるようになっている。つまり自分で自分の騒動を拡散しているわけで、26万近いフォロワーを持つ松井さんがそんなことをすれば多大な影響を及ぼすことになる。騒動を拡げる一因となったのは間違いない。

 

4.   責任所在~誰のせいなのか~

・松井さん本人

要するに「そもそもあなたがこういうことをしなければこんなことには…」という話である。どういう意図があったにせよ結果として自分が起こした行動がもとで騒動を起こしているわけで、行動主体である松井さん本人にその責任は発生している。ステージ上での行動は良かれと思っての行動であろうから情状酌量の余地があるとしても、終了後の発言の場ではもっと他にも上手い表現方法があっただろうし、批判意見まで「いいね」したことについては完全に松井さんの過失である。全てが全て松井さんのせいではないが、反省すべきところはある。

・管理者

松井さんはSKE48及び48グループという組織の一員であり、組織の構成員の行動については管理者についても責任が発生する。すなわちSKE48や48グループの運営、SKE48キャプテンの斉藤真木子さん、チームSリーダーの北川綾巴さん、そして48グループ総監督の横山由依さんである。いかに松井さんが高い人気や実力を持っていたとしても、組織の一員である以上管理者はしっかりと監督しなければならない。今回の「暴走」を止められなかったことについて、関係する管理者はその責任が問われることになる。

・メディア

各メディアとしては今回の事態は格好のネタになったのは間違いない。報道することそれ自体は何の問題もないし記者たちは善意で報道していると信じたいのだが、仮に結論ありきで真意と異なる記事を書いていたとなれば受け手の誤解を招いており、その責任は重い。

・松井さんに対して意見を発した全ての人

松井さんが精神的に極限状態であったとすると擁護意見ですら松井さんを追い込んでいたことが考えられる。そうなると「良かれと思って」意見したものも責任があることになる。さすがにそれは考え過ぎだと思いたいが。もっとも、本人に対して直接暴言を送りつけている輩は完全にアウトである。どういう理由であれ、直に暴言を吐くのは人としてやってはいけない行為であり、その行為に及んだ者の責任はここまで述べてきた人たちの中で最も大きいといえる。

 

結局のところ本人を含め「松井珠理奈に関わった全ての人」に今回の責任があるといえる。だから誰か一人が責任を被らなければならないものでもないし、背負いきれるものでもない。誰も悪くないがみんな悪いのである。

 

5.   再発防止~今後どういう対策を取るべきか~

今回のようなことが起きないようにするには大きく分けて2つ対策が必要と考えられる。一つは管理体制の強化、もう一つはバッシングに対する速やかな対応である。

管理体制の強化は松井さんに対して管理者の立場にある人がしっかりと強気で管理することである。勝手な行動をとるなら毅然と注意し、増長させないようにする必要がある。

バッシングに対しては事態が長引く前に収拾をつける必要がある。今回はバッシングへの対応がほとんどされなかったため、現在でも松井さんのリプライは言われたい放題の状況であり、これが続けば休養期間が長引くことにもつながる。善意のもと根拠を明示した改善提案については聞く耳をもつべきであるが、そうでない感情的な非難についてはやめさせた方が良い。泥沼化する前に手を打つべきである。

総じて求められるのは「強気の対応」である。

 

6.   おわりに~我々が今できることは何か~

総選挙はすでに終了し、結果の公正さも保証されている。そして松井さんは休養期間に入ることが正式に発表され当面はその状態でいることも決まった。この現状についてはもはや動かしようがなく、これ以上あれこれ議論をしてもどうにもならない。とすると今の我々にできることは松井珠理奈という一人のアイドルが再び表舞台に立ちみんなを笑顔にする日が来ることを祈り待ち望むだけである。現状からさらに事態が悪化することがあるとすれば、それはこのまま松井さんが復帰せずにグループを離脱、芸能界まで引退してしまう事態である。アイドルとしての松井さんの実力は確かなものであり、それをここで失ってしまうのはあまりにも惜しい。そうならないためにも、これ以上の不毛な議論は終わりにして急かすことなく復帰を待とうではないか。今回、デビュー以来ずっと最前線で活躍してきた松井さんにとっては初めて、最悪な経緯ではあるがまとまった時間の休みが取れたことになる。これを機会にゆっくりと休んで頂き、いつかその時が来たらまた前みたいに私たちを笑顔にして欲しい。焦る必要はない、我々はいつまでも待っている。

 

本書について事実誤認・重大な錯誤がある場合には根拠を明示の上筆者(@various_wotaku)までご一報ください。