ふと、iPodで聴いたブラジルのカエターノ・ヴェローソ。
この巨匠の歌を聴くと恋心とか情熱とか運命とか、ロマンティックなものが自分の中でたぎりだす^^
身もだえするほど甘美な告白の歌「ヴォセ・エ・リンダ」。
恋人を待ち焦がれて死んでしまった男が、ハトに姿を変えて泣いている歌「ククルクク・パロマ」。
体全体が恋をしている、魂から悲しんでいる、運命が燃えている、そんな情景が浮かぶ。
こういうのを『サウダージ』と言うんじゃないかなー、と思ったりする。
韓国の優れた芸術には『ハン』があると言うけど、同じようにブラジルには『サウダージ』があると言えるのかも。
この『ハン』の精神も独特で、諸説に共通してるのは...
「世代を超えて積もり積もった挫折感でありながら、なお生きる力ともなり得る哀しみ。解くべき感情的なしこり。」
というふうにまとめられると思うんだけど。このへんはむずかしい。
日本の『もののあはれ』とか、フランスの『エスプリ』?とか、一言では説明できないし、他国語に訳すのも難しいみたいだけど、その国固有の、その国の人なら感覚的に「分かるかも」っていう心の動き…
『サウダージ』も、懐かしさ、未練、愛惜、郷愁、孤愁、憧憬と書かれてる。けど、その後には「いずれの訳語もサウダージの表す多面体的な意味のいづれかの面に対応するものであって、それが持つ意味の総体を示す訳語ではない」と付け加えられる。
カエターノの表現もやっぱ日本の感覚からすると異国!って感じで、旅情もたぎってくる。
カエターノは色々たぎらせてくれる。
たぎりたければカエターノを聴けばいい^ ^
「ドレス一枚と愛ひとつ」という美しい曲がある。
未練を残したまま別れてしまった恋人を、遠くマドリッドで偶然見かけてしまう男。
彼女はテーブルに敷き詰める花を集めていた。
もう何を言おうと手遅れだと分かっていても、男は苦しむ。
自分が見たのは、天使なのか赤い宝石なのか、それとも君だったのか?
星々が微笑んだのか、宇宙の調和が乱れたのか、それともただ君を見ただけなのか?
ロマンティックが爆発してる^^
un vestido y un amor en vivo(ドレス一枚と愛ひとつ)/カエターノ・ヴェローソ