━━━ガシャンッ………
「…ぁあ」
また、落とした。
最近スランプ気味の私。
個人種目の走高跳が、思うように跳べない。
今までは跳べた高さにあったバーが、
今ではとても怖い。
なんでだろう。
ちゃんと練習もしてるのに…。
先程落としてしまったバーを持ちながら、マットに腰掛け、失敗の要因を考えていたら。
「おーい、どーした?」
「…まーくん」
休憩中なのだろうか。
相葉先輩がタオルを首にかけて汗を拭いながら、私の目の前に立った。
「なに?跳べないの?
……そーんな顔すんなって!
お前ならイケるよ!!」
「………うん。
ありが「あ!!もう行かなきゃ!!」
弾けるような笑顔でそう元気づけてくれた先輩にお礼を言おうと思ったら、
休憩時間が終わりになったことに気づいたのかマネージャーのいる方向へと走って戻っていった。
「……ふふふ。ありがと、まーくん」
なんか元気になった。
けど、何が原因で跳べないのかが分からないままだ。
なんで跳べないんだろう。
やっぱりハイジャンは向いてないんかなぁ…。
「あーずき。
何、下向いてるんですか?」
「あ、かず先輩。
最近ちょっと調子悪くて…絶賛悩み中です」
さっき言ってたマネージャーの二宮先輩。
まぁマネージャーって言っても、
選手として試合出れちゃうくらい実力はあるんだけど。
「そうなんですか…。
まぁクリアランスとか踏込みが問題ならビデオ貸してもいいですけど。
そういう問題じゃなさそうですもんね。
あ、潤くんが終わってる。
じゃあ頑張ってくださいね」
「はい。ありがとうございます…」
かず先輩は含み笑いをしながら松本先輩の元へ小走りで向かった。
「…え?
そう言う問題じゃない?
どゆこと?」
余計に分からなくなった。
今、跳べないのはフォームに問題があるからじゃないの?
あぁー!!もう!!
かず先輩、かき乱すだけかき乱して放置ですかーーー!!!
「…どした?」
「わお。松潤先輩。
今日もリアルですね(笑)」
彫刻みたいな、むしろそれ以上の顔を持つ松潤先輩。
チャラチャラしてそうなのに、実はすっごい努力家。
「リアルって言うな(笑)
…で?なんかあった?
死にそうな顔、してっけど」
「んー…最近思うように跳べなくて。
クリアランスの問題かなって思ってたんですけど、
かず先輩にはそれが問題じゃないって言われて……
ちょっと今、混乱してます」
「あー…うん。確かにね。
原因は技術じゃないと思うよ。
でも俺たちが分かってもあずきがわかんなきゃ意味ないもんね」
リアルな顔でそう言う松潤先輩。
「はぁ…」
余計分からなくなった。
「まぁ、よく考えなよ。
俺、戻るね」
「ありがとうございました…」
技術じゃないの…?
あーもうわかんない。
「…つっかれたぁー!!」
ボフッ……
「わぁ!!翔先輩。
お疲れ様です」
私が座っている隣にダイブしたのは翔先輩。
短距離専門だけど………結果はイマイチ(笑)
でも誰よりも頑張って練習してるひと。
「めっちゃ疲れたー。
ニノ、ビルドやらすんだもん。
俺苦手なのにさー。
……あ、智くんも終わったみたい。
さーとーしーくーん!」
「おー。翔ちゃん、終わったの?」
こっちに走りながら近づいてくるのは智先輩。
私と同じくらいの身長で顔はちょっと中性的。
「いちおーね。
智くんは何やったの?」
「んーとね、30分間走」
「え?そんだけ?」
「うん」
「ウソだろ~。
ニノって智くんには甘いよなぁ~」
そう言いながら私に笑いかける。
「かず先輩、智先輩のこと大好きですもんね」
「ふふふ」
柔和な微笑みを浮かべる智先輩。
………あー、だめだ。
私、この人の笑顔苦手だわ。
引き込まれそうで怖くなる。
なんて言うか…胸がざわつく?
なんでだろう?
笑顔見てこんなんなるって…どゆこと?
…なんてこと考えてると。
「ニノから聞いたけど、
最近跳べないんだって?」
「はい…。
翔先輩はそう言うこと、ないんですか?」
「おれ?
俺は毎日がスランプだからね(笑)」
「………それ、私も笑っていいんですか」
「いや、傷つくからやめて欲しいかな(笑)
智くんはどう?」
「おれ~?
おれはあんまり変わんないよ」
「いや、だって大会出る度にタイム上がってるじゃん。
てかさ、走ってるときって何考えてるの?」
「ん~…無、かな」
「無………よし、俺もやってみよう」
真面目な顔で頷き、走って去っていった翔先輩。
「………」
「…………」
「……まぁ、頑張って」
智先輩は小さな声でそう言ってかず先輩の元へ。
「あ、ありがとう、ございます…」
同じく小さな声で呟いた私は智先輩の背から視線を外せないでいた。
*・゜゚・*:.。..。.:*・'・*:.。. .。.:*・゜゚・*
「あはは。もう真っ暗…」
昼間あれほどグラウンドをあたためていた太陽も、既に沈んでいる。
明日は男子が跳ぶから片付けなくてもいいって言われちゃったから、
遅くまで練習しちゃった。
だいぶ遅いからちゃり置き場にも誰も人いないし…………って、あれ?誰かいる?
「…お疲れ~」
「……さとしせんぱい」
「遅いよ~。
待ってたんだから」
「…すみません」
「嘘(笑)
顧問に呼び出されてたから。
たまたま遅くなっただけなんだけどね」
「それは…ご苦労様です」
「うん。ありがと。
……あのさ、ずっと思ってたけど、
そんなにも頑張んなくていいよ」
「……え?」
「いや、皆の期待にこたえようとしてるじゃん。
自然でいいよ。
自分の好きなように、跳んじゃえばいいと思う……ってことだけ言おうと思って」
そう言ってふにゃっと笑った智先輩。
……また、だ。
ふんわりとした優しい笑顔。
引き込まれそうになる、あの笑顔。
でも、今度こそあの胸のざわつきの意味が分かった。
吸い込まれそうで怖かったわけじゃないってことも、
今、やっと分かった。
*・゜゚・*:.。..。.:*・'・*:.。. .。.:*・゜゚・*
「で、昨日は一緒に帰ったんですか?」
「…帰ったよ」
「えーなになに?」
「いやね、
この人、昨日の練習の後待ち人してたらしいんですよ」
「うっそ。
だって昨日の夜、
智くんの大好きな釣り番組やってたじゃん!!」
「…録画、した」
「むしろ録画してまで釣り番組を見たいんだね(笑)
で、昨日一緒に帰って?」
「「「「帰って?」」」」
「……す、好きって」
「「「「ひゅーーーーーー!!!!」」」」
「言えなかったんだけど」
「えーーー」
「言えなかったんかい!!」
「マジかー。超盛り上がったのにー」
「…今度の日曜、遊ぶことになった」
「…………」
「マジ?
リーダーやるじゃん」
「なんかわかんねーけど、
頑張ってね!!」
「頑張ってくださいね。
…相葉さん、何も知らずに会話についてきてたんですか」
「さすが相葉くん(笑)
でもホント智くん、よかったね」
「…ふふふ。頑張る。
デート、どこがいいかなぁ。
月島川?永代公園?京浜運河?」
「…まさかアナタ、釣りに行こうとしてます?」
「うん。ダメ?」
「「「「ダメ。やめときなさい」」」」
*・゜゚・*:.。..。.:*・'・*:.。. .。.:*・゜゚・*
いえーい。
駄作ファンタジー第二弾。
今回はピュアにしました。
そして私、気づきました。
自分は腐しか書けない…orz
あとね、実は今日私の誕生日なんです。
無事18歳になりました!!
(小声)
おわり