ここ数日、仕事をしていない時間はこの一件のことばかりを考えていた。
僕が生まれてすぐ離れ離れになり、思い出も何も無い。そんな間柄ではあるが
誰よりも近い実の親子で、今までは「生きていればいつか会える」そう信じていた。

そう信じていたのが、今日確信に変わった。思い出話として聞かされていたことは
あくまで他人の思い出を聞いていただけだった。
今日初めて僕はメールを読むことで父親との思い出が出来たのだ。
生まれて初めてのことで涙が出た。何が嬉しいのか悲しいのかも解らない。
初めての感情にただ身を任せるしかできなかった。

僕はそう長くは無いメール本文を何度も読み返し、行間を読みそしてどのような人物か
想像を巡らせた。これから父の何を知ったとしても、僕にとって掛け替えのない父であることは変わらない。

そしてそれは父にとっても。

僕は少し達観しているというか、子供の頃からあまり長生きしたいとは思っていなかった。
けれど、初めて長生きも良いかなと思っている。この歳になるまでに死んでしまっていたら
父には会えなかったのだから。親子の思い出が無いのならこれから作っていけばいい。

父は決して楽な人生ではなかったようだったが、僕が息子でよかったと思えてもらえたら最高だ。