ゾロ目ウィッチ(ケイオスカルティスト)vsブレイヴローズ(オーロック)
絶体絶命

 この日、"ブレイヴローズ"の鉱石集積拠点が謎の集団による襲撃を受けた。良好とは言い難い装備品を手にした集団、当初それは無秩序なハイヴの屑(スカム)達の捨て鉢な憂さ晴らし程度にしか認識されていなかった。


 しかし数人を撃退して尚止むことのない攻撃にブレイヴローズ側が不信感を抱いたのは、襲撃者の正体が明らかになったのとほぼ同じタイミングであった。彼らが掲げる旗に描かれていたのは"二重円に不均等な8本の矢"と"3つ髑髏"。すなわち帝国の敵たる混沌神の信徒達、ケイオスカルティストであった。

 尋常の襲撃ではない事が判明するや否や、ブレイヴローズはドアロックとバリケードをかき集め即席の防衛陣地を構築した。有利な地形での戦闘で、出血を強い攻撃を断念させる事を企図したのだ。
 

 

 しかし彼は、襲撃者の数と混沌への狂信を見誤っていた。いかに装備が劣悪であったとしても、死を恐れずに多方面から雲霞の如くおしよせる襲撃者を相手に、予想より遥かに厳しい戦いを強いられた。
 

 積み重なる負傷者を前に、ブレイヴローズが拠点の放棄を検討し始めたその時、一人の狂信者の放った弾丸が不運にも戦闘に巻き込まれた少女に命中した。彼女はかつてブレイヴローズのリーダーが、ラストタウン・ランで得た賞品を叩きつけ身受けした少女であった。
 部下に死守命令を下した彼は銃弾飛び交う中、パワーソードを片手にバリケードから飛び出し狂信者の戦列に切り込んだ。これにはさしもの狂信者と言えど、攻撃続行は困難となった。彼らの戦意と数はほとんど無尽蔵であったが、ごく短時間の戦闘で妖術師を含む数人が打ち倒された事により後続との連携が崩されたからであった。
 

 その間を縫って、ブレイヴローズは拠点からの撤収を成功させた。多数の負傷者を出しつつも、彼らは集積された鉱石の大半を搬出したのである。一方、攻撃側のカルティスト達は遺棄された物資から利益を得た。そして何より、その狂信的な戦闘ぶりは新たなハイヴの恐怖として瞬く間に流布された。



名声の変化
ゾロ目ウィッチ:6(5:レート差、1:対戦相手のギャングと初めて戦った)
ブレイヴローズ:1(1:対戦相手のギャングと初めて戦った、0:サイクル戦闘数上限)

アイアンブラッドブラザーズ(ゴライアス)vsタイガース(オーロック)
ガントレット



 ラストタウン・ラン、ランナー(攻撃側)はゴライアス家の"アイアンブラッドブラザーズ"、ハンター(防御側)は"タイガース"だった。出走前、アイアンブラッドブラザーズに賭けたハイヴ住人は多くなかった。


 確かにゴライアス家のギャンガーの強靭さは全アンダーハイヴ住人の知るところである。しかし、不安定な足場を乗り越えつつ、オーロック家の防御陣地を突破するには至らないだろうと、大勢の者がそう予測していたのである。
 

 結論から言えば、この予想は大いに裏切られる結果となった。アイアンブラッドブラザーズは、抗争の舞台がセクターメカニクスに移ったのを機にグラップネルランチャーを大量に購入していた。出走直後、リーダー"鉄喰い"オッカのグレネードランチャーによる火力支援の下、アイアンブラッドブラザーズの"空飛ぶ巨人(ゴライアス)達"は次々と対岸に着地していった。
 

 予想外の接近を許したタイガースは混乱の極みに達した。それでも、リーダーのチャオは着地を狙い梱包爆薬による爆破攻撃を敢行した。しかし、ここに来てゴライアス・ギャンガーの強靭さが遺憾なく発揮された。アイアンブラッドブラザーズのミーガは爆風を物ともせずに突進し、チャオを殴り飛ばし気絶させるに至らしめた。
 

 

 タイガースは算を乱し急速に撤退を開始した。混乱の中、タイガースのジュヴ、リーがフラグトラップを抱えアイアンブラッドブラザーズを巻き込み自爆的攻撃を行ったものの、これも大した損害を与える事が出来なかった。それを最後にタイガースは撤退。"空飛ぶ巨人達"はレースに新たなる伝説を刻み付けた。

名声の変化
アイアンブラッドブラザーズ:4(1:ラストタウン・ランに参加、3:目標奪取)
タイガース:2(1:ラストタウン・ランに参加、1:対戦相手のギャングと初めて戦った)
 

ゲーハー団(ゴライアス)vsブレイヴローズ(オーロック)
待ち伏せ

 先の抗争以来"ゲーハー団"のリーダー、テンチョは"ブレイヴローズ"に対する報復の機会を探っていた。そしてその機会は、ハイヴ坑道を探索中のブレイヴローズの存在を先んじて察知した事により、思いの外早く訪れる事となった。


 

 突如通路の扉が開かれた時、ブレイヴローズも警戒に当たってはいたもののゲーハー団の飽和攻撃を受けて無事ではいられなかった。リーダーのユリウスを護衛していたギャンガーが重傷を負う事となった。
 

 だがゲーハー団側は深追いを避けた。確かにブレイヴローズに一撃を加える事に成功はした。しかしながら、このまま消耗戦に至った場合、反撃を免れ得ない事はテンチョも承知であった。事実、バリケードを挟んで飛来するブレイヴローズの火砲は強力であった。一方、ブレイヴローズもこれ以上の損害を嫌った。ここに双方が継戦を避ける"奇妙な戦い"がしばし続いた後、ブレイヴローズは撤退した。
 実際の戦いはどうであれゲーハー団は二度、ブレイヴローズに挑戦を叩きつけた事によりその威信を高める結果となった。

名声の変化
ゲーハー団:6(レート差)
ブレイヴローズ:0(0:サイクル戦闘数上限規定)

広能組(ゴライアス)vsゲーハー団(ゴライアス)
遭遇戦(ジンギナキタタカイ)

「吾楯之堅、莫能陷也。又譽其矛曰、吾矛之利、於物無不陷也。或曰、以子之矛、陷子之楯何如。其人弗能應也。」


<神聖なるテラ>の古き伝承斯く語りき。しかしアンダーハイヴの住人達にとっては無意味な警句である。「強い奴が勝つ、勝った奴が強い」のだから。いわんや、ゴライアス家の人間においてをや。


ゴライアス家の"広能組"と"ゲーハー団"がハイヴ通路内で接触したのはほんの偶然であった。他のファミリー同士であれば、衝突を避けるという選択肢も有り得ただろう。無論、彼らにそのような解決など有り得ない。抗争に発展するまでに幾何の時間も必要としなかった。

 


広能組とゲーハー団双方の榴弾と散弾が飛び交った。ハイヴの最も獰猛なギャング達でさえ近づく事すら出来ない地獄の釜の中で、ゴライアス家のギャング達は壮絶な戦闘を続けた。側路ではゲーハー団のリーダー、テンチョと広能組のギャンガーが殴り合いを繰り広げた。

何より恐ろしいのはこれほどの戦いにもかかわらず、双方共に決め手を欠いていたという事であった。

 


 

結果、弾という弾を撃ち尽くし手あたり次第の殴り合いを行ったと伝えられる戦闘は自然な休戦によって幕を閉じた。

後に戦場漁りに訪れたハイヴ住人達は抗争の凄惨ぶりを見て双方に多数の死傷者が出たと噂して回った。しかし実際には双方が負傷者を回収し、領地へと帰った時には重傷者でさえ僅かであった。