http://japanese.engadget.com/2010/06/01/d8-jobs-interview/
現在進行中のD8 より、スティーブ・ジョブズ インタビューの速報を抄訳でお届けします。聞き手はDカンファレンス主催側の大御所テクノロジージャーナリスト Walt Mossberg 氏とKara Swisher 氏。話題はアップルの時価総額 マイクロソフト越えに始まって Flash 騒動、アップル製品の多くを製造する Foxconnの工場で従業員自殺が続いている問題、警察沙汰になった iPhone プロトタイプ流出、アップルと対決姿勢を強めるGoogleについて、iPhone / iPad の設計思想 ( 「タブレットOSが先であとから携帯電話に使うことを思いついた」)、電子出版と紙出版、タブレットとPCの未来、巨大なApp Storeの拒否権を持つ責任、ジョブズの次の10年、ソーシャルネットワーク時代のプライバシーなどなど。
追記:リンク、写真を追加。米国内事情など省略していた2問ほどを追加。訳文の加筆・訂正。
時価総額でマイクロソフトを超えたことについて。
なんだかシュールだった。(アップル復帰当時について振られて) 倒産まで90日の崖っぷちだった。優秀な人材はみな去ってしまったと思ったが、そうではなかった。「なぜアップルに残ってるんだ?」と言ったよ (笑い)。答えは、アップルを信じているから。この場所が象徴するものを愛している。
Flashについて。採用しない理由を述べた手紙を公開したが、仮に書いてあることがすべて真実だったとしても、バッサリ切り捨てることは消費者にとって最善、あるいはフェアなことか?
二つの点について。アップルはほかの企業のようにリソースがあるわけではない。未来がある技術を選んで採用する必要がある。技術は移り変わるもので、最盛期を過ぎれば墓場行きだ。賢く選ぶことで、膨大な労力を節約できる。アップルはこの判断をしてきた歴史がある。iMacの3.5インチフロッピー。シリアル・パラレルポートを廃止した。初めてUSBを見たのは iMacでだろう。MacBook Air では、真っ先に光学ドライブをなくしたメーカーのひとつになった。こうしたことをすると、ときにクレージーと呼ばれる。勝ち馬がどれか選ばなねばならない時がある。Flashは栄えたようだが衰えつつあり、これからはHTML5だろう。
Flashを採用しているスマートフォンなどない。(これから出荷予定と指摘されて) 2、3年前から「これから」と言われつづけてきた。一方でHTML5は普及しようとしている。
しかし消費者にとっては?
気付くとは思わないが......
サイトに穴が空いてること以外は。
そうした穴は塞がれつつあるし、ほとんどは広告だ。
Flashは開発環境でもあるが?
昔はHyperCardのほうがもっと人気だった。(Flashほどじゃなかっただろ!とモスバーグのつっこみ)。まあ、最盛期には...... (会場バカ受け)。
アップルの目標はシンプル。単に技術について判断したにすぎない。Flash対応に労力を割くことはないだろう。Adobeにもっとましな(Flash Playerを) 見せてくれといったが、一度も満足できるものはなかった。それなのに iPadを出荷したとたんにまるで大事のように騒ぎはじめた。それがFlashについての書簡を公開した理由だ。もう十分だ、Adobeがわれわれを誹謗するのは聞き飽きたというために。
もし市場の声が、「おーい、こっちにとっては大事なんだよ」だったら? Flashで書かれた優れたものもある。もし市場がそれを欲しがったら?もしユーザーが、iPadは不自由で制約があると言いだしたら?
ひとつの製品には良い点も悪い点もある。もしわれわれの判断が間違っていると市場が教えるなら、それは改善する。ただ素晴らしい製品を作ろうとしているだけだ。(......) うまくゆけば売れる、そうでなければ売れない。そしていわせてもらえば、 iPadは大人気のようだ (会場湧く、拍手)。
最近、面識のないユーザーからのメールに頻繁に答えているのはなぜ?
(ゴシップサイトのValleywagにもメールしたと言われて) ジャーナリストだと名のらなかったんだよ。遅くまで仕事をしていたら、その男が不愉快なメールを送ってきはじめた。だからびしっと言ってやろうとした。それでまんまと公開されてしまった。
流出したiPhoneプロトタイプについて。金でスクープを買う小切手ジャーナリズムには賛否がある。一方で、警察は捜査令状もなくコンピューターを押収した。大変なことだ。少なくともわたしのPCには、誰にも触れさせたくないものがたくさん入っている。警察はあのジャーナリストの資産を押収して......
あの男の。ジャーナリストといえたものかどうか。
この問題については?
警察の捜査が続いている。いえることは、製品を開発するにはテストをする必要があり、社内から外に持ち出さざるを得ない。問題のiPhoneを持っていたアップル社員がバーで本当に紛失したのか、バッグから盗まれたのかは議論がある。iPhoneを手に入れた人物は Engadget や Gizmodoに売ろうとした。その人物はルームメイトのコンピュータに問題の電話を接続した。証拠を消そうとしたが、ルームメイトが警察に通報した。盗難あり、盗品売買あり、強請りまで出てくる大したストーリーだ。きっとセックスシーンもあるんだろう (会場笑い)。この事件は地方検事が扱っており、わたしの知るかぎりでは、(押収品から) この事件に関連するもの以外には触れないようにさせる責任者が任命されている。最終的にどうなるかは分からない。
Foxconnについて。
真剣に対応している。あらゆる面から調査を進めている。言えることは、Foxconnは従業員を搾取しているsweatshopではない。従業員40万人でレストランも映画館もある巨大な工場都市。自殺や自殺未遂があったのは事実。米国の自殺率より少ないが、それでも困ったことだ。パロアルトでも、模倣で自殺が連鎖する問題があった。スタッフが現地で把握しようと力を尽くしているが、難しい状況だ。
プラットフォームについて。あなた(jobs)はキャリアのほとんどをマイクロソフトとのプラットフォーム戦争に費やしてきたが、結局は負けた。しかしスマートフォンという新しいプラットフォームでは、アップルは非常に成功している。そしてタブレット市場も始まろうとしている。一方でGoogleは Android や Chrome OSというプラットフォームを開発しており、またFacebookのようなソーシャルプラットフォームも巨大になっている。われわれ(聞き手) からすれば、これはプラットフォーム戦争だ。この見方については。
プラットフォーム戦争だとは思わない。マイクロソフトとプラットフォーム争いをしていたと考えたこともない。それが負けた原因かもしれないが。(会場受ける) われわれはただ最高のものを作ろうとしていただけ。どうすればもっと良い製品を作れるかとだけ考えていた。
しかしGoogleについては?(以前の良好な関係から) 何かが変わったようだが。
仕掛けてきたのはGoogleのほう。
Chromeについては、アップルが開発した WebKitを使っている。ほとんどすべての近代的なブラウザはWebKitベース。ノキア、Palm、Android、RIMも。当然アップルも。IEの本当の意味での対抗を開発した。モバイルではWebKitがナンバーワン。
競争相手としてのGoogleをどう見るか。なにが起こったのか。
あちらが競合しようとしてきただけ。こちらは検索ビジネスに手を出してない!
モスバーグ:では、ある朝とつぜんAndroidについて知らされたようなもの?
ジョブズ:そんなところ。
モスバーグ:裏切られた気は?
ジョブズ:セックスライフはきわめて順調だね。(会場大うけ)
モスバーグ:そちらについてはどう?
スウィッシャー:やめなさい。
iPhoneからGoogle (検索、マップetc)を外すことは?
ない。われわれはGoogleより良い製品を作ろうとしている。この市場の良いところは、消費者から直接反応が返ってくること。エンタープライズでは、判断する人間が混乱していることもあり、こうはいかない。
自然語で検索してくれるエージェント技術企業 Siri の買収について。
Siri は検索企業ではない。AI 技術の会社。検索に参入する計画はない。検索には関心がないし、ほかの企業がうまくやっている。
なにがすばらしいかといえば、ほんの数年前には、スマートフォン向けのアプリ市場は存在しなかった。
Palmにはアプリがあった。(組み込みの) ストアはなかったが。
でも現在のように巨大な市場ではなかった。当時はまた、キャリアが携帯を牛耳っていた。iPhoneは、キャリアに対してそちらはネットワークに専念してくれ、電話のことはこちらに任せろと言った最初の携帯だ。
では、そのネットワーク(AT&T) については?
実際、非常にうまくやっている。競争相手をぜんぶ合わせたよりはるかに大きなトラフィックを扱っていることを忘れてはいけない。
たしかに問題もないではないが......
他のキャリアに拡大する予定は?米国で2キャリア展開する意義は?
あるかもしれない。(近日中か?) それはいえない。
われわれは自分たちが売りたいと思う電話を売るやりかたを手に入れた。可能とは思っていなかったが、実現した。われわれにとっては経験のないビジネスであったし、AT&Tもこのために大きな変革をした。結果はほんとうにうまくいった。ゲームのルールを変えたんだ。
タブレットについて。
かつて、手書きは史上もっとも遅い入力方法だと言ったことがある。われわれはタブレットを再発明した。マイクロソフトとはまったく考え方が違う。マイクロソフトのタブレットはPCがベース。バッテリー駆動時間や重さの問題があり、PCのようなカーソルが必要だった。しかしスタイラスを捨てた瞬間、もっと正確な指が使える。PCのOSではなく、一から作る必要がある。
最初に携帯電話から始めた理由は?
実をいうと、タブレットのほうが先だった。タイプできるガラスのマルチタッチディスプレイを使うアイデアを思いつき、エンジニアに頼んだ。6か月後にこのすばらしいディスプレイを持ってきた。そこで才能のあるUI 開発者に渡したら、慣性スクロールそのほかを作ってきた。そこで、「これで携帯電話が作れるじゃないか!」と気付いた。タブレットはとりあえず中断して、携帯を作ることにした。
タブレットと新聞、雑誌。
自由な社会の基盤は出版・表現の自由にある。米国の新聞業界になにが起きているかはみな知っている。(新聞は)非常に大切だと考えている。ブロガーの国になったアメリカは見たくない。(観客から拍手) 編集者がこれまでになく必要になっている。
インターネットで最大のコンテンツ販売者のひとつとしていえることがある。価格は積極的に下げて、量を狙うこと。われわれはこれでうまくやってきた。いまは出版業界にこれを分からせようとしている。印刷とは違うやり方が必要だ。人々はコンテンツに対価を支払う意志があるとわたしは信じている。音楽やビデオについてもそうだし、メディアについても同じだと考えている。
しかし (iBooksで、Amazonより) 電子書籍の値段を上げさせたのでは。たったいま言ったことと逆では?
あー......うーん。まあ、これは複雑な問題だ。市場は半年前より消費者の要求に敏感になっていて、もし消費者がもっと低い価格を望むなら、出版社もその信号に反応するだろう。
タブレットはノートPCを置き換えるか?
それについては......(長い沈黙)。なにか良い例えがないかな。農業が中心だったころには、自動車はすべて荷台のついたトラックだった。しかし人々が都会に住むようになれば、自動車のことをもっと考えるようになる。PCはピックアップトラックのようになるのだと思う。必要とする人はだんだん少なくなってゆく。
このことが一部の人を不安にさせるのだろう。われわれは長いあいだPCの世話になってきたし、PCはすばらしいものだ。しかしそれも変わってゆく。利益の構造も変わる。われわれはその戸口にいる。iPadがそれになるのか?分からない。変化は来年か、5年後かもしれない。
少なくとも来年ではないと考えているのか。
だれに分かる?
(車のたとえでいえばエアコンやパワーウィンドウのように) iPadに追加されるものがあるとしたら?
「魔法のような」製品というと笑われるが、コンピューターとユーザーのあいだにあるものを取り払ったことは......(「キーボードとか」)。でも、iPadには魔法のような何かがあるんだ。われわれはまだ、タブレットでできるアプリの可能性のほんの上っ面にしか触れていないと思う。
iWork for iPad は開発した。では、 iPadでは無理と思うことは?
iPad用にはどんなものでも考えられる。動画編集、コンテンツ製作......
もっと速いプロセッサが必要?
まあ、そうしたことは時間が解決してくれるだろう。
App Storeの審査について。App Storeの審査基準を巡っては激しい論争がある。一度却下したアプリをあとから許可することもなんどかあった。確かにウォルマートであれアップルであれ、売りたくないものを売れという法律は聞いたことがない。しかしApp Storeは非常に大きくなり、モバイルアプリの大部分を占めるようになった。そこには責任が伴うのでは。消費者を守るためと語っていたが、アップルが全権を握って、諷刺漫画や選挙の候補者なども却下することには良くない面もあるのではないか。
まず、われわれは二つのプラットフォームをサポートしている。オープンでコントロールされていないHTML5 (ウェブ)がひとつ。HTML5のサポートはどこよりも進んでいる。そしてもうひとつが、監督つきのプラットフォームであるApp Store。審査は大勢の普通の人間が携わっている。基本のルールは:宣伝どおりか、クラッシュしないか、プライベートAPIを使っていないか。この3つが最大のアプリ却下理由。それでも、毎週審査するアプリの95%は通過している。
選挙の候補者の件は?
他人を中傷してはいけないというルールがあった。
アップルの社員が判断する。
そのとおり。例の風刺漫画家(のアプリ)もこれに引っ掛かった。こうした問題は予想していなかった。拒絶したあとルールを変更したが、再審査の申請はなかった。あとになってその漫画家がピューリッツァー賞を受賞して、実はアップルに却下されてたなんて公言した。だから、われわれはたしかに間違いをした。最善を尽くしているし、可能なかぎり早く学びつつある。ただ、このルールにも意味があると考えていた。
われわれはベストを尽くしており、間違いは正している。だが本当のことを言えば、人は嘘をつく。そういうやつらはメディアに泣きついて、アップルに抑圧されただのなんだのと話して一瞬の注目を浴びる。われわれのほうは、メディアに駆け込んで「そいつは大嘘つきのクソ野郎だ!」なんて釈明はしない。そういうことはやらない。
審査の基準をもっと明確に公表することについては。開発者からは分かりにくいとの声がある。
95%は7日以内に許可しているし......(「では、これ以上改善できないと?」) できると考えている。ただ、事実は挙げておきたかった。
アップルでのジョブズの仕事について。
世界でも最高の仕事のひとつだと思う。世界でももっとも優秀な人たちと、最高の砂場で遊んでいる。
アップルでの役割は。たとえば新携帯電話対して、個人としてどんな役割をしたのか。
アップルを知るために重要なことのひとつは、極めて協調して仕事をする会社だということ。アップルには内部団体がひとつもない。スタートアップのような組織だ。世界で最大のスタートアップ企業。毎朝3時間ミーティングをして、すべてのビジネスについて、どこでなにが起きているか情報交換をする。大得意なのは、課題をどう分割してチームに分担させるかを判断すること。チームどうしも話し合う。だから、わたしが一日じゅうやっているのは、優秀な人々のチームと顔をあわせて話すこと。優秀な人々を集めるには、かれらにアイデアを出させること。わたしもアイデアで貢献する。そうでなければここにはいない。
自分の次の10年はなにに取り組むと思うか。
(非常に長い黙考)
......例のGizmodoの件について、多くの人から「なにもなかったことにすべきだ」と助言された。「盗品を買って強請ろうとしてきたからといって、ジャーナリストを追求するのはまずい」と。これについては本当に深く考えた。そして辿り着いた結論は、考えうる最悪の事態は、われわれが自分たちの根本的な価値観を曲げて、何もなかったようにふるまうことだ。そんなことはできない。それなら辞職するほうがマシだ。
5年、10年前だったとして、やはりそんなことはしない。そのころから、われわれの信じているものは変わらない。一番大切なものは変わっていない。いまも当時と同じことを思って仕事をしている。最高の製品を作ること。知らない誰かから、iPadがどんなにクールかというメールが届くことほどうれしいことはない。毎日こうしていられるのはそのおかげだ。当時も、今も、未来もそれは変わらない。
次にすることは。広告に参入したが。競争相手については。
(Googleの) 広告配信システムはダメだね。発見したのは、ユーザーがアプリを好むこと。ただウェブサイトに飛ぶのではない。これはまったく新しい状況。ユーザーは検索ではなく、Yelpのようなアプリを使う 。( iAdについて説明)。現在のアプリ内広告はアプリから外に飛ばしてしまう。iAdは違う。ほかのどの企業もやっていない。
プライバシーについて。Facebook や Google Buzzなど、失策や出だしのつまづきがやたらと多いようだ。
GoogleのWiFiデータ収集とかね。
シリコンバレーではプライバシーについての考え方が違うのか?
いや、われわれはプライバシーについて非常に真剣に取り組んでいる。携帯電話の位置情報が例。どんなアプリでも、位置情報の取得について自前のダイアログを出して許可を求めることはできない。アップルの用意した機能を呼び出して、システム側の許可 / 不許可パネルを経由する必要がある。これも、監督つきのApp Storeが必要な理由のひとつ。シリコンバレーでは、われわれを時代遅れだと思っている人も多い。だが、われわれは真剣だ。
しかしクラウドに移行すると......
それは関係ない。ユーザーはなにが起きているか、はっきりと分かりやすく知りたいと思うものだ。どうしたいのか聞き、また「毎回聞くな」も選べるようにすべきだ。(大きな拍手)
ここからは質疑応答。
アプリの利用状況データの収集についての規約変更は。
アップル社内でテストされている新製品のデータが外に漏れていた。Flurryという企業が、アプリに埋め込んでデバイス情報や利用状況データを送信するソフトウェアを提供していた。プライバシーポリシーに反するし、われわれも不愉快だ。そこでデバイス情報を取らない解析だけを許すことにした。広告目的のみに。(収集したデータからアプリの改善ができる場合もあるのでは、と聞かれて) それはそうだが、ユーザーの承諾を得ずにデータを集める言い訳にはならない。腹立ちが収まったらそうした企業と話し合いをするつもりはあるが、今日ではない。
映画プロデューサーから、ディズニー株主としてのジョブズに。映画館に人を集めてチケットを売るビジネスをしてきた。コンテンツの価値を守りつつ、ユーザーにもっと手軽にアクセスできるようにするにはどうすればいいか。
コンテンツクリエーターには巨大なチャンスがある。たとえば、映画のマーケティングは変化している。オーディエンスにずっと効率的にリーチできるようになった。かつて音楽会社を訪ねたとき、顧客は誰だと聞いたらBest Buy や Target (量販店) だという答えが帰ってきた。この業界で変わったのは、流通やマーケティングをもっと効率的に、直接エンドユーザーを相手にできるようになったこと。われわれが望むのは、ユーザーがなんでも、いつでも好きな映画を見られるようにすること。ここが変わらなければならない部分だ。(モスバーグ:そうなるのはいつ?) 変化はいま起きている。(視聴形態は)大きく変わっている。新作映画を、映画館にかかる前に観られるようになるとさえ考えている。それなりの金額を払う気があるならだが。
(テザリングと無線同期についての質問を遮って)
自分のコンテンツの共有についてなら、現在よりいい方法があるべきだ。取り組んでいる。
(iPhone好きだけど電波が悪いよ、との質問にキャリア側の取り組みを説明。)
(iPhoneやiPadでファイルシステムに触らせない方針は変わるか? そのあたりについては多くのことに取り組んでいる。)
DVDを買ったらiPadで観られるデジタルコピーがついてきた。でもHDCPがかかってるからVGAアダプタで出力できない。どうなってるの。
アップルがそれを考えたわけでは......
でも採用したよね?
コンテンツ製作者は作品をプロテクトしたがっていて、藁をも掴んでいる。間違ったものを掴むこともある。コンテンツの提供を受けようとすれば、かれらのルールの一部には従わなければならない。苦痛は理解している。
ゲームについて。
iPhone と iPod touch は新しいカテゴリのゲームを産みだした。グラフィックはゲーム機に迫っている。ゲーム機のソフトは30ドルや40ドルするけれど iPhoneでは安い、だからマーケットが爆発的に拡大した(云々。いつもの宣伝)。
テレビどうするの。
テレビ産業のイノベーションにあたっての問題は、参入しにくいこと。TV(放送)産業はセットトップボックスを無料で配ってケーブルなどの契約で儲ける携帯電話的なモデルになっている。だから新しいボックスを誰も買いたがらない。TiVoやRoku、そしてわれわれに聞けば分かる。3か月くらいたったらGoogleにも (Google TV)。
だからできるのは、(現在つながっているケーブルetcの受信ボックスのほかに) また別のボックスを付け足すこと。それでテーブルいっぱいのリモコンやら箱のクラスタができてしまう。これを変える唯一の方法は、いまのSTBを一旦捨てて新しいUIを与えて、消費者が欲しいと思うような方法で目の前に提示するしかない。新しい参入策がないかぎり、また別のTiVoを作るだけ。
iPhoneではキャリアと組んで割賦販売をしている。テレビでは?
問題はケーブルTVプロバイダがローカルなこと。バベルの塔だ。