お世話になります。
3月に入り、春がもうそこまで来ているかのような暖かさが続いているここはいわき市です。
不動産業をたちあげて8か月になります。
先月に土地の媒介契約を結びました。
今日はそのお客様のお話…
去年の10月の頃でした。
とある住宅メーカーからの依頼で住宅用地を探すことになりました。
方法はいたって簡単なもので、希望のエリアをひたすら歩き回ります。
そして、空地や空家を発見したら事務所へ戻り謄本を取得します。
謄本を取得すると現在の所有者がわかるので、同じ市内であれば直接方伺う、県外であれば手紙を郵送する、をひたすら繰り返す毎日…
方法は簡単でも、いざ「わかった、売ってやるよ」なんてことはなかなかないですよ。
手紙ならまだ樂です。
しかし、直接土地の所有者のところへ行くのは勇気がいります。
家から出てきて話を聞いてくれる方はまだましです。中には、インターホン越しにしか答えてくれない方もいました。
まったく心が折れまくります。
こんなこといつまで続けるのだろう…なんて思いながら毎日がどんどん過ぎていきます。
そんなある日、以前発見した空家の所有者様に出した手紙が差し戻されてきました。
謄本に書いてある住所に送ったはずなのに、なぜだろう?と思った私は、直接行ってみることにしました。
そして、近くに車を止めて歩く事数分…同じ苗字の表札が見つかりました。
その方の苗字がとても珍しかったのですぐわかりました。
インターホンを鳴らすとすぐ初老の男性がでてきました。
対象物件の住所を言うとすぐ「あーはいはい」と間違いない!現在の所有者様です。
謄本の住所と実際の住所が少し違っているとのことでした。
それから、「私は千信不動産という不動産屋で赤間と申します」と名刺を差し出しました。
男性は快く受け取ってくれましたが、本当に不動産屋なのか?実態が怪しい…と思っているらしい。
そりゃそうですよ…これだけ○○詐欺が流行っているんですから…
ただその時は信じてほしいと気持ちを込めてお話してきました。
数日後、私は土地売却査定書をつくり、郵送しました。
それから1週間くらいたったでしょうか?
事務所のインターホンが鳴ったので、でてみるとあの男性が立っていました。
私は嬉しくなり、「ようこそ」と中に入るよう促しました。
ところが男性は「今日はこれを返そうと思ってきました」と先日私が送った査定書が入ったレターパック
を見せてきました。
もちろん開封していません。
訳をきくと、「これを開けてしまったらもはや契約したのと同じだ」と言われることを想定しているらしい。
名刺に書いてある事務所の場所も実在するのか確かめに来たそうでした。
とりあえず中へお通ししてたくさん話をききました。
そしてレターパックを一緒に開封して査定書をみてもらい、ようやく信じていただけました。
その後、4か月たった今、男性から「物件の室内の遺品整理が間もなく終わるので、売却の方に進めたい」と連絡があり、その後来店されました。
媒介契約時に色々な業者から売却査定の手紙が届いたんだとお話されました。
しかし、「僕はここに決めたから…」と言ってくださいました。
私は、この言葉を聞いて自分がやってきたことが初めて報われたと感じ、この売主様の為
精一杯、力を尽くそうと心に決めました。