組織工学の分野では、「Chitosan (キトサン)」と呼ばれる生物材料が使用されます。Chitosanとは甲殻類や昆虫の硬組織に含まれる天然の多糖類であるキチンを脱アセチル化したもので、D-グルコサミンがβ-1,4結合した直鎖状の高分子です。日本語では「キトサン」と発音しますが、関係のあるフランス人の先生はChitosanのことを「カイトザン」と発音しており、最初はChitosanのことを言っているのだとは気づきませんでした。よくよく考えてみると、「カイトザン」と発音していることは少し奇妙であると思いました。「Chitosan」の「s」がフランス語読みに影響されてザ行発音されていると思うのですが、「Chito」が「カイト」と英語のような二重母音の形で発音されているのです。おそらくフランス語で正しく「Chitosan」を発音しようとすると「キトザン」となるはずですので、このフランス人の先生は「Chitosan」を英語読みで正しく発音しようとしたが、「s」にフランス語の名残が出てしまっているのかなと思いました。

 

また別の話
バクテリアの増殖を見積もるために培養液の濁度を測定するのですが、それに関連して「Optical density (光学密度)」という単語が用いられます。留学先のフランス人の先生は頻繁に「Doptical on.. dopti..? optical density」というように、口ごもることがあります。なぜかなと考えてみると、光学密度はフランス語で発音すると「densité optique」であり、これらがごっちゃになっているのかなとまず推測できました。英語が基本的に形容詞が名詞の前にかかる一方で、フランス語の場合は一部の形容詞を除いて一般的に後置修飾の形で形容詞が使われる、という二つの言語の違いがこの言い間違いに通じているのだと思いました。

 

 

私は言語に詳しいわけではないので正否はわかりませんが。。