記事入力 : 2012/11/29 10:10

 今月中旬に開かれた中国共産党第18回党大会で権力交代を完了した中国は、南シナ海に「不法侵入」した外国船舶を追放するなど対外的に強硬な姿勢を取っている。習近平総書記が率いる中国の新政権が民族主義に基づく攻撃的な外交路線を取るのではないかとの観測が高まっている。


 中国紙・法制時報によると、南シナ海を管轄する海南省の人民代表大会(省議会に相当)は27日「沿海辺防(国境防衛)管理条例」を可決した。


 同条例は南シナ海の島に「不法上陸」したり、南シナ海に「不法侵入」したりする外国船舶に対する乗船臨検、船舶検査、追放、停船命令、航路変更指示、引き返し命令という6項目の措置を取ることを柱としている。中国は今年7月、南シナ海の島々を管轄する行政区域「三沙市」を新設し、最近では新デザインの旅券に南シナ海の大部分を領海として表示した地図を印刷するなど、象徴的な措置を講じてきたが、実効支配的な措置にも着手した格好だ。


 同条例の制定により、無害通航する外国船舶に当たらない漁船などが取り締まり対象になる。また、中国が領有権を主張する南沙諸島の島々を支配しているフィリピン、ベトナム、マレーシアなどとも紛争が激化するとみられる。

 
南シナ海がパレスチナのような「アジアの火薬庫」になるとの懸念も高まっている。フィナンシャル・タイムズによると、東南アジア諸国連合(ASEAN)のスリン事務総長は「関係国が緊張緩和に向けさらに努力を傾けなければ、南シナ海がもう一つのパレスチナと化しかねない」と警告した。


 スリン事務総長は「最近の権力交代、国力の急速な向上、民族国家建設の本格化など中国国内の力学的変化が南シナ海紛争の悪化の主因だ。アジアは数年以内に紛争のピークを迎える可能性がある」とも述べた。


 中国軍も空母艦載機「殲15」の離着艦訓練に成功して以降、強い自信を示している。中国国防省は27日、今月中に中国海軍の艦隊が西太平洋への進出演習を行うと予告し、28日に海軍の艦船5隻とヘリコプター1機が日本の宮古島付近の公海を経由し、太平洋に出る演習を実施した。こうした演習は今年に入り6回実施されたが、今回のように演習時期を事前に予告した例はこれまでなかった。


 28日付中国紙・解放軍報によると、中国海軍の呉勝利司令官は27日、中国を訪れているメイバス米海軍長官と会談した際、中国初の空母「遼寧」の試験航海と殲15の離着艦訓練成功について紹介したという。中国は米海軍のトップを前に軍事力の近代化ぶりをアピールした格好だ。


 米国も対抗姿勢を示している。米国務省のヌランド報道官は殲15の離着艦訓練成功が報じられた26日「米国は中国のあらゆる軍事的発展状況を引き続き注意深く監視していく。アジアの同盟国を引き続き支持し、必要に応じて適切な措置も取る」と述べた。


 北京= 崔有植(チェ・ユシク)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版