中国、新規発行旅券に台湾名勝地 台湾当局「受け入れられない」

2012.11.23 22:35

 【台北=吉村剛史】中国が新規に発行した旅券(パスポート)の中に、台湾の名勝地のイラストが含まれるなど台湾が中国領のように扱われていることが分かり、台湾の対中国政策を担当する行政院大陸委員会は23日、「断じて受け入れられない」などとする声明を発表した。中台の現状維持に反する行為として台湾では警戒感が広がっている。

 大陸委員会や台湾メディアの報道によると、中国の新旅券には天安門や万里の長城などとともに、台湾中部にある湖の日月潭(たん)や、東部の清水断崖など名勝地のイラストが含まれていた。

 このため同委員会では「努力して築いた相互の信頼の基礎と、台湾の2300万人の感情を傷つける行為」とし、台湾側の法に基づく「主権」や「領土」の観点から「中国大陸当局は両岸(中台)分治の事実を正視すべきだ」などと主張した。

 この中国の新旅券は、南シナ海の大半を自国の領海とする地図も記載しており、南沙(英語名スプラトリー)諸島などで領有権を争うフィリピン、ベトナムの両政府も23日、中国に抗議している。