記事入力 : 2012/11/18 03:09

 石原慎太郎・前東京都知事が推進する新党が日本の政界に地殻変動を起こす可能性が高まっている。最近の世論調査で「比例代表選挙の際、どの党に投票するか」という質問に「石原新党」は9%の支持を獲得、執権政党の民主党(10%)とほとんど差がなかった。特に東京エリアでは、石原新党が18%と民主党(5%)を圧倒的に上回った。このような調査結果を踏まえ、石原氏は日本維新の会やみんなの党など第3勢力連合を結成し、次期選挙で衆議院議席480議席のうち100議席を確保するつもりだと主張している。野党・自由民主党が第1党になったとしても過半数の議席を得るのは難しい点を考慮すると、石原氏などの第3勢力が連合政府に参加、または議会での決定権を握り、日本の政治を意のままにする可能性が現実化している。


 「平和憲法破棄論」を主張する石原氏は、日本帝国主義の侵略戦争を正当化し、障害者や高齢者、女性、人種などへの差別的な発言もためらわない。外国からの天皇謝罪要求に対しては「礼儀がなっていない」として品格うんぬんという日本だが、石原氏の妄言にはあまりに寛大だ。衆議院議員を8期、長官・大臣を2回務めたほか、東京都知事としては4期を務めてきた石原氏は、ともすればほぼ1年ごとに交代する首相より、日本を代表する政治家といえよう。数十本の小説がドラマ化や映画化された国民的作家でもある。(記者は)個人的には礼儀正しく秩序を守り、他人に配慮する日本人と、石原氏の妄言を容認する日本社会との乖離(かいり)に絶望を感じる。


 石原氏の人気をカリスマ性と解釈する日本人は多い。とても言いにくいことをはばかりなく口にすることが、まるで決断力ある政治家の象徴でもあるかのように解釈されているようだ。石原氏は2011年3月11日の東日本巨大地震について「天罰」だと妄言を吐いた直後、東京都知事選挙に圧勝した。日本社会はまるで石原氏に妄言免罪符でも与えているかのようだ。


 石原氏は日本の国益にも致命的な打撃を加えた。日中の葛藤が繰り広げられている尖閣諸島(中国名:釣魚島)の領有権を強化するとして、東京都が島を購入することを推進、日本政府の尖閣国有化を触発した。尖閣諸島国有化は中国の反日デモや日本製品の不買運動につながり、日本車の販売が半減、中国への輸出も10%以上減少した。尖閣周辺の海域には中国の監視船が常駐し、日本の領有権は事実上無力化した。


 石原氏の妄言には伝染力がある。安倍晋三・自民党総裁、橋下徹・日本維新の会代表などの妄言が相次いでいるのも、一種の「石原ベンチマーキング(優良な実例に倣って目標を設定する)」だ。彼らは強力な日本を作ろうという名分を盾に妄言を繰り返しているが「おかしな日本」というイメージを自ら作り出しているにすぎない。戦犯国家ドイツが欧州で強力なリーダーシップを発揮できているのは、歴代の政治指導者が過去の歴史について謝罪したことが下地となっている。


 日本国民は国益のためにも、石原氏の妄言に断固として「ノー」と言うべきだ。次期選挙は現政府に対する評価であると同時に、石原氏の妄言に対する日本の常識と国の品格を問う試験の場でもある。


 東京=車学峰(チャ・ハクポン)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版