【日本11月7日】11月8日より、第18回中国共産党大会(18大)が開催する。次期指導部メンバー発表直前の10月26日、米紙ニューヨーク・タイムズが温家宝・首相の親族に巨額の隠し財産の存在を報道した。背景には、失脚した元重慶市トップ・薄煕来を支持してきた周永康・中央政法委書記を含む江沢民派による、温首相への「捨て身の攻撃」があったものとみられる。

 迫害牽引の追及、恐れる江派

 18大の最終準備会議として11月1日から、北京で非公開に中国共産党第17期中央委員会第7回総会が開かれた。ここでは薄煕来氏への処遇が重要な議題だった。大紀元が入手した情報によると、胡主席ら指導部は米紙報道の件を受け薄氏を一段と厳しく追及すると決定したという。

 要は、反逆罪で薄煕来を問責するかどうかだ。その場合、江沢民氏、周永康氏、曽慶紅氏、薄煕来氏の4人を、政変を画策した4人を全員逮捕する可能性もある。この4人を中心に、江沢民派メンバーは法輪功学習者への弾圧、特に数万人が臓器奪取により殺害された「臓器狩り」問題を隠蔽し、追求から逃れるため、政界での威力を取り戻そうと必死になっている。

 江派は、この度の18大で新リーダーへの権力移譲を阻止するため、さまざまな妨害を試みてきた。その一つは、薄氏、周氏らによる政変計画だ。

 しかし今年2月6日、薄煕来の腹心で重慶市元公安局長であった王立軍が、身の危険を感じて亡命目的で米領事館へ駆け込んだ。これにより、政変グループの存在が米国および中央指導部に知られることとなり、政変計画は頓挫した。

 この時点での指導部の判断は、事態が拡大して政権そのものを脅かすことを避けるため、関係者の処分を限定的な範囲で行おうとしていた。しかし現在、局面は大きく変わった。

 温氏の財産暴露は「捨て身の攻撃」

 政敵の親族が巨額の蓄財をしている、という噂を流すことも、中国では政敵を不利にするための攻撃手段となる。

 今回の温首相への「攻撃」に先立ち、今年6月には習近平次期首相候補の家族の財産を暴露するとの類似の記事が、米ブルームバーグから出された。今では、北京では「次は胡錦濤の家族の富を暴露する」という噂までが流れた。

 ニューヨークタイムズの報道に対して、温家宝首相は自分の家族の財産を公表することを申し出た。あるアナリストによると、温首相のこの申し出を他の共産党幹部は拒否するという。首相が財産を公表すれば、他のリーダーも同様に公表せざるを得ないからである。

 汚職に手を染めていない共産党幹部など、いないに等しい。公表は事実上不可能であり、実行すれば混乱に陥って、共産党は政権を失う。しかし、透明化を図らなければ指導部は威信を失い、政権の維持が難しくなることも事実だ。

 反対勢力による自殺行為とも言える今回の「捨て身の攻撃」は、確かに共産党に大きな打撃をもたらした。周氏らの行動は、胡・習・温を崖っぷちにまで追い込んだ。もはや表面的な「調和」さえ維持できなくなり、必ず一方が倒れるまでこの闘争は続く。

 反撃の始まり

 大紀元の得た情報によると、実際、胡・習・温はニューヨーク・タイムズ事件について緊急に会合を行い、周永康や江沢民らの逮捕も含めて、対応を協議したという。

 記事が発表された直後の10月26日深夜、当局は直ちに薄熙来の案件の審理レベルを上げ、最高人民検査院で立件・調査し、最高人民法院で審理すると発表した。これにより、薄熙来の案件は最高レベルで審理されることになった。

 また11月1日、軍は機関紙「解放軍報」を通じて、胡錦濤への忠誠の意を示した。「軍魂意識の強化は新しいレベルに達すべき」という同紙の論説文は、胡錦濤の軍における「指導者」の地位を強調し、「国内外の敵対勢力が動こうとしている」「重大な問題を前に、頭をはっきりさせ、立場をしっかり固めるように」と警告を出した。

 同じ11月1日、軍の最高機関である中央軍事委員会の建物内にあった江沢民・前軍事委員会主席の執務室が閉鎖されたと、日本のメディアが報じた。


 (翻訳編集・金本)
 (12/11/07 12:08)