消費税10%でも基礎的財政収支の黒字化困難、2020年度赤字は6%超に相当=政府試算

2011年 08月 12日 09:38 JST

 [東京 12日 ロイター] 政府は12日、「経済財政の中長期試算」をまとめ、閣
議に提出した。6月に政府・与党がまとめた「社会保障・税一体改革成案」を踏まえて

2015年度までに消費税率を現行の5%から10%に段階的に引き上げた場合、同年度

に国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)を2010年度比で半減さ

せる財政健全化目標を達成。ただ、その先の20年度までのPB黒字化目標の達成には、

6%超の消費税率に相当する18兆円程度の赤字が残り、「さらなる収支改善が必要」と

している。


 試算では、財政健全化について「20年度までの平均で名目1%台後半、実質1%強の
成長」という「慎重シナリオ」を前提とした場合、東日本大震災の復旧・復興対策の経費

や財源などを除いたベースで、15年度の国と地方のPBは15.4兆円、対名目GDP

比で3%の赤字になるとしている。10年度の28.6兆円、同6%の赤字から対GDP

比での赤字を半減させるとの、財政運営戦略で定めた財政健全化目標が達成できることに

なる。

 ただ、財政運営戦略では、PBについて20年度までに黒字化させる目標も掲げてい

る。試算では、同年度のPBを17.6兆円、対名目GDP比3.1%の赤字を見込んで

おり、15年度までに消費税率を10%に引き上げても大きく届かない。内閣府では、消
費税率1%は名目GDP0.5%程度に相当するとしており、黒字化目標の達成には、さ

らに6%を超える消費税率の引き上げが必要になる計算。深刻な日本の財政状況が浮き彫

りになっている。


 試算では、消費税の引き上げ時期と税率について、年度平均で13年度6%、14年度

8%、15年度10%で仮置きしている。

 また、試算によると、10年度に827.3兆円だった公債残高は、慎重シナリオで

16年度に1000兆円を突破、18年度に対名目GDP比で200%を超える。財政バ
ランス、公債残高ともに深刻な日本の財政状況を示している。


1.慎重シナリオ(20年度までの平均で名目1%台後半、実質1%強の成長)

             10年度 11年度 12年度 15年度 20年度 23年度

基礎的財政収支(兆円)  ▲28.6 ▲28.4 ▲23.1 ▲15.4 ▲17.6 ▲19.1

(対名目GDP比、%)  (▲6.0) (▲6.0) (▲4.8) (▲3.0) (▲3.1) (▲3.2)

公債等残高(兆円)     827.3 858.7 892.8 986.8 1184.8 1336.9

(対名目GDP比)

2.成長戦略シナリオ(20年度までの平均で名目3%、実質2%の成長)

             10年度 11年度 12年度 15年度 20年度 23年度

基礎的財政収支(兆円)  ▲28.6 ▲28.4 ▲23.1 ▲10.9  ▲9.1  ▲6.0

(対名目GDP比、%)  (▲6.0) (▲6.0) (▲4.8) (▲2.0) (▲1.4) (▲0.8)

公債等残高(兆円)     827.3 858.7 892.8 982.0 1174.2 1322.9

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK048556520110812