編集する2010年02月27日03:30
一般医療ニュース

2010年2月23日 提供:共同通信社
 アジアなどで人への感染が続き死者が出ている鳥インフルエンザウイルスH5N1型が、毎年流行する季節性インフルエンザウイルスと交雑した場合、季節性ウイルスの特定の遺伝子が鳥ウイルスに入ると病原性が高まることを突き止めたと、東京大医科学研究所の河岡義裕(かわおか・よしひろ)教授や米ウィスコンシン大の八田正人(はった・まさと)准教授らのチームが22日付の米科学アカデミー紀要電子版に発表した。

 インフルエンザウイルスの内部には8本の遺伝子がある。ウイルスは細胞に感染すると、核内でこれらの遺伝子がそれぞれ複製されて増殖する。一つの細胞に二つの異なる型のウイルスが同時に感染した場合、両者の遺伝子が混ざり合い、元の二つとは違う性質を持つウイルスが生まれる。

 チームは、鶏から検出したH5N1型と人のA香港型(H3N2型)の二つのウイルスから、起こり得るすべての遺伝子の組み合わせである254通りのウイルスを人工合成し、マウスに感染させるなどして性質を調べた。

 鶏のウイルスはもともとマウスに対する病原性は高くなかったが、これにA香港型の「PB2」と呼ばれる遺伝子が入った22種類のウイルスの大半はマウスが10日以内に死ぬなど病原性が高くなり、特に3種類はわずかな量でマウスが死ぬほど病原性が高かった。

 鳥インフルエンザと今回の新型インフルエンザとの交雑でも同様のことが起こる可能性があり、河岡教授は「H5N1型を監視する際は、PB2遺伝子に注意すべきだ」と話している。

ペタしてね