『・・・いつかあなたと一緒になりたい。
それがこの世であっても、あの世であっても。
あなたがほかの誰かと一緒になって、願いが届かなくても、私はずっとあなたを好きでいます・・・・』
連絡は取れないけど、ずっと、友達だから・・・。
短い文章が事のすべてが終わりだということを語り、そのあと美里から連絡が来ることはなかった。
平成24年4月1日、エイプリルフール、終止符。
平成13年12月。
秋田県大曲市。
日本海側の気候で雪が降りやすいほかに、盆地という四方を山で囲まれた俺の住んでいる地域は、毎年大雪に見舞われる。
同時に、家の中にいても、暖房がなければ手足が凍るほど寒いのだ。
俺の名前は黒谷勇次。
大曲第三小学校に通う小学校4年生。昔から体は細いが走るのに少し自身があったため、スポーツ少年団、通称スポ少でサッカーをやっている。
12月半ばのとある日の朝、
いつものようにTシャツ、ロングTシャツ、パジャマ、パーカー、ジャンパーと、田舎得意の重ね着をして、朝食を食べていた。
朝食を一緒に食べていた祖母が、
市民体育館で空手教室やっているらしいんだけど、勇次もやってみたら?
同級生の佳奈美ちゃんや隣の真吾君もやっているらしいよ。
当時の自分に空手なんて、
空手チョーップ!!!!!
のイメージしかなかった。
空手チョップすらなんのことかよく分からない状態だった。
学校に行って同級生の佳奈美に聞いた。
たしかにやっているらしい。
空手とは、素手で相手と戦う。相手を殴る蹴る!そんなスポーツ?らしい。
ケンカみたいだ!
これでケンカが強くなるかも。
なんて期待を寄せながら、さっそく金曜日夜8時、町の体育館に見学に行った。
体育館に行くと、20歳から30歳くらいの男の人が数十名いて、体育館の中でバレーボールをやっていた。
社会人チームだろう。
スポーツ少年団ならぬスポーツ大人団・・・なんて。
体育館の入り口でバレーボールを見ていると、体育館の奥の方で、気合の入った声が序々に聞こえてきた。
視線を声の方に向けると、俺の親父と同い年くらいの男の人が白い浴衣みたいな服を着て、なにやら甲高い声を出し、パンチやらキックやらをしている。
その人と向かい合うように、俺と同い年くらいの人が5人から6人、同じパンチやキックをしている。
こっちの方も甲高い声を上げながら。
俺の存在に気づいたのか、男の人が自分に向かって手招きをしてきた。
入るタイミングをつかめた俺は、男の人の近くに小走りでいった。
こんばんは。君が見学に来た子でいいのかな?
はい。
男の人は角刈りで体がガッチリして、見た目からして筋肉もりもりな感じだった。
変な緊張をしてしまう。
君、名前は?
男の人が聞いてきた。
黒谷勇次っていいます。
勇次君ね。今日は見学ってことでいいのかな?
はい。見学でお願いします。
分かった。じゃあ、寒くないようにジャンパー着てさ、端っこの方で見ていてくれるかな?
案外、優しそうな人でよかった。
私はこの空手教室で極真空手というものを教えている安西っていいます。よろしく。
はい。よろしくお願いします!
安西先生・・・。頭に名前を刻んで、自分なりに元気に返事をした。実際あまり大きな声でなかったけど。
俺が後ろに下がったあと、練習は再開された。パンチやキックのほかにも、よく分からない立ち方でお相撲さんのドスコイ!をやっているような立ち方(のちに騎馬立ちと分かる。)でパンチをやったり、カメハメ破のように両腕をくるりと回して、ハーッ!と息を吐くようなこと(のちに手刀回し受けと分かる)をやったりしていた。
ここから、俺のすべてが始まった・・・。
つづく・・・、
