子どもたちの「学ぶ力」は、家庭の環境だけでなく、学校での学びの場にも大きく影響を受けます。

中でも「読書」を通じて育まれる力は、あらゆる教科の基礎となる重要なものです。

今回は、市川市の学校図書館の現状と課題について考えたいと思います。


読書時間と学力には深い関係がある


多くの研究で示されているように、小中学生の読書時間と学力には明確な「正の相関関係」があります。つまり、よく本を読む子どもほど、学力も高い傾向にあるということです。


読解力への影響


読書習慣のある子どもは、国語の読解力だけでなく、算数や理科といった教科でも「問題文を正確に読み取る力」が高いことがわかっています。文章を読み、情報を整理・理解する力は、すべての学びの基礎です。


語彙力と表現力の向上


本を読む子どもは、自然と語彙が増え、表現力も豊かになります。作文や論述問題で自分の考えを正確に伝える力は、日々の読書から育まれます。


集中力・思考力・想像力を養う


読書には持続的な集中が必要です。その積み重ねが「長く集中して考える力」を生み出します。また、物語を通して登場人物の気持ちを考えたり、展開を予測したりすることが、論理的思考力や想像力を育てます。

学校図書館が「開いていない日」がある現実


しかし、市川市内の小中学校では学校図書館が毎日開いていない学校が少なくありません。

その背景には、会計年度職員で司書を採用し、勤務時間を少なく契約しているという現状があります。


コスト削減の影響


財政的な理由から、1人の会計年度任用職員として採用された司書が限られた時間の中で複数の業務を担っているのが実情です。これにより、

  • 子どもが「本を借りたいとき」に借りられない
  • 読書指導や図書館活動が十分に行えない
  • 蔵書の管理や選書が滞る

といった問題が生じています。



なぜそれが問題なのか?



教育機会の不平等


家庭環境によって本へのアクセスに差がある中で、学校図書館は「すべての子どもに平等に本と出会う機会を提供する場」です。そこが十分に機能しないことは、教育の機会均等という観点から見ても大きな問題です。


読書習慣の形成を妨げる


小中学生の時期は、読書習慣を身につけるうえで最も大切な時期です。図書館が閉まっていることで、本を手に取るきっかけを逃してしまう子どもがいるかもしれません。


専門性の軽視


学校司書は単に本を貸し出す職員ではありません。

児童の発達段階に応じた本の紹介や、調べ学習のサポートなど、教育的・専門的な役割を担っています。その専門性が十分に発揮できていない現状は見過ごせません。


教育への「投資」としての司書配置


学校図書館は「子どもたちの未来を育てる教室」です。

本来であれば、毎日開いていて当たり前の場所であるべきです。

もちろん、予算の制約は理解します。しかし、学校司書の配置は「コスト」ではなく「子どもへの投資」と捉えるべきです。読書の習慣が学力を支え、学力が将来の社会を支えるのです。


すべての学校に、毎日開く図書館を


私は、市川市のすべての公立小中学校で図書館が常に開いている状態を実現することを目指すべきだと考えています。

司書の勤務時間を拡充し、子どもたちが「いつでも本と出会える環境」を整えることが、教育行政における重要な使命です。


本と出会い、学びの楽しさを知る子どもたちが、一人でも多く育つことを願って、次の12月定例会の一般質問で取り上げようと思います。