私はこの週末、本が読みたくなった。
此処数日考えている事があり、何をしても其れに囚われ戻ってしまうが故、近しいが自分事でないものを求めていた。
丁度手頃なものが家にある覚えがあり探してはみたが、如何やら其れは何時ぞやの身辺整理のお陰で私の元を去っていたようだ。
致し方なく私は近場の本屋に寄ったのだが、私にとって久方振りの本屋は奇絶怪絶の場所以外、何物でもなかった。
あゝ、此処には私の求めているものはないのだなと、分かりきったことを確かめたような、其れらの時間が何とも無駄であったかのように私はその場を去った。
普段のこの場に於いては万人に通ずる言葉を心掛けているので、この様な四角四面の文章は書かない。然し乍ら、私は本を読むと、極めて其れらに影響を受けるのだ。
小説に関しては紙媒体しか認めてないと言う、何とも曲者であるが為、対価を払って電子書籍(此のような文章とは似つかわしくない単語だが)で繙読するのは私の信条とは合わない。
其れに、今この瞬間に本が読みたいだけで、一週間後にも読みたいかは、私自身でも分かり兼ねた。
然うだ、こう言ったものがあったとふと思い出したのが、青空文庫だった。
青空文庫が話題になった頃合いに一度手を出したのだが、非常に読み辛く、直ぐ紙媒体に戻ったのだった。
只々本を読みたいと言う欲求を果たすのならば、今考えてみると図書館にでも出向けば良かったのだろうが、其の時は本当に見知らぬのか皆目見当がつかん人間と近しい距離で過ごす気分でもなかった。
最初に書いた本も、どうしても其れが読みたい訳ではなかった。私の拙い脳髄を使った処、筆頭に挙がってきただけに過ぎない。
私が読みたかったのは、底を打つのか打たないのか、分からぬほど心が沈み込み、二度と浮かんで来れないような、何の解決の糸口にも成らぬ、毒にも薬にもならないものであった。
然うして、私はドグラ・マグラに再び手を出したのだった。
≪未完≫