シネマサンシャイン北島で鑑賞。
第2次世界大戦下のドイツ。10歳のジョジョ(ローマン・グリフィン・デイヴィス)は、青少年集団ヒトラーユーゲントに入団し、架空の友人であるアドルフ・ヒトラー(タイカ・ワイティティ)に助けられながら一人前の兵士を目指していた。だがジョジョは訓練中にウサギを殺すことができず、教官に“ジョジョ・ラビット”というあだ名を付けられる。
シネマトゥデイ(外部リンク)
ユダヤ系の多い映画業界においてヒットラーを好きすぎる少年の話とは、挑戦的な内容…と期待しながら鑑賞。オープニングは当時のヒットラーと彼に熱狂するドイツ国民の記録映像をまるでアイドルのPVのように再編集して見せる。しかもBGMはビートルズ「抱きしめたい」のドイツ語バージョン!
当時のドイツではヒットラーが現在でいうところのトップアイドル的存在であり、国民はその政策を良く検証する暇もなく熱狂していたことが良く分かるオープニングでした。映画のラストではこのことを集団ヒステリーという言葉で言い表しています。
脳内ヒットラーに焚きつけられて勇敢さを証明しようとしてジョジョ少年は訓練中に手りゅう弾を暴発させて負傷し、前線には行けず地味な内地での任務に従事します。実際の戦争を知らない彼の脳内では妄想のヒットラーと「ユダヤ人悪魔の化身説」は膨れ上がるばかりです。
そんな中、反ナチ思想のジョジョの母はユダヤ人少女を自宅の屋根裏に匿います。これを発見したジョジョは親衛隊に通報しようとしますが、「匿った家庭も同罪」と知り断念。自分一人でこの悪魔の化身(と、ジョジョは思い込んでいる。)と対決しようと決意するのでした。
タイカ・ワイティティ監督はニュージーランドのマオリ族の血筋を持つ変わった出自の方です。前作の「マイティ・ソー バトルロイヤル」は緩い笑いと絶妙の間からくるユーモアが素晴らしく、なおかつ豪快なアクションとの相性も良くて、2017年に鑑賞した映画の中ではベスト級の面白さでした。「シェアハウス・ウイズ・バンパイア」もしょうもないギャグと流血がブレンドされたホラーコメディでした。
今回も、ヒットラーによるヨーロッパ侵略、ドイツによるユダヤ人迫害というシリアスな題材を扱っても、10歳の少年の目を通して見せることでどこかほのぼのと緩いムードが全編を覆っています。前半までは!
中盤、ジョジョの家に密告を受けて5名のゲシュタポが家宅捜索に訪れます。どこか間の抜けた容貌のゲシュタポ。5人もゲシュタポがいるのでいちいち5回ずつ「ハイルヒトラー」をしないといけないという緩ーいギャグののちに彼らにユダヤ人少女が見つかってしまう!というサスペンスの演出の緩急のつけ方が上手いです。
この辺から現実の戦争の厳しさがジョジョを見舞います。とくに劇中のある場面の仕掛けには久しぶりに映画を観ていて横っ面を張り飛ばされたようなショックを覚えてしまいました。これは実際の映画を観て確かめて下さい。
ラストはついにジョジョの住む町にも連合軍が侵攻してきます。ジョジョに親切だったナチス将校も近所のおじさんおばさんも幼馴染も武器を取って負けを分かっていても最後の戦闘に臨みます。ジョジョの目前でドイツ第三帝国と脳内ドイツは崩壊して行きます。しかしそれは彼にとって新たな人生の始まりでもあるのです!
タイカ・ワイティティ監督、またベスト級の作品を送り出してくれました。
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