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反社会派株式ブログ。年利10%を最低限に20%まで持っていけたらと思っています。

昨年12月中旬以降、新たな地政学的リスクが取り沙汰されるようになりました。
中東では、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスとイ
スラエルが、昨年12月19日の停戦協定切れ以降、再度、激しく対立するようになっ
ています。欧州では、ロシアが、料金の滞納や価格交渉の不調などを理由に、ウクラ
イナ向けの天然ガス供給を今年初めから停止しました。また、ロシア産天然ガスの供
給停止は対ウクライナにとどまらず、中・東欧などにも及び、現地で操業する日系企
業にも一部、影響が出たと報じられました。ロシア産の天然ガスはウクライナを経由
するパイプラインを通じて欧州に供給されており、同国がそこから天然ガスを抜き
取っているとして、ロシアが供給を停止したためです。
 今回の対立は、イスラエル軍によるガザへの空爆・地上侵攻にまで至りました。
しかし、当初、上昇した原油市況(グラフ参照)も、今では落ち着きを取り戻し
ており、今回の対立が世界の市場に与える影響は、これまでのところ最小限にと
どまっています。その主な背景としては、アラブ諸国がハマスを積極的に支持す
ることなく、むしろ、対立のきっかけを作ったとされているハマスによるイスラ
エルへの砲撃を止めさせるべきだと考えていることが挙げられます。

 アラブ諸国は、石油を政治的な圧力にすることを望んでいません。イランとベ
ネズエラの2ヵ国については、石油を武器にしようとする可能性を否定できませ
ん。しかし、そのようなことをしても、他の産油国が増産するため、自分達の石
油収入が失われるだけだということを両国も理解しているものとみられます。
 ただ、ガザ地区を巡る問題が今後、極めて短期間で落ち着きを取り戻さなけれ
ば、アラブ諸国政府が民族主義的な圧力におされ、イスラエルとの関係改善を後
退させるなどの動きを見せる可能性があります。また、民族主義的な圧力は常に、
急進的なイスラム組織の国際テロの口実にされる可能性がある点に注意が必要と
考えられます。