野球は、
自分が上手くなることが、
努力することが、
未来の自分に
繋がっていた。
だから、がんばれた。
小学生の時も、
自分のがんばりが、
自分の成長が、
プロ野球選手に
繋がっていた。
チームの勝利が、
最高に嬉しくてたのしくて、
仲間との練習が
最高にたのしくておもしろくて、
仲間との時間が
当たり前に溶け込んでいて、かけがえなくて、
居心地がよくて、
自分をかたちづくっていた。
中学生のときも、
チームの勝利、自分の活躍は、
かっこいいと思われる自分をつくることもできたし、
自分が自分自身をカッコいいと思うこともできたし、
プロ野球選手になるために、
甲子園に行ける高校に行くために、
強い高校に行くために、
強いチームになることが必要だったし、
試合に出て活躍することがたのしかったし、
仲間に認められたり、すごいと思われたり、
仲間の力になったり、仲間を助けることができたりすることが当たり前に溶け込んでいたけど、
ほんとうに幸せだった。
上手くなりたかった。
カッコよくなりたかった。
強くなりたかった。
勝ちたかった。負けたくなかった。
高校の時も、甲子園があった。
野球を始めて、
練習のきつさで、
初めて野球をやめたいと思っても、
甲子園があった。
親の顔があった。
地元の仲間の応援(自分で勝手にそう思い込んでいた)や、そのプライドがあった。(地元を出てきたこと)
親への感謝と、親への、家族への想いがあった。
甲子園に行けなかったら、
レギュラーになれなかったら、
試合に出れなかったら、
わざわざ東京に出てきた意味がない。
意地があった。
必死だった。
皆、上手い。
負けたくない。
そして、この練習についていけば、
おれは上手くなれる。強くなれる。
(もしかしたら、きっと)甲子園に行ける。
甲子園に行かないと!
そういう想いがあった。
だから、練習できた。
眠たくても、
辛くても、
がんばれた。
そして、自分のそのときのがんばりが、
実力が、
その後の、
将来の、
プロ野球選手に近づく、
プロ野球選手につながることが
ありありと見えていた。
だから、がんばれた。
大学の時も、
ぜんっぜんうまくいかなかったけど、
理想と現実のギャップはすごかったけど、
プロ野球選手になれる可能性はあるっていう
少しの希望と、
自分より上手い選手ばかりの中でも
どこかにチャンスがあるって、
そうやってチャンスを与えてくれてる環境で、
自分のがんばり次第で、
アピール次第で、
試合に出ることができる。
レギュラーになることはできる。
そういう希望と、そんな環境とが、
僕を休ませなかった。
いつか、
いつか、
いつか報われる。
(プロ野球選手で活躍してる人で大学で試合に出てなかった人もいるっていう事実からくる希望)
そんな想いが、ずっとあって、
決して諦めなかった。
ここでも、家族の顔が、お母さんの顔が、お父さんの顔が、頭に浮かんで、絶対に負けられなかった。
やめられなかった。
決してお金に余裕があるわけではない家が、
バイトもできない環境で野球をやらせてくれてる。
おれが大学に行って、野球をやるのにもお金がかかる。
親が必死になって働いてくれてる。
稼いでくれてる。
だから、中途半端な状態で、結果で、
絶対やめられなかった。
だから、どんなに辛くても、
どんなにあきらめそうになっても、
諦められなかった。
やめろ、って言われても、
あきらめられなかった。
やめられなかった。
おれだけの夢じゃない。
親の夢でもある。
地元の、少年野球の指導者、中学の指導者、
地元の仲間、どこかで期待してくれてる友達、仲間、〝あの人〟がいるから、
その人たちの顔が浮かんで、
勝手にそう思い込んでて、
そう思い込むことで、
自分の力に変えてて、
だから、あきらめられなかった。
その〝夢〟
が潰えた。
あきらめなければならない瞬間がきた。
あきらめるときがきた。
空っぽになった。
カラカラになった。
なんのために生きるのかがわからなくなった。
中学時代、不良になって、親や学校の先生を困らせていた同級生たちの気持ちがわかった。
なにをしたらいいかわからない。
なにをしてても、満たされない。
おもしろくない。
いっときの欲望を満たすような楽しみはあっても、
心が満たされる感覚はなかった。
どこかいつも後ろめたさがあって、
わからなくなった。
それだけ野球にかけていた。
野球に人生をかけていた。
野球に時間をかけていた。
野球に神経をかけていた。
意識を向けていた。
めちゃくちゃ嬉しかった。
今でも思い出す。
初めてセカンドでダイビングして、難しい打球をキャッチした時のこと。
まだ野球チームに入ってないけど、人数が足りないからっていう、助っ人で野球のルールも知らずに試合に出て、右打席に立って、ピッチャーのボールが、めちゃくちゃ速く感じて、全然バットに当たらなくて、三振もよくわからないけど、そんな感じの中三振して、試合も確かボロクソに負けたのに、
ときめいたあの気持ち。
おれは今なにしてるんだろ?
みんなは今なにしてるの?
なにがたのしくて、
なにが人生を、
自分の心を熱くしてる?
満たされてる感覚が、
当たり前に溶け込んでる日常に
あったりするのかな?
僕はなにがしたいんだろ?
僕自身は、
健康で生きたい。
..........
続く、