水もラクダも食べ物も無く
ただ延々と歩む。
この苦痛と言ったら図り知れないものがあるだろう。
現状、とてもゆっくりと進む彼らだが、通常ならば
より機敏で瞬発力の高い身体能力と脚力を持っている。
ジリジリと肌を焼き付ける陽光と乾いた大地に奪われ続ける気力を
必死に奮い立たせ、その一歩に集中しているためだ。
彼らは常時二人で行動し、どこへ向かうにも
そのピンと張りつめた真っ直ぐな眼差しを向ける。
周囲の動向には常に警戒している。
彼らはその世界では大変重宝される職業の人間だ。
「悪魔祓い」人はそう呼ぶ事が多い。
実質、この職業に正式な名称は存在しない。
その職名を公言して生きていくことは大変な危険を伴うからだ。
なぜ危険と言えるのか?
それは特異かつ希有な存在であり、また一種の麻薬要素を含んでいるためだ。
彼らの親族もまたそうであった様に、強欲な人間に囚われ闇取引に用いられたり
常人の酷い虐げを受け、その身を追いつめられる事が多いためだ。
言わば「悪魔」とは、人間の内にも往々にして住み着いているものなのだ。
「全く、不合理な世の中だ」
また一つ、愚痴がこぼれた。
その埃っぽくひび割れかけた手をそっと包み、わずかに微笑する少年は
大丈夫だと示すために顎先で小さく頷く仕草を見せた。
