数年前、遅ればせながらやっと気づいたことがある。

利用者さんでしばしば褒めてくださる方は多いですよね。
他の介護職の皆さんはいかがでしょうか?

高齢の利用者さんの多くは、自分のことで精一杯であるということを、経験上、私は体験しています。

そんな一面を知っているにもかかわらず、サービス提供中に利用者さんから褒められると、鵜呑みにしてしまう自分がいました。

カラクリは簡単。
この年になると褒められることが無いので、つい、嬉しくて調子に乗ってしまう。
ただそれだけのこと。

話は戻るが、
自分のことで精一杯の利用者さんが、ヘルパーを褒めるという余力がある筈もないとの認識と、褒められ感謝されると調子に乗ってしまう自分が重なった瞬間、
『んっ!
今までうまく乗せられていたなぁ』という絵面に気付く。

この事実に気づいた時から、私の演技が始まった。

私は、褒められたら謙遜せず、素直に喜ぶ。それも、大げさに喜ぶ。
勘のいい利用者さんは、おべんちゃらがバレたことに気づく。

すると、なぜか良好な関係になる。

利用者さんが、言葉巧みにヘルパーを調子に乗せるのと同じく、こちらも騙されたフリをして相手に調子を合わせるという術は、実は、とても介護にとって必要なことだということを悟った。

不思議なことに、どんな嫌われ利用者さんとでも、 他の事業所さんのヘルパーさんより良い関係性が築かれる。

ただ残念なことは、他の事業者さんと敵対する可能性も高い(笑)

利用者さんと良い関係になっていくという根拠は、私の憶測ではあるが、こういうことなのだろう。

利用者さんが頑張ってヘルパーを褒めたという言動に対して、ヘルパーが気づいてくれたという喜び、つまり、今流行り言葉の承認欲求が満たされたと思われる。

意図したことがちゃんと伝わる喜びは、どの年代も同じなのだなぁと気づかされる。