2月に入り、何度も雪が舞い、寒い日が続いています。来週あたりからは一転して暖かくなるようです。この時期、暖かくなると心配なのが花粉症ですね。

日本気象協会の花粉飛散予測によると、飛散開始は2月中旬、九州、四国、東海、関東の一部から花粉シーズンスタート、とされています。3月は各地で飛散のピークを迎え、飛散量は例年より多いとのことです。例年比でみると、東北から近畿でやや多い地方が多く、中国地方では多い。四国は例年並みで、九州は例年並みか多め。北海道は例年を下回る予報です。一方で、前シーズンと比べると、北海道から関東甲信、東海は少ない傾向ですが、北陸では多いか、やや多い見込みです。秋田県では前シーズンの飛散量が少なかったため、前シーズンと比べて「非常に多い」予測です。

花粉症は季節性のアレルギーです。名前の通り、花粉が舞う時期に生じます。花粉が上気道に入ることで、症状が出現します。症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりが3大症状です。花粉症の治療に用いられる漢方薬としては、小青竜湯、越婢加朮湯、葛根湯加川きゅう辛夷、麻黄附子細辛湯、苓甘姜味辛夏仁湯などがあげられます。

小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
小青竜湯は、くしゃみ、サラサラした水のような鼻水が出る花粉症に用います。小青竜湯が向く人は水毒(水滞とも言います)があります。水毒とは、東洋医学独特の考え方で、身体の中に水の偏在があるものをいいます。小青竜湯が適応となる人は、舌が腫れぼったく、歯の痕がついていることがあります。

越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)
体力がある人で、口が渇き、汗が出やすく、むくみが出やすく、鼻がつまり、結膜炎を合併して目が痒いといった花粉症の患者さんに適しています。

葛根湯加川きゅう辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)
カゼの薬として有名な葛根湯に川芎、辛夷という2つの生薬を加えた漢方薬です。これら2つが加わることで、首から上の症状によく効くようになっています。比較的体力がある人で鼻がつまり首が凝る。そのような花粉症に用います。

麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)
体力がなく、冷えがあり、鼻水が出やすい。のどがチクチクと痛む。そのような花粉症に用います。附子という温める生薬が含まれるので冷えが目立つ花粉症によいでしょう。

苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)
生薬(漢方薬の材料)の組み合わせが小青竜湯に似ていますが、麻黄を含むかどうかが最大の違いです。小青竜湯は麻黄という生薬を含みますが、苓甘姜味辛夏仁湯は含みません。麻黄は、胃腸が弱い人では胃腸障害を引き起こすことがありますので、注意が必要となります。
サラサラした鼻水が出る花粉症であるところは、小青竜湯も苓甘姜味辛夏仁湯も同じです。元々胃腸が弱い人(下痢、胃もたれ、食欲不振がある人)については、小青竜湯よりも苓甘姜味辛夏仁湯を選択するほうがよいでしょう。

以上の漢方薬のうち、苓甘姜味辛夏仁湯以外は全て麻黄を含みます。麻黄は高血圧、虚血性心疾患、前立腺肥大、緑内障、甲状腺機能亢進症の既往症がある場合、既往症が再燃・増悪する可能性がありますので注意が必要です。

なお、一般用医薬品として、小青竜湯、葛根湯加川きゅう辛夷が各社から発売されています。自分の体質にどの漢方薬が合っているのか、不明なときには、漢方専門医にご相談されることをすすめます。漢方専門医は、日本東洋医学会のホームページから検索できます。