先日、闘病している入院中のAさん(夫の親戚。80代女性。私たち家族が大変お世話になってきた方。)のお見舞いに行きました。


Aさんは全身の筋肉の力が弱くなっていく難病で、

今年に入ってからはお話が難しくなりました。


その代わり、小さなホワイトボードに文字を書いて、コミュニケーションを取っているのですが、

最近は文字を書くのも疲れるようで、

以前のように書くことが少なくなりましたショボーン


何より、呼吸の筋肉にも影響が出てきているのか、

鼻から酸素吸入をされているものの、

息をするのが苦しそうで



そんな状態のAさんの傍で、

私はただただ差し出された手を握ることしかできません。


すると、Aさんは時々指を動かして、

私の手の甲をトントンと優しくなでてくれます。

まるで語りかけるように。


以前、私が自分の親とのことで悩んでいた事などを話した時は、

大丈夫よ、大丈夫。

と、勇気づけてくれるように手の甲を指でさすってくれました。


私も指でトントン、とお返事します。


ありがとうございます。


そして、


そばにいますよ。

ひとりじゃないですよ。


と心を込めて、トントンと。


言葉は交わさなくても、

手の温もりと指で会話をしたようでした。




Aさんには、

娘が小さい時何度も預かっていただいたり、

美味しい料理を何度も何度も差し入れいただいたり、

娘の成長や私たちの人生の節目の際は、たくさんお祝いをしてもらいました。



病気がわかってから、

ご家族が家にいなくなる時間帯に、

お1人になるのは危険ということで、

昨年末から3ヶ月ほどお家に毎週お手伝いに行っていました。

実はその時にお料理をいくつか教わりました。


と言っても、横でずっと教えてもらったのではなく、

私が家に到着する前に、便箋にレシピを書いてくださっていて、

それを見ながら、台所を借りて、

用意された食材を使い、まずは1人で作ります。


当然、料理下手の私はわからないことだらけなので、

何度もAさんのベッドに行って尋ねます。


最終的な味付けや仕上げのチェックは、

介助してなんとか台所まで来てもらい、

料理上手なAさんにしていただきました。


ご家族の分と私たち夫婦の分が完成し、

その日の夕食ができあがるという・・・おねがい

そう、出来上がったものをいつも半分以上持って帰らせてくださったのです。


食材も、いつも我が家では買わないような良質のお値段高めのもので、そのおかげで、私の下手さがカバーされましたあせる

(ちなみに、Aさんは嚥下障害が出てきていたので、

それらは食べることができませんでした。。)



病床にいながらそのアイディアを思いつかれるのが、

さすがAさんだと改めて尊敬しました。


後日、

Aさんの家族が、

久しぶりにAさんの味付けの料理を食べることができた、

ととても喜ばれたと聞き、

料理にコンプレックスがある私としては、

そのお手伝いができたのがとても嬉しかったです。



このようにして実際に作ったレシピの他、

ホワイトボードに書いて教えてくださったレシピもいくつかあり、

私の宝物です。


それらは、

Aさんがご自身でアレンジしたものばかりで、料理の工程がとても丁寧なことにびっくりでした。

(例えば、カレーやシチューの根菜類はあらかじめ、だし汁で下茹でする、など。)

これまで頂いてきた数々のお料理がとても優しい味だったのですが、

その理由がわかりました。



Aさんとはたくさんの思い出がありますが、

1番感謝していることは、

夫の両親と20年近く連絡をとっていない私を、

何も言わずに受け入れ、認め、見守り続けてくださっていることです。



私が夫と結婚したのは、

娘を産むためと、

Aさんに出会うためだったように思います。

(言い切る指差し)



そんな大好きなAさんが、

病床で苦しそうにされているのを見るのは、

いつも胸が張り裂けそうになります。



本当に辛い。。


病気が憎い。憎くてたまらない。



何度もAさんの声や笑顔を思い出します。


心細かった私をたびたび包み込んでくださったことを。



今週退院して施設に戻られるので、

またゆっくりお話ししに行こうと思います。