夜はめっきり涼しくなった昨今。
実家の庭に鳴く秋虫の声を聞きつつ、
寝る前におむつを何枚か縫うのがここんとこの慣習。
今が人生において一番、というか唯一、穏やかで幸せな時なんじゃないかと思ってしまう今日この頃。
ここ数ヶ月の凪っぷりは、今までには感じたことがなく、これからの慌ただしさは想像だに易し。
今の平安を逆に不安に感じてしまう程で。
でも、嵐は嫌でも来るときは来るんだから、今のうちにこのありがたい平穏を味わうことに。
有り難いから、ありがたい。
チクチク。
浴衣は余程汗だくになったり汚れたりしない限り、着るたびに洗う必要はありません。
脱いだら、まず着物ハンガーに掛けてブラシなどでホコリを払います。
目立つ汚れがなければそのまま風通しのよい所で陰干しして汗を飛ばし、
アイロン用霧吹きで全体を少し湿らせパンパンと叩いて形を整えます。
ある程度乾いたら気になる部分にアイロンをかけます。
もう少しさっぱりさせたいときはアルカリ洗濯がお勧め。
浴衣を袖畳みにし、大きめのタライに浴衣が充分に浸るくらいのアルカリ溶液を
作って押し洗いします。少し浸けこむ方が汚れはよく落ちますが、浸しすぎると
色が落ちたり滲んだりする場合もあるので要注意。バスタオルにはさんで
押し絞りするか脱水槽に短時間かけて、ピンと広げて干します。
湿っている内に手でよく叩いてシワを取っておきましょう。
シーズン終わりには石けんで汚れを落とします。
襟は汚れが付きやすい部分ですが、下手に揉み洗いすると中で布が撚れて
始末に負えなくなりますからブラシで軽く擦るくらいに留めましょう。
すすぎはしっかり目にして、糊は付けません。高級品や特殊加工品は
業者に任せた方が無難ですが、このとき注意が必要なのは絞りの浴衣。
アイロンがきつすぎて絞りがペッタンコになってしまう事故がたまに起こるので、
お店に出すときには「プレスを控え目に」と言い添えましょう。それでも心配なら、
悉皆屋(*)に任せると安心です。
*)悉皆屋(しっかいや)……着物のアフターケア専門店のこと。「洗い張り屋」とも。