だきまくらをだく
だきまくらを抱いて寝る
今日もだきまくらはだきまくらだ。
寂しいからだく
物足りないからだく。
だきまくらを使うようになったのは
テレビの影響からだ
からだにイイ。
そんな曖昧な理由からだ。
からだに気を使ったからだ。
いつのまにか無条件に
抱き付ける他人が出来た。
理由もなく
時間も性も超えて
抱き付ける他人が出来た。
だきまくらはその人に変わった
その人はいなくなった
だきまくらはだきまくらだ。
その人が恋しくなった
だきまくらはそばにあった
目を閉じれば
だきまくらはその人だ
匂いも 柔らかさも
自分が覚え続ける限り
その人は その対象は
時間を経て何人か別の人は変わった
だきまくらはその人だ
その人のままだ
変わらない
代わりの人も去って行く
だきまくらはそのままだ
匂いも忘れ 感覚も忘れた
いまはだきまくらはだきまくら
それでも
だきまくらを抱いて寝る
たまに強く思い出した
のこった感覚と匂い
いまはそれすらもない
が
思い出したくて強くだく
だきまくらは今日もだきまくら
その人は 今も
もっと強く
もっと新鮮な
もっと現実で
知らない誰かに抱かれてる
誰かはもっと大切な人
大切な人はだきまくら
今日もだきまくらはだきまくら
現実はだきまくらを抱いて今日も寝る
ねれないときに強く抱く
むなしさと寝るだきまくら