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リーディング短歌書き下ろし
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花歌とてよみ侍りける
吉野山去年(こぞ)のしをりの道かへてまだ見ぬかたの花を尋ねむ
西行
新古今和歌集春上86
毎年花を追って
吉野山に入ってきたので、
道しるべに折った枝が
たくさん残っている。
だけど、今年は
去年の道しるべに頼らず
別の道に分け行ってみよう。
まだ見ぬあたりの花を訪ねてゆこう。
(訳:梶間和歌)
【本歌、参考歌、本説、語釈】
しをり:枝折り。木の枝を折って
道しるべとすること、
またそうして折った枝。
かた:場所、方向
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道に迷わないための枝折りを、
“もう開拓した道とまだ見ぬ道を
見分け、まだ見ぬ道に
分け行ってゆくためのしるべ”
として転用する、おもしろい発想。
吉野山去年のしをりの道かへてまだ見ぬかたの花を尋ねむ
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