建礼門院右京大夫 まよふべき | わたる風よりにほふマルボロ

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美しい和歌に触れていただきたく。

失せにしせうとのために、阿弥陀経書くにも、

まよふべき闇もやかねてはれぬらむ書きおく文字の法(のり)のひ
かりに

建礼門院右京大夫
建礼門院右京大夫集69


【口語訳】

亡くなった兄のために阿弥陀経を書くにつけて。

お兄様のさまよって行かれる中有の闇も
あらかじめ晴れてしまうものでしょうか、
遺された私が供養に書き納める
阿弥陀経の光が助けとなって。

(訳:梶間和歌)


この「せうと」は
後年まで生きた尊円、行経ではないと
考えられるので、
あるいは行家かもしれない、
と松本寧至氏が『追憶に生きる 建礼門院右京大夫』
に述べています。

参考文献:
松本寧至 『追憶に生きる 建礼門院右京大夫』