正治二年百首の歌に
さびしさをとひこぬ人の心まであらはれそむる雪の明ぼの
宮内卿
新続古今和歌集冬692
【口語訳】
私はこうして寂しく暮らしているのに
人は訪ねてこない。
あの人の私への気持ちまで
はっきりと表れ始めるように、
冷たい雪景色に朝日の射し込んできた、
雪のあけぼの。
(訳:梶間和歌)
後鳥羽院主催
「正治二年後度百首」での詠。
冬歌ですが、ほのかに
「人」に「恋人」の気配が漂いますね。
「あらはれそむる」は
宮内卿以前にはなかった表現らしく、
のちの時代の歌人の数名が
摂取したそうです。
さびしさをとひこぬ人の心まであらはれそむる雪の明ぼの