(2)2012年8月 輪島訪問記・揚げ浜式製塩法と「わじまの海塩」の製塩法 | 橋本三奈子のSalt Revolution(わじまの塩に魅せられて)

(2)2012年8月 輪島訪問記・揚げ浜式製塩法と「わじまの海塩」の製塩法

8月23日~27日に、石川県輪島市に行ってきました。

今日は、8月24日(木)のレポート。

1日遅れてこの日から、東京からお客様が登場。順天堂大学大学院・加齢制御医学講座・協力研究員のダニエラ志賀さん。

ダニエラさん

8月18日にお会いしたときに、「来週、輪島や舳倉島に行くんです」と伝えたら、「私も行きたい!」とスケジュール帳を確認し、その場で、飛行機のチケットとホテルを予約なさって・・・、その判断力、行動力に、こちらもびっくりしました。

ダニエラさんに来ていただく以上、この旅の目的を以下のように決めました。

・能登の伝統的な製塩法を知り、「わじまの海塩」の製塩法の違いを理解していただくこと。

・「わじまの海塩」の製塩士・中道肇氏と会って話して、その、人となりやこだわりを理解していただくこと。

・「わじまの海塩」の原料の海水を取水している舳倉島の自然や海のエネルギーを感じていただくこと。

・そして、能登の歴史、食、伝統工芸を知っていただくこと。

以上、4点です。

そこで、最初に行ったのが、輪島市内にある伝統的製塩法、揚げ浜式塩田。

輪島塩

「輪島塩」という名称なんですが、「わじまの海塩」とは別物です。

盛土の上に、海水が地下に染み込まないように粘土などで防水層を形り、その上に粒子の細かい砂を敷き詰めてあります。

揚げ浜

体験コーナーで、砂に海水を撒くのをやってみました。

ダニエラさんが挑戦。

水まき1

海水をたっぷり汲んでしまうと、それだけで重くて持ち上げるのも大変です。

水まき2

なかなか、遠くに均等に撒くのが難しいのです。

私もやってみました。

水まき3

海水は、ほとんど真下に落ちてしまいました・・・。

このような作業をして、砂の上に海水を丁寧にまき、頻繁にかき混ぜながら、天日と風により充分に水分を蒸発させていきます。

何日間か続けたあと、その塩砂をかき集めて、海水で洗って鹹水とし、それを製塩釜で煮詰めていきます。

煮詰めていくと、まずこのような灰汁が出るので、その灰汁を取り除きます。

灰汁

こちらの施設では、その後、脱塩装置で濾過しているそうです。

濾過

そして、平釜で、煮詰め、塩を結晶させます。

オレンジ色

結晶した塩。

できた塩

この塩の木箱で、塩を枯らし、溜まった水をたらいに集めます。

にがり1

これがにがり。こちらの施設のにがりは、オレンジがかっていました。

にがり


よく晴れた日でも、午後に洗濯物を干しても、渇きが悪いように、湿気を含む午後の風、秋から冬の風では、海水が蒸発していきません。

揚げ浜式塩田法は、限られた季節、限られた時間、限られた天候のときだけの作業になります。
昔の人は、こうして苦労して、塩を作ってきたのですね。

でも、このような生産性の低い製塩法では、日本人の人口を賄うことができません。

塩を国産で安価で大量生産したいという思い・・・それで生まれたのが、イオン交換膜製法による精製塩だったのです。

この揚げ浜式塩田を見たあとに、ちょっと観光もして(その様子はまた後日に)、次に「わじまの海塩」の製塩所へ。

「わじまの海塩」の製塩法をご紹介しましょう。まず、こちらは、室内でやっています。

海水の上からのオリジナルのランプで熱を照射して、熱と風の力だけで、低温で海水を蒸発させ濃縮させていき、塩分濃度が28%になると浮かんでくる結晶、それが「わじまの海塩」です。

輪島1

揚げ浜塩田の製塩法を知ったダニエラさんから、「中道さんはちっとも働いていないですね」と笑われてしまったほど、自然の力だけで作っています。

「人は、自然の力に、ちょっと手助けしてあげるだけでいいんだ」というのが中道氏のポリシーです。

わかりにくいですが、海水の表面に浮かんでいる結晶は透明なクリスタル。割れて光の反射で白く見えます。

クリスタル

残った液体(にがり)も透明です。

結晶した塩を集めるのが肉体労働。

スコップを持って記念撮影。

輪島2

ダニエラさんにも、能登の伝統的な製塩法と「わじまの海塩」の製塩法の違いをご理解いただけました。

明日は、メインイベント、舳倉島訪問記をレポートしますね。