消化のメカニズムと酵素---『酵素が体の疲れをとる!』より | 橋本三奈子のSalt Revolution(わじまの塩に魅せられて)

消化のメカニズムと酵素---『酵素が体の疲れをとる!』より

『酵素が体の疲れをとる!』(著・鶴見クリニック院長・鶴見隆史、青春出版社、2009年)より、消化のメカニズムについて、もう少し見ていきます。本題に入ってきましたよ。

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三大栄養素の中で、最初に消化が進むのは、炭水化物です。

口の中で咀嚼しているときに、唾液に含まれるα―アミラーゼという消化酵素と混ざり、胃腸での消化活動がしやすくなるサイズまで、小さく切り離されます。

そして、胃の上層部にあるアミラーゼでさらに分解作業が進み、それと同時に胃酸の働きでほぐされて小さくなっていきます。

小腸に進むとマルターゼ、フルクターゼなどの消化酵素で分解され、最終的にはブドウ糖や果糖になり、体内に吸収されていきます。

やっかいなのは、タンパク質の消化です。

タンパク質は、アミノ酸が100個以上も糸で繋がれたようにしっかりとくっついています。

このつながりを切り離し、吸収が円滑にできるサイズにするには消化酵素が多量に必要です。

タンパク質の消化は、食べ物が胃の中へ移動して、初めて始まります。

胃の中のペプシンという消化酵素が大まかに分解し、さらに小腸に入るとすい臓からの消化酵素と小腸から出る消化酵素(約10種類)でバラバラに分解されます。

特にタンパク質を消化吸収するには、たくさんの消化酵素が必要になるため、食べ過ぎると消化不良を起こしたり、酵素の無駄づかいにつながるというわけです。

一方、生の野菜や果物を食べた場合は、消化作業はとてもスムーズです。野菜や果物には酵素がたっぷり含まれています。

そしてその酵素には、その食べ物自体を「自己消化」する作用があるため、消化がすんなりと進みます。

もちろん、豊富なビタミンやミネラル、ファリトケミカルなどの栄養素は、しっかりと体内に吸収され、私たちの体調を整えるのに役立ちます。

消化・吸収が円滑にいっていれば、体内の消化酵素は浪費されず、代謝酵素も十分にストックされた状態が保てます。

そのため、代謝がよくなり、体の調子もいい状態をキープできます。また、便の量もすごく増加します。

だから、体の痛みや疲れを感じても代謝酵素が活発に働き、すぐに回復できるというわけです。

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酵素の重要性がわかっている方は、生の素材を摂ることや、食べる順序などをとても意識されていますが、見逃しがちなのが、調味料。特に重要なのが「塩」です。

調理栄養教育公社から出版されている「調理用語辞典」(1985年、改定版1998年)の「食塩」の項目には、塩の効用として

「酵素作用を抑制し褐変を防ぐ」

と書かれています。この食塩というのは、塩化ナトリウムのこと。

自己消化というのは、進めば腐敗ですから、塩化ナトリウムは、腐敗を防ぐという重要な役割をはたしているわけですが、酵素の働きを抑えて自己消化がされにくいということになってしまうんですね。


「イヌの餌にグルタミン酸を含むうま味物質を添加すると胃液分泌を促すこと、また消化能力の低下した慢性萎縮性胃炎の患者では、グルタミン酸ナトリウムを添加した食事をとることによって胃酸分泌能力が改善されることを見出しています」

という研究開発トピックスが掲載されています。

ホームページに出ているグラフをみると、イヌの実験では、うま味調味料を添加した食品を食べると、添加していない食品を食べた場合に比べて、1時間後、胃液が3倍多く出ています。

つまり、酵素の働きを抑えるナトリウムだけの精製塩と、胃液の分泌を促すグルタミン酸ナトリウム(うま味調味料)で調理していると、体内の消化酵素がいっぱい必要で、いっぱい浪費されてしまう、ということになります。

一方、酵素の働きを最大限に引き出す「補酵素」の役割をするのはマグネシウムでしたね。

そして、タンパク質が分解されればアミノ酸。うま味のもとのグルタミン酸はアミノ酸の一種です。

精製塩とうま味調味料とで調理した美味しい食事をすることと、マグネシウムを多く含む「わじまの海塩」や「わじまの水塩」で調理した美味しい食事をすることとでは、舌を通るときには「あーおいしい」と同じかもしれませんが、体内酵素の使われ方に違いがあるというわけです。

その違いが、体の疲れや健康に正直に出てくるというわけです。舌はごまかせても体はごまかせない。これ、とても重要なことです。