「漆サミット2011」と若宮隆志さんの漆器作品
1月15日(土)明治大学アカデミーコモンで「漆サミット2011」が開かれました。
全国から漆の関係者が集まり、ポスター発表をしたり、パネルディスカッションをしたり、という会。
輪島からは、親しくさせていただいている漆器作家の若宮隆志さん、古込和孝さん 、柴山佳範さんがいらっしゃっていました。
若宮隆志さん(1964年生まれ)の作品。「蓬莱山」。
亀の背中を、中国の伝説の理想郷・不老不死の仙人が住むという蓬莱山に見立てたものです。背中の蓋をあけると、こんなふうに。
赤い塗で、日の出鶴が蒔絵(まきえ)で描かれています。
中の小物入れのようなものには、竜宮城に向かう船が描かれています。
そして、それを裏返すと・・・。
神々しいほどに、海底に差し込む日の光と古代魚など。漆を研ぎ出し蒔絵で書いたもの。
陰と陽の組み合わせ、人生、悪い時もあれば、必ず良い時もあるよ、と表現されています。
明日19日から、日本橋三越で「若宮隆志展」やります。作品を見て、若宮さんご自身から、作品の背景にあるお話を伺うだけでも、癒されますよ~。
「彦十蒔絵 若宮隆志展」
日時:1月19日(水)~25日(火)
場所:日本橋三越本店 本館5階 J.スピリッツ
会場には、漆器の1つづつの工程が並んでいました。こ~んなにあるんです。
最初はこちら。こんなふうに荒取りされたものが・・・
このように繰り抜かれ・・・、
漆の塗が重ねられ・・・、
さらに重ねられ・・・、
こんなふうに塗られた漆器は、燃えることがないのだそうです。現在発見されている世界最古の漆器は、北海道の函館で発見された9070年前のものだそうです。
漆の木は、育てて10年で漆の樹液が掻けるようになるそうですが、1本の木から取れる量は、お椀に塗るなら5個分ほどだけで、寿命が尽きてしまうのだそうです。
輪島では、昭和46年から、市と民間で漆の木を14万本植えたそうですが、今残っているのは、1700本ほどということ。
日本の漆は、栽培漆で「里漆」と言われ、下草を抜いたり、葉が重ならないように管理しないといけないのだそうです。
その他、漆のうんちくとしては・・・、漆で染色すると金色になるのだそうです。天皇陛下がお召になっている着物の金色だそうです。
また、韓国では、漆のエキスに抗癌作用もあるということで、薬事法で認められ販売されているそうです。健康食として、お鍋の具に入れたりもしているそうですよ。
漆は英語で「japan」。日本人は日本の漆に、もっと目を向ける必要があると考えさせられました。
若手の作家さん達、11月には東京・代官山で、石川県の地酒メーカーと協賛して、漆器の酒盃の展示会をやるということ。「わじまの海塩」やお料理とも、何かコラボができればいいなーと思いました。