衆議院議員会館に民主党・川内博史議員を訪問
2年半前のことになりますが、2008年3月22日の朝日新聞「天声人語」にこんな内容が載りました。
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作り手が個性をこめた豆腐が減るかもしれない-豆腐を固めるには凝固剤を使う。その一つの「粗製海水塩化マグネシウム」、いわゆる昔ながらのニガリの扱いが、4月からぐっと厳しくなるからだ。
海水から塩を作ったあとに残るニガリは、製法などの違いで成分比が千変万化する。それがゆえ、豆腐の個性的な味わいを生んできた。だが、来月からは一定の規格に合わないと売れなくなる。
食品衛生管理者を置く新たな決まりも、零細の多い業界を追い詰めている。
「食の安全」のための厚生労働省は言う。大切なことである。だがニガリは古くから、今のように使われてきた。問題はなかったようだ。
羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹き、角を矯(た)めて牛を殺す。お役所仕事の得意技のように思えるのは、豆腐ファンの難癖か。
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塩を作ったあとに残るニガリ。豆腐を作るときの凝固剤の役目をします。
海水を使って、人手で丁寧な塩作りをしているほど、残ったニガリにはナトリウム分が多く、それが大豆の炭水化物の甘みをひきだして、甘くて、固くなりすぎない柔らかい豆腐ができるのです。
ところが、ナトリウム分の多いニガリはニガリではない、ニガリと呼んで製造・販売してはいけない(懲役2年以下の罰則)となり、ニガリの含有成分の規格化が2008年4月1日より実施されることになりました。
そして、事業者自らが約1ヶ月半東京に滞在して189時間の講習を受け、35万円の講習料を払って食品衛生管理者の資格を取る必要がある、と。
地方の製塩所はたいてい少人数の零細企業。塩ももちろんのことのですが、ニガリも貴重な収入源。このため、もうやっていけなくなると廃業する業者があいついだそうです。
この天声人語が載ったのが、そのニガリの規制が適用される9日前でした。
ところが、2008年3月26日。規制の適用5日前、ニガリに対してこの規制を見直すことが決定されました。
この大逆転劇の裏で、尽力してくださっていたのが、衆議院議員・民主党・川内博史氏なんです。鹿児島市出身。
3月19日の衆議院内閣委員会で緊急質問。決めた成分規格は現実の実態とずれていて特に根拠なし。このままでは、日本最高の食文化が破壊されてしまう、と厚生労働省に見直しを迫ったのです。
そして、3月26日、厚生労働省は規制の延期を決めたのです。
塩づくりあってのニガリ。これにより、地方の製塩業者は救われたのです。
そして、当時野党だった民主党は、与党に。事業仕分けで、大蔵省・財務省の聖域だったような塩事業センターにもメスを入れました。
一度、この川内博史議員にお会いしたいと思っていました。地方の製塩所を救ってくれたお礼と、事業仕分けの遂行のお願いに。
それを鹿児島市出身の「みっくさん」に伝えたら・・・・。
すぐに古いお付き合いがあるという民主党議員さんに連絡をとって、仲介をしていただけることになり、手紙を書いてくださり、あれよあれよといううちに、面談の日程が決まったのです。
で・・・、昨日、行ってきました。永田町・衆議院議員会館。金属探知機などのセキュリティチェックを経て入館。
現在、国土交通委員長の川内博史議員にとって、地元・奄美の大雨による災害。大変な日。
さて、面談。
途中、川内議員の携帯電話が鳴り退席、秘書さんからの呼び出しがあり退席、いつ打ち切られることになるかというような緊張感の中、話をしようと考えていた順番がめちゃくちゃになり、テンパってしまいました。うわ~。
それでも、川内博史議員は、真摯に話を聞いてくださいました。
ニガリのこと、塩のこと、ミネラルのこと、味のこと、乳酸菌のこと、健康のこと、地方地方に成分の違う塩あってこその地方の食文化があり、地域活性化になること、塩事業センターの事業仕分けのこと・・・。
ビールの泡実験までやってしまいました。
石川県の「わじまの海塩」の宣伝にならないよう、地方地方の製塩所を代表する気持ちで・・。
ほとんど、キーワードの羅列になってしまったけど、持っていっていた資料を「その資料はいただけますか?」と言ってくださり、資料一式、お渡ししてきました。
そして、最後に、川内博史議員は、「塩事業センターの事業仕分けについては進捗報告いたします」とおっしゃってくださいました。
はい。よろしくお願いします。
ふぅぅぅ。
みっくさんにはお世話になりっぱなしです。ブログで知り合っただけなんですよ。それが永田町にまでご一緒することになろうとは・・・。人生、いとをかし。
#奄美大島の豪雨による被害、心配です。心よりお見舞い申し上げます。