ココ
僕はここにいるだけ
君はここに来るだけ
だけど部屋を出ていく君を見たことがない
君が咳込んだ時
初めてリアリティを感じた
僕は君の言いなり
君は僕のベロを愛してる
ムラサキになった唇の痕を手で隠し
ここまでおいでと
丘の向こうで息を切らす
僕を置いてけぼりにして
君は一人突っ走る
けど胸の重みでなかなか君は飛び立てない
不満げに注いできた水を僕に手渡し
残ったグラスを持ち去る
僕の喉に刻まれた
君のキレイな歯型
残された長い髪はまるでクモの色
書き間違いのメカニズムを知りたい
こういうことをするのは
物忘れとよく似ている
僕は灰
君は炎
両手ですくい上げると
君は部屋いっぱいに僕を撒きあげ
再び君に挑ませる
君のまばたきに薄く照らされ
僕は上手く包み込めない
僕は窓の外へ
君は見えないふりをしている
星の涙にとらえられて
僕はふるさとへと帰還する
それは再生への下準備
暖かな季節には風を待ちたい
僕は花びら
君は埋もれた夢をみている
開放したままの窓からそっと君のほほを撫で
ただいまのキスをする
君は眠りの途中にいながら
極上の笑顔を見せる
僕は泣いた
君は目覚め
また笑顔を見せた
あえて理由は聞かない
一緒にいることを大切にしたい
知らない間に去っていくのだとしても
僕はここにいた
君もここにいた
部屋を出ていく君を見たことはない
君と離れた時
初めて愛を感じた