Message in a bottle

Message in a bottle

韓国版『花より男子』の二次小説です。
出戻ってまいりました。

はじめまして&お久しぶりです。

こちらは、韓国ドラマ版 『花より男子』 の二次小説ブログです。

諸事情により、一旦中断しておりましたが、新しいアカウントで再開しました。

よろしければ、お立ち寄りください。


※あくまでも二次小説です。原作マンガやドラマとは、大きくかけ離れております。

 お気に障った場合、すぐ閉じるか別のブログへ飛んでください。
 
 原則、全員公開にするつもりですが、以前のようにイヤガラセがあった場合は、

 アメンバー限定に切り替わる可能性があります。
 
 アメンバーについても、プロフに何も書いてない方、メッセージのない方は、

 お断りさせていただきます。

 挨拶もないよくわからない方と、お友達になるほどの度量は、私にはありません。


Amebaでブログを始めよう!



第14回をもちまして、私の創りだした「ジフとジャンディの物語」は、完全に終了です。

多少はお楽しみいただいたようで、書いた甲斐がありました。

これから先は、みなさんの想像の世界に、二人は生きていくことになります。

二人並びにF4のそれぞれが、どんな大人になって、どんな人生を歩むのか。

私の中では止まってしまった彼らの時間を、みなさんのご自由に進めてください。


この二次小説を書いたのは、長年のストレスで心身ともに病んでいた時、

たまたま見た韓国ドラマがきっかけでした。

全てにおいて過剰で、日本の漫画が原作とは、とても思えないくらい、派手で。

そして、何より、ジフの存在が、とても、私を惹きつけました。

彼の献身と報われ無さが、切なくて、当時の自分と重なって見えてしまって。

私の場合は、相手はジャンディではなく、仕事という抽象的なものでしたが。

何とか、彼が幸せにならないかと、試行錯誤しながらの、初二次小説・初ブログ。

拙いながらも、応援してくださる方もいらっしゃって、ここまでたどり着きました。


今までの記事は、そのままにしておきます。

これからは、社会復帰に向けてのリハビリを、少しずつやっていく予定です。

息抜きに、もう一つのブログを、こそこそと更新していきますが、

このブログは、一切、更新されることはありません。


中断前からの読者のみなさん、忘れずにまた読んでくださって、

ありがとうございました。

そして、続きが書けなくて、申し訳ありません。



では、これにて、幕と相成ります。

御縁があれば、いつか、どこかで。




 




パーティが終わって、またサロンへ。

アクセ外して、ドレスもビスチェもニッパーも脱いで。

お化粧落としてもらって、シャワーでさっぱり。

髪の毛を乾かしてもらって、いつもみたいに簡単な編み込みにしてもらう。


これで、いつも通りのあたしに戻った。


ドレス着るのは嬉しくて、普段よりずっと綺麗に見えるように、

メイクしてもらうのも楽しかったけど。

やっぱり、これって結婚式なんて、非日常だからできることなんだ。

全部脱いだら、ほんとにほっとしたもんね。

パーティの最中は、そんなにつらいと思ってなかったけど、

終わったらどっと疲れてが来て、早く着替えたくて仕方がなかった。


あー、でも、ソヒョンオンニ来てくれてよかったぁ。

ジフの驚いた顔と嬉しそうな顔、両方見れて、あたしは大満足。

オンニに会えたのも嬉しかったし。相変わらず、素敵だったなぁ。


ジフとつきあいだした時に、ソヒョンオンニが元カノって、

ものすごくプレッシャーだったんだよね、実は。

それに、本人には内緒で元カノと連絡取ってるって、どうなの?とかも思ったし。

でも、それはオンニと約束したこと。

何よりオンニが、あたし達のことを喜んでくれたから、

すぐに解消されちゃったんだよね。

そりゃ、ジフにオンニと比べられたら凹むけど、ジフは一度もそんなことしなかった。

それどころか、オンニの名前もほとんど口にしなかった。

あたしが、少しずつジュンピョを忘れようとした時、

ジフもオンニのポスターや写真は飾らなくなった。

もらったものも全部処分してた。

それ聞いた時は、そこまでしなくていいのにって思ったけど、

それだけ、ジフの中にあたしがいるのが嬉しかったりもした。

でも、さすがに招待客リストに名前がなかった時は、すごく焦った。


だって、あんなに心配してくれてるのに。たった一人の家族なのに。

あたしに気を遣ってたのかもしれないし、オンニに気を遣ったのかもしれない。

それでも、あたしはなんか違うと思ったから、オンニに連絡したんだ。

あたしも会いたかったしね。


忙しい人だから無理かもしれないと思ってたけど、時間を作って来てくれた。

短い時間だったけど、二人とも嬉しそうで、本当によかった。

そして、ずーっと内緒にしてたことも、バレちゃったから気が楽になった。

あたし、すぐ顔に出ちゃうし、頭悪いから誤魔化すの大変だったんだもん。



あー、でも、ほんと疲れた。偉い人ばっかに囲まれるって、ほんとに疲れる。

ジフと家族になるってことは、こういうことも慣れていかないといけないんだね。

カウチで伸びてるあたしを、ジフが心配してくれてる。

ごめんね、ちょっと疲れただけだから、そんなに心配しないで。


お茶を煎れてもらったから、二人でソファーに並んで座って。

今日一日のことや写真をどこに飾るかとか、二人でお喋り。

オンニの話になった時、ジフがじっと黙りこんじゃった。

あれ?ほんとはイヤだったのかなぁ。

でも、そうだったらあんな笑顔できないよね?


顔を覗き込んでみたら、本当に嬉しそうに笑ってる。


「ジャンディ、愛してるよ。」


最初は恥ずかしかったけど、何度も念を押すように言ってくれるのは、

あたしを安心させるためでもあるんだろうなって。

だから、あたしも必ず、返事をする。


「あたしも愛してる、ジフ。」


ジフの嬉しそうな顔が見れるなら、何度でも。


彫刻みたいに整ったジフの顔。

無表情に見えるけど、中には穏やかで優しいものや、熱くて激しいものが、

ぎっしりと詰まってる。


今は、対等になろうと頑張ってる最中だけど、

いつか対等になれたなら、たくさんケンカもするだろうな。

それでも、きちんと向き合って話し合えれば、あたし達は大丈夫。


これからも、周りの人達に、感謝することを忘れないようにしようね。

そして、人のためにできることを、二人でできるだけやっていこうね。

それがあたし達の目標だもん。



バリ、楽しみだな。どんなとこなんだろう。

ジフはいろんなとこ行ってるけど、あたしは海外旅行は、まだ四回目。

ジュンピョに連れ出されたニューカレドニア。会いに行ったマカオ。

研修で行った日本。

よく考えたら、どこもジフが一緒だったね。



ジフと一緒なら、どこにいても安心で幸せなんだけど。


帰ってきたら、二人ともすぐに忙しくなっちゃうから。

せめてこの一週間は、二人でのんびり楽しもうね。



「ジフ。」

「何?どうしたの?」

「バリ楽しみだね。」

「うん、ジャンディと一緒ならどこでも楽しいけどね。」


同じこと考えてるジフが、愛しくて可愛くて。

今度は、あたしから抱きついてキスをした。


数えきれないほどの「愛してる」を込めて。



ジフ、

ずっと、ずっと、一緒にいようね。
                           




パーティが終わって、着替えたら、ホテルの部屋へ移動。

これもジュンピョからの厚意。

明日、空港へ向かうリムジンも出してくれるって言ってたな。

ジャンディへの謝罪の意味もあるんだろうな。

でも、俺達の結婚を本当に喜んでくれてるのもわかったから、素直に甘えることにした。

普段着に着替え、化粧も落としたジャンディは、カウチで伸びちゃってる。


「ジャンディ、疲れたなら、しばらくベッドで休んだら?

 夕食の時間になったら、起こしてあげるから。」

「ちょっと疲れただけ。あんなにたくさんの人に挨拶したの、初めてだったし。」

「これからもああいうことはあるけど、もう大統領までは来ないから、安心して。」

「来てもらっても困るよ~。すごく驚いたもん!」


そりゃそうだよね。

俺も、まさかキム理事が大統領まで招待してるなんて気がつかなかったし、

もし知ってても、来ると思ってなかっただろうし。

ハラボジが可愛がってた人らしいから、来てくれたんだろうけど、

下手するとマスコミに知られて大騒ぎになってたかも。

お忍びで来てくれてて助かった。


バトラーサービスのある部屋だから、お茶を煎れてもらうことにして。

リビングのソファーに並んで座って、飲みながら今日のことを振り返った。


「ジュンピョ、いろいろやってくれたね。

 すごく嬉しそうに笑ってくれたし、ほんとに安心したみたい。」

「そうだね。あんなに嬉しそうな顔したの、久しぶりに見たよ。」

「写真もみんなと撮ったりできたし。

 あ、七人で撮ったの、大きくしてリビングに飾りたいな。」

「二人のじゃなくて?」

「二人のは寝室にしようよ。リビングでは、恥ずかしいもん。」


まぁ、俺もちょっと恥ずかしいけどね。君が綺麗だから自慢したい気もする。

今日は、俺が人前で抱きしめたりキスしたりしても、嫌がらなかったけど、

それは特別な日だからでしょ?ドレス脱いだら、もう普段の君の顔だしね。

二人のでかい写真なんか、人目につくとこに飾るの、絶対イヤだろうね。



「そう言えばさ、ソヒョンとの約束って何だったの?」

「んー、聞きたい?」

「気になるに決まってるよ。俺の知らないとこで、連絡取り合ったりしてたしね。」

「オンニに『フランスに行かないで』ってお願いした時、『ジフに笑顔を取り戻させて』って、

 逆にお願いされたの。出発する時も空港で『私のお願い、忘れないで』って。」


そうだったの?ソヒョンはそんなこと言ってたんだ。

そう言えば、あの時から俺がジャンディのこと気にしてるって、言ってたっけ。


「ジフがフランスから帰ってきたから、しばらくして手紙が届いたの。

 『ジフはジフのやるべきことをやるために帰国したけど、可愛い弟には変わりない。

  本人はイヤがるだろうから、内緒で時々連絡ください』ってね。」

「それでずっと連絡取ってたの?」

「うん、さすがにセウ島にいた時や、ジュンピョのことでごたごたしてる最中は、

 無理だったけど、高校卒業してからは、月に一度か二度メールしてた。」


て、ことは...八年間、ずっとか。

ソヒョンとの約束だからって、律儀にずっと内緒にしてたってことだよね。



本当に君には、何度も驚かされるよ。

何でもすぐ顔に出るくせに、楽しいことがあったらすぐに話してしまうくせに。

ソヒョンと俺のために、頑張ってくれたんだね。


俺達にとって特別な日に、サプライズプレゼント。


君は、どれだけ俺を幸せにしてくれるの?

目の前の君は、何でもないって顔してるけど、

今までに君が僕にくれたものは、君じゃないと思いもつかない。

俺にとって、とても大事なことばかり。


ミンにも言われたっけ。


「ジフ、あの娘を見てる時、笑ってる。ソヒョンの時と同じ。」


自分でも気がつかないうちに、君といると笑顔になってた。


だから、俺は、君がとても好きでとても大事で。

普通なら、ジュンピョと別れそうになったら、チャンスだって考えるところなんだろうけど。

俺は、君が悲しむことの方がイヤだった。

もちろん、ジュンピョが親友だってこともあったけど、

二人がうまくいくようにイジョン達と助けてきたのも、君がとても大切だったから。



黙り込んでしまった俺に、心配そうな顔で覗き込む君。


「ジフ、どうしたの?」


いつのまにか、自然に名前で呼べるようになってたね。

何度も「先輩」って言いかけて、慌てて言葉を飲み込んでたっけ。


「ジャンディ、愛してるよ。」


つきあいだした頃は、そう言う度に真っ赤な顔で照れてたね。


「あたしも愛してる、ジフ。」


今は、穏やかな笑顔で、応えてくれる。


旅行から戻ったら、慌ただしい日々が待ってるから。

せめてそれまでは二人で穏やかに過ごそう。

見つめて腕を広げると、自然に腕の中に滑り込んで首に腕を回して来る。


何度もキスして、見つめ合って。

ただ、君といるだけで、幸せで。



君に誓うよ。俺も君のように強く優しくなることを。

だから、ずっとそばにいて、見ててくれるかな。














入り口の方で、歓声が上がった。

まだ、そんな人招待したかな...。

そんなことを考えていると、それが誰か気づいたジャンディが声をかけた。


「ソヒョンオンニ!来てくれたんだ!!」


............ソヒョン?本当にソヒョン?


「ジャンディが連絡したの?」

「うん、ジフがくれたリストに名前なかったから......。

  忙しいと思ったけど、来てくれたら嬉しいなって、連絡したんだ。」



ソヒョンが、ゆっくり近づいてきた。何年ぶりだろう。

フランスで別れてからは、Xmasカードの交換しかしてなかった。

あの頃より、ずっと生き生きとした表情。綺麗なのは変わらないけど。


「ジフ、ジャンディ、おめでとう。本当に嬉しいわ。」

「オンニ、忙しいのに、時間作ってくれて、ありがとう。すっごく嬉しい。」

「ジャンディ、綺麗よ。もう、あの頃の可愛いジャンディじゃなくて、大人の女性ね。」



二人が自然に話してる。

あれ、ジャンディって、いつからか、ソヒョンのこと『オンニ』って呼んでるよな。

フランス行くまでは、『ソヒョンさん』だったし、

ソヒョンも『ジャンディさん』って、呼んでたような気がする。


ジュンピョ達三人が、ソヒョンに口々に話しかける。


「今、旦那さんとアフリカでボランティアしてるって?」

「今日は、旦那は?忙しくて来れないの?」

「ジュンピョもイジョンも結婚して、子供もいるのね。ちゃんとお父さんしてる?」


なんで知ってるんだろう。二人も不思議そうだ。


「ウビンは、格好良くなったわね。あなたが一番、変わったみたい。」


ウビンが照れくさそうに、答えてる


「一昨日、除隊したんだ。二年間兵役で鍛えられたよ。」

「そうだったわね。大変だったでしょ。でも、あなたなら大丈夫だって思ってたわ。」


そんなことまで?


「ソヒョン、どうして俺達のこと知ってるの?」

「ジフ、あなたには内緒で、ジャンディとメールや電話で連絡取ってたの。

 あなたが気にするといけないからって、内緒にしてて、ごめんなさいね。

 どうしても、あなたのことが気になったから、私からお願いしたの。

 ジャンディのこと怒らないで。」


横で、ジャンディは知らん顔してる。

隠し事の下手な君が、ずっと内緒にしてたなんて。

普通は、元カノなんて存在、嬉しくないだろうに。

それでも、ずっと連絡取ってくれてたの?


「オンニはジフの家族だもん。気になるの当たり前でしょ?

 なのに、ジフったら全然連絡取ってなかったから。

 オンニに頼まれなくても、あたし、連絡取ったと思う。」



ああ、本当に君って娘は......

そんなに俺のこと大事にしてくれてたの?

愛しさがこみ上げて、溢れて、思わず抱きしめた。

ジュンピョ達がはやし立てるけど、構わない。


「あなた達がおつきあいを始めた時は、本当に嬉しかったわ。

 今日は、もっとね。」


ソヒョンが、変わらない笑顔でそう言った。


「ソヒョン、俺、もう大丈夫だからね。心配いらないよ。」

「今日のあなた達を見てればわかるわ。ジャンディ、約束を守ってくれてありがとう。」


約束?何か約束してたの?俺、聞いてないけど。


「あの時は、まさかこんな風になるとは思わなかった。

 でも、ジフと結婚できて、あたし、すごく幸せだから。

 約束は、頑張って守り続けるね。」


ソヒョンが満足そうに微笑んで、頷いた。


「ごめんなさいね、もう行かなければならないの。

 夕方の便でアメリカに行くから。

 短い時間だけでも、あなた達に会えて嬉しかったわ。」

「忙しいのに、来てくれてありがとう。嬉しかったよ。」


そう、本当にありがとう。あなたに祝ってもらえるなんて。

あなたは、俺の母親代わりで姉代わりで、たった一人の家族だった。

でも、もう、俺には家族ができたから、やっと解放してあげられる。


ソヒョンが一人一人と握手して、去っていった。

その後ろ姿は、自分の足でしっかり歩いている大人の女性そのもので。


「やっぱり、ソヒョンオンニは綺麗でかっこいいよね。」


俺の思いを読み取ったように、ジャンディがそう言った。

君も必ずそうなれるよ。今でも十分綺麗で、かっこいいけど。

俺は君がもっともっと素敵な女性になると、信じてる。


終了の時間が近づいてきて、今度はウビンとイジョンがマイクの前に立った。


「本日は、ユン・ジフとクム・ジャンディのために、

 お集まりいただき、ありがとうございました。

 ク・ジュンピョ同様、私ソン・ウビンにとっても二人は大事な友人です。」

「そして、私、ソ・イジョンにとっても大事な友人です。

 二人が、末永く幸せでいられるように、皆様のご助力を、私達からもお願いいたします。」


横で、泣きそうになってるジャンディ。わかるよ、俺もすごく嬉しいから。

二人でもう一度、お礼の言葉。最後は簡潔に。




「皆様に祝っていただき、私達は、本当に幸せです。

 ......皆様に心からの感謝を捧げます。」










外に出て、お客さんが出てくるのを並んで待ってる、あたし達。

ブーケは教会の人に預かってもらって。

お客さん一人一人に礼をして、礼状とホテルラウンジのチケットが入った封筒をお渡しする。

全員に配り終わった後、牧師様と教会の人達にお礼を言って、ホテルへ移動。



移動の車の中で、ジフがあたしを見て、微笑んだ。


「本当に綺麗だ。楽しみにしてたんだよ。思ってたより、ずっとずっと綺麗だ。」



普段なら、照れて恥ずかしくて仕方ないんだろうけど、

今日はあたしも式の雰囲気に酔っちゃったのか、心から嬉しくて微笑んでしまう。

ジフが人前で軽く抱きしめてきてキスされても、今日は恥ずかしいとは思わない。

もう籍も入れて一緒に住んでるのに、さっきの式で、ぼんやりとしたものがはっきりして、

結婚したんだって実感した。


「ジフ。」

「ん?どうしたの?」

「ずっと一緒にいようね。」

「ずっと一緒だよ。あ、でも、俺が無一文になったらどうする?」

「あたしが稼ぐから大丈夫!さっき誓ったでしょ。どんな時でも、共にいるって。」


あ、ジフ、笑ってる。あたしがどう答えるか、わかってて聞いたんだね?


「ジフ、からかってるでしょ?パーティでは、そんなことしちゃダメだよ。

 せっかく綺麗にしてもらったのに、お化粧崩れちゃう。」

「ごめん。すごく嬉しくてさ。

  ........それに、大丈夫って言ってくれる君が好きなんだ。」


愛しさを目一杯表情にしてくれる、ジフ。

嬉しくて泣きそうになったけど、必死で我慢した。



ホテルに到着して、写真を撮る。

人によっては、式の前に二人で色んな写真を撮ったりするらしいけど、

私達はそれをしなかった。

だって、特別な写真は、特別な日に撮った方がいいと思うから。


まず、二人だけで何枚か撮ってもらう。

次は、パパ、ママ、ガンサンと五人で。

ハラボジの写真と一緒に三人で。

またパパ達と一緒に六人で。


次は、F4の三人と。

みんなで揃うと、やっぱりど迫力のかっこよさ!

当然、ジフが一番かっこいいけどね。

今日の黒いタキシード、ほんと大人っぽくて見とれちゃったもん。

カウルとサンウンさんも参加して、七人で。

ウビン先輩、ちょっと淋しいかな?

でも、先輩すごく素敵になったから、すぐに彼女できるよね。

子供達も一緒に、十人で。あたし達も早く子供欲しいね。


写真を撮り終わり、あたしは化粧や髪を直してもらいに、サロンへ行った。

係の人にお願いして、ちょっとだけドレスを脱がせてもらって、慌ててトイレへ。

まだ冷える三月。

教会にいる時は感じなかったけど、写真が終わって気が抜けたみたいで、

すっごくトイレに行きたくなった。ドレスのままだと、一人で行けないし。


お化粧を直してもらって、髪もティアラが落ちにくい形に結い直してもらった。

ベールと手袋はもう外していいかな。


支度が終わった。もうお客さんはホールに集まってるみたい。

呼ばれてジフと二人で、ホールに入る。

カウルの時より、人多いかも。ちょっと圧倒される。

教会の時みたいに、ジフのオーケストラの人達の演奏。

さっきは教会で厳かな雰囲気だったけど、今度はパーティらし明るい曲。

テーブルは用意せず、立食形式だけど、最初と最後に二人でご挨拶だけはする予定。


「新郎新婦の入場です。」


あれ、司会やってんのジュンピョじゃない?なんで?

驚いてジフを見た。


「俺がやるって、ウビンから取り上げたらしいよ。

 さっき聞いて笑っちゃった。あいつらしいよね。」


ほんと、相変わらずの俺様ぶりで笑っちゃう。

まぁ、おかげで緊張する暇ないけどね。


ホール内を埋め尽くす、花、花、花、花。

胡蝶蘭みたいに高いのから、ガーベラやかすみ草まで、

飾れるところには全て、色とりどりの花が溢れてる。

奥まで進んで行くと、あたし達が立つ場所には、ピンクや紅のバラの花びらが敷き詰めてある。

お料理の匂いがするはずなのに、びっしり敷いてあるから、バラの香りに包まれてるみたい。


「私、ク・ジュンピョの古い友人であり、ユン財団の理事長である、ユン・ジフと、

 同様に、私の大事な友人である、クム・ジャンディは、先ほど結婚式を挙げ、

 二人で生涯共に歩むことを誓いました。

 ここに、皆様への御挨拶と御礼を二人から申し上げます。」


うわ、ジュンピョがまじめな言葉遣いしてる。表向きは、こんな感じなんだ。


......大事な友人か、あたしのこと、そう思ってくれるんだね。ありがと。


「本日はお越しいただき、心から感謝いたします。

 先ほどの、ク・ジュンピョの言葉通り、私とクム・ジャンディは、二人で共に歩み、

 どんな困難も二人で乗り越えていくことを、誓いました。

 皆様には、未熟な私達を、教え導き、見守っていただけるよう、心よりお願いいたします。」


ジフは挨拶慣れしてるからいいけど、この時ばかりは緊張する。

でも、ちゃんとしなきゃね。

あたしだって、ジフの妻として、こんな場面はいくらでもあるだろうから。


「多くの方にお祝いしていただいて、心から嬉しく思います。

 本当にありがとうございます。

 私達は、まだ若く、特に私はこれから一人前の医者となるために、

 研修医として勤めることとなっています。

 皆さんには、ご指導をお願いしたく思います。

 お互いに、支え合い、全ての周りの皆様に感謝しながら、二人で生きていきます。

 どうか、見守ってください。」


なんとか、言えた。おかしくなかったよね?

横を見るとジュンピョが真面目な顔をして、あたし達を見つめてる。

そして、心の底から嬉しそうに笑った。


「では、御食事、御歓談を、お楽しみください。」


ジュンピョの言葉を合図に、みんな飲み物や料理へと足を運ぶ。

それから、次々に挨拶に来る、人、人、人。

ちょっと待って!この人、大統領じゃん!!なんで??


「おめでとうございます。

 お祖父様がご存命であれば、どんなにお喜びになったでしょう。」


あ、そっか。ハラボジの知り合いになるわけね。あー、びっくりした。

どおりで、なんか目つきの鋭い人が何人もいるわけだ。SPの人達だったんだ。

さすがに大統領はすぐに帰っちゃったけど、

しばーらくは、偉いんだろうなって感じのおじさんの挨拶が続いた。

あたしは微笑んで「ありがとうございます。よろしくお願いします。」って、

オウムみたいに答えてるだけだったけどね。


やっと、おじさんの波に解放されたら、F4のメンツとその家族が近づいてきた。


わ、ジュンピョんとこの子供、こんなに大きくなったんだ。すごく可愛い!


「あんたに似てるのに、可愛いよね。サンヒョンちゃん。」

「のに、は、余計だろ!俺様に似てるから可愛いんだ!お前こそ、馬子にも衣装だな。」


え、ちゃんとことわざ言えた。みんな、顔見合わせて笑いを堪えてる。

でも、言ってることはうちのガンサンと変わりないよ、ジュンピョ。


「ホールの花、ありがとな。こんなに集めるの大変だったんじゃない?」


ジフがジュンピョにお礼を言った。


「ソウル中の花屋、空にしてやったぜ。

 でも、お前のことだから、派手過ぎないようには、気をつけた。どうだ?」

「うん、すごく嬉しい。お客さんも楽しんでくれてると思うよ。」


そんな話をしてたら、入り口の方で歓声が上がった。