「ちょ!あんた...へ?」
自分に向けられてる拳銃、置かれている状況を全く整理できていないようで、ツキミは私の腕の中で完全に固まっている。
当然だ、無理もない。
店内で接客やら配膳やら掃除をしていたヤクザ風店員はこの状況に気が付いたとたん、表情を強ばらせ、えらくドスの効いた声で
「カチコミじゃー!!」
「えぇ度胸じゃの!ワレ!!」
「てめぇら!道具出せ!」
などと完全に好戦状態だ。
特に掃除していた店員が持っていた箒には驚いた。
柄を回すと刀に変わったからだ。
箒のメイン部分は実は鞘だったらしい...。
私はあの箒で掃除をしたことがあったがまったく気がつかなかった。
カウンターで白い目をしていた姉御は私がツキミを掴まえて、叫んだ瞬間に表情を一転させ、嬉々としてカウンター奥にある従業員控え室(扉に掛けてある表札は詰所となっている。)に消えていった。
オジキは意に介していないのか?それとも全く気が付いていないのか?
その恐ろしい表情で「むはは!美味しくなあぁれ♪」と珈琲を煎れ続けている。
こんなカオスな状況の中に入ってきた客は可哀想なことこの上ないだろうな...
ん?待てよ?
1人まだ来てなかった!今の姿を一番見られたく人がああ!
...そんなことを思ってしまうと、来るもんだ。
何も知らぬ「その人」は店に入って辺りを見渡した途端、直立不動で固まった。
私は変なところで冷静なようだ。
ー助かった!ゆかりちゃんが自動ドアのセンサーの前で立ってたら扉が開きっ放しになってたよ。
