これは高等教育、大学教育を受けた者に訪れる。住宅ローンなら受ける上で厳格な審査がある。債務者の社会的信用や基盤が確立している事が条件だ。だから超低金利での借り換えも可能だ。ところが学資ローンは保証人にしても増してや当人に社会的信用や基盤が要求できない。将来収入など予測不能だ。確かに高学歴ほど平均収入、則ち収入の期待値は大きい。だが、平均は平均だ。中央値や並値とは異なる。分散はもとよりわからない。ビル・ゲイツやバフェットに98人のホームレスがいればアメリカ人は総じて豊かになる。大学院卒の平均収入は単なる大卒より高いのだが、無数のフリーターもまた多い。「平均」のトリックに翻弄されざるを得ない。教育ローンの借り換えは住宅ローン程、容易ではない。当人にそのまとまった債務の返済能力が認められなければ借り換えはありえない。かくて学資ローンの債務者の多くは高利債務に拘束される。「平均」は将来の期待収入など保証しない。平均の詐術からは自由にはなれるものではない。