あなたは 音楽仲間の急逝を病であるというのに、怒りましたね。そしてそのあなたが一年後に、このような急逝を遂げた。私は物事に対してもう殆ど何にも願いも望みもなく、諦念あるのみなのですが、私はあなたを許せません。恐らくその許すという行為は同時に、忘れる、という事でもありましょうから。恐らく私自身、忘却の中にあなたを埋もれさせるのもさして遠くはないでしょう。ですが、今は未だそれでは収まらないですから。
実のところ、あなたの説いて来た愛や希望等よりも、怒りや恐怖、憎悪こそが人間にとってより深く根源的でより強いものである事は最期の六ヶ月を通じて、ご理解されたのではないかと思われます。
虚飾や欺瞞と偽善に満ちたこの世を去ることこそ、あなたの選択であったのでしょう。地獄は来世にはありません。この世にこそあります。無論、故人に対しては、世間一般の天国の夢で葬らせたい誘惑は私にもあるのですが、今はその積もりにはなれません。恐らく、それはあなたの事を忘れ去るか、私自身、何もかも捨てる事になったのかのどちらかでしょう。
少なくとも貴方の天国の夢の中では、私は所詮、余計者に属しましょう。
尤も、凡そご都合主義的な便宜はいかようにも図れましょう。何もない事は何を言っても構わない、というのが定理ですから。恐らくその則に従っても不思議はないでしょう。私自身、行き場の無い怒りと悲しみに疲れていますから、
今現在の私は数多くの無理を重ねています。それゆえ、その上更になのですが、仕方ありません。それが私なのですから。