今日は日曜日、その夕べに足を伸ばすと何時でも彼女が弾き語りをしていた。《星に願いを》が甘くて静かであった。彼女がもし、疲れ果てた私の元に、一緒に行こう、と囁いてくれれば、私には何の躊躇いも無いであろう。
だが、その様な事は起こり得ない。朦朧とした中で輝いている、元気を装ってはいるけど、少し寂し気に見えるのは、後知恵か…。
物事が割り切れないのは昔からの私の習慣だ。悪癖と言っても良い。世間は容赦なく動いている。でも彼女の時計は時を刻む事を止めて久しい。
彼女に遭いたい、それがどの様なものであっても。しかしそれは、罪深い私には許されない事なのか…。
七月だというのに肌寒い…。何らの輝きも高揚も感じない。奇跡の様な春や初夏の新緑の煌きも嘘の様だ。旅立ちの季節を私は逃してしまっていた。早いか遅いかだけの問題、機会は幾らでもある。頼まなくても、向こうからやって来る。でもその際に彼女が出迎えて呉れる事はあるのだろうか? 私に許された時間は、一年くらい先なのか、それとも今日なのか、それは判りようがないし、詮無き事だ。また、新たな一日が始まった。喩え今日が最期の日だとしても、私は歩み続ける以外の事は出来ないだろう。