ブルックナー:交響曲第5番/ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
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サントリーホール 16時

ブルックナーの5番と言えば朝比奈隆の演奏が一番好き。


彼が築き上げる音の大伽藍は、他の追随を許さず

90分程ある長い曲だけどいつまでも終わらないでほしいと

願いながらその演奏に浸れます。


そんな彼がこの世を去って、かなりの時間が経ちました。


この曲もそれ以後ほとんど聴かなくなってしまいました。


でも、

ティーレマンが日本でこの曲を演奏すると聴いて

久しぶりに面白いものが聴けるのでは、と。



それは期待を裏切らなかった。


しかもオケも素晴らしかった。

ミュンヘンフィルはブルックナーの演奏には

クナ、チェリビダッケと築き上げた歴史があります。


ブルックナーのゲネラルパウゼのこうでなくては!!


2楽章の弦のtuttiはゆっくり時間をかけて歌い上げる。

チェリのサントリーライブもそうだけど、

きっとCDで聴くとかなり遅く感じるでしょう。


テンポは時に伸縮するが、

決してブルックナーらしさを失わない。

むかしヨッフム、フルトヴェングラーがやったような

不自然なアッチェレランドはなく、

速いところは速く、遅いところは徹底的に遅い。


朝比奈の演奏よりははるかに洗練されているし

アンサンブルもかなり整っているのに

けっしてスマートじゃないし、かなり個性的な解釈だと思う。


でも彼はブルックナーの”呼吸”をとても大切にしていた。

その点においては朝比奈と同じだと思う。


演奏時間は長かったです。


でもコーダが近づくにつれ、終わらないでほしいと

心から願った久しぶりのブルックナーでした。