「LED CARPET」


LED…Lead過去の意味、導かれた

LED…Love Eternity Dreamの略



愛・永遠・夢…

私達の足元には、今はまだ

イロのない絨毯が広がっている。

いつかのあの深紅の絨毯を

踏みしめるために…。



Athena Music所属 鈴木 すぅー Report Blog

episode1



*ピュア*

おもい描けることは

かなうんです




5月の空は

雲ですら遠慮がちに

ただよっていた


世の中が

歓びに溢れているような

そんな心地いい雑音が

優しい風に運ばれてくる


仕事帰りの待ち合わせ場所


青年は

少し疲れた顔で歩いてくる


が、ほっそりとした顔の

頬にあるほくろが

みえるくらいになると


「はじめましてぇ。」


愛嬌のある目と

少し枯れた声で

挨拶をし、手を伸ばしてきた


てっきり、握手だと思ったが、


「大変だったでしょぉ。」


荷物をもってくれると言う


礼を言って好意に甘え

荷物を手渡した


「早速だけど。」


落ち着いて話せる場所を

探し当て、

私は、青年へ向けて

ある質問をした


青年は質問されること

それ自体を喜んで

いるようだった


そして、こう答えた


「わがはいは…、

いつか世界中に

サッカーボールを

とどけたいんです。

そのために有名に

なりたくて…。」


まさか


この青年はただの

夢見る子供なのだろうか


ある質問とは

「何故芸能人になりたかったのか」

というものだった


芸能界について

何かを語り出すだろうと、

そんな質問をしたはずの私は、

一瞬身を引いた


「人ってぇ…、

おもい描けることは

かなうんですよっ。」


場違いなほど…、


まっすぐな声のトーンで、

力のこもった瞳は

瞬きもせず…、

訴える青年


ガチャガチャと

耳の表面を騒がしく

撫でていた音が、止んだ



…この子なら、


頭の芯と

心の芯が

交差した


目頭に力がこもる…、

のを感じる



都会らしい匂い

それでいて自然なしぐさ


ピュア、

と言う言葉を久しぶりに

記憶から引っ張り出された


そんな気がした




あの5月から

LED CARPETは

影とは逆の方向へ・・・

のびていったのだった



Athena Music所属 鈴木 すぅー Report Blog

episode2



*ポジティブ*

マイナスな言葉を

つかいたくない



私はかなり語気を強めて

青年へ詰め寄った


ある問題が耳に入り

解決しようとした

青年に悪いところはない

だが、
状況を正しく、詳細に、

知る必要があり

本当に彼に問題が

なかったかを確認したかった


延々と…、

堂々巡りな会話が

続く


「もっと正しい表現を

してください。」


更に口調がきつくなった


「明らかに相手方に

悪意がみられる場合には、

それらしい表現を

してくれないと困ります。」


事実を明確に

知ろうとした


だが、青年は、

自分にも問題が…、

などと繰り返す


私は苛立ち始めた

相手側には悪意があるし

青年を混乱させた責を

問うべきだと感じてたので

完璧な理由を欲していたのだ

青年は…、

きっと耐えていた


私の険しい表情、

強い口調、

厳しい言葉…


彼にとっては

苦痛だったに違いない


瞳の色が曇っていた


が、強いて明るさを

取戻しこう言った


「ほんとおに

ごめんなさい…。

言葉がたりず

ごめんなさい…。


でも、わるいことでも、

わがはいは…、

マイナスになるよぉな

言葉をつかいたく

ないんです…。」



この時、気づいた


それでなくとも

緊迫した環境下にある

この状態で、

批判や苦々しい出来事を

言葉にだしても

そこには負の連鎖しか

働かない

青年は私の姿から

私の負の思考を

読み取ったに違いない


反応が悪いと思っていた

青年の答えは、

ずっと言葉を選び続けて

いたからだった

「こちらこそ…、

ごめんなさい。」


思わず謝った


いつもの笑顔を

取り戻した青年


「わがはいが

じょうずにいえないから…。」


青年のお蔭で、

殺伐とした空気が

和んだ


「わがはいの気持ちを

わかってくれて

どぉもありがとぉ。」


心の底から

嬉しそうに青年が放った

「ありがとう」の言葉



この時私は、

「ありがとう」という言葉を、

少し恥ずかしい気持ちで

受け取った



Athena Music所属 鈴木 すぅー Report Blog

episode3



*めぐみの雨*

どんなことも

だれかのよろこび

かもしれない



朝からあいにくの天気


風も強く、雨粒も大きい


でかけるには

決していい天気ではなかった


大きなため息が出る


駅で待ち合わせ

現場へむかう時だった


「どぉしたんですかぁ?」


青年が心配そうに

こちらの様子をうかがう


「この天気でしょ…。」


私は濡れた裾を

面倒くさそうに払っていた


「でもぉ…。」


青年は優しい声で、


「きっと誰かには

めぐみの雨ですぅー。」


と言った


当然のこと


晴れの日も雨の日も、

私達には必要だ


そして、


この世は自分の

都合だけで判断

するべきでは、ない


「うわぁ~、

わがはいも

びちょびちょだぁ~。」


くったくなく、笑う


つられて…笑った



「ありがとう。」



濡れた服は、

いつかは乾く


服が濡れるくらい…

なんだというんだ


「風邪ひかないように

気を付けましょう。」


知らないうちに…

私の口からも

人を想う言葉が

こぼれていた