前回に引き続き、ダイワスカーレットに関する優駿2007/04月号の記述を引用します。問題があればすぐに消します。誤字脱字、記述漏れがあればコメントで教えてください。確認し次第、訂正いたします。

 

 

 

「アドマイヤオーラが弥生賞を、ウオッカがチューリップ賞を制す!」より抜粋
牡馬に比べると、牝馬はウオッカ一色に染まっているように思える。最大のライバルと目されたダイワスカーレットを桜花賞と同じコースで一蹴して見せたのだから。敗れたダイワスカーレットの安藤勝己機種の、「今日は勝ち馬の強さを認めるしかない」というコメントも、ウオッカ絶対を裏付けているように感じられる。
(中略)
父の激しさは間違いなく受け継いでいる。だからこそあれだけのレースが出来るのだが、それが本番で思いがけない現れ方をすれば、名手の乗るダイワスカーレット、アストンマーちゃん辺りに苦戦するかもしれない。しかし、それも苦戦どまりで負けは考えにくいのだが。
(チューリップ賞の写真)
二強が演じた一騎打ちは、実に見応えがあった。ダイワスカーレットにつけた着差は「クビ」ながらも、鞭を使わぬ余裕のレースぶりで、ウオッカの強さが際立ったチューリップ賞


「2007皐月賞&桜花賞プレビュー
混戦クラシックを解く鍵は「父」にあり
アグネスタキオン-ダイワスカーレット」より引用
2004年5月13日生 牝 栗毛
父アグネスタキオン
母スカーレットブーケ(父ノーザンテースト)
馬主大城敬三氏
調教師松田国英氏(栗東)
生産牧場千歳・社台ファーム
通算成績4戦2勝
主な勝ち鞍06中京2歳S(OP)
○肉体的、精神的にタフなのが本馬の売り
強い調教をやっても飼い葉食いが上がったりせず、肉体的、精神的にタフなのが本馬の売り。実際、松田国英調教師も「うちの厩舎にいたフサイチエアデールより育てやすい」とその点を認める。大きな目標に向けて仕上げる時、調教を課す側の思惑通りにやることが出来る点は大きな強み。実際、シンザン記念以降は普段の坂路調教を一本から二本に増やし、さらなる体力強化に努めている。そして、もうひとつの売りが、早い段階から牡馬相手に戦ってきた点。朝日杯、アーリントンCで2着したローレルゲイ路をシンザン記念で退けていることから考えても、牝馬同士なら実力は上位。
△「決め手勝負への対応」がカギ
中京2歳S、シンザン記念、チューリップ賞ともに33秒台の末脚を駆使しているが、見た目の印象では、特に「キレる」といった感じはない。実際、前哨戦では3着以下を6馬身ちぎっているとはいえ、決め手で勝るウオッカには馬なりで交わされた。今後は、「決め手勝負への対応」がカギ。
(チューリップ賞での写真)
マイルから中距離で絶対の強さを見せるダイワメジャーの半妹、ダイワスカーレット。恵まれた馬体から繰り出す末脚は間違いなく一級品。チューリップ賞の借りを桜花賞で返せるか。

「優駿ダブルインタビュー安藤光彰✕安藤勝己」より抜粋
(安藤勝己騎手は、)牝馬戦線でウオッカやアストンマーちゃんと覇を競う立場にあるダイワスカーレットに対しても同様の意見を述べる。「はじめはテンションの高い馬だったけど、使うたびにリラックスしてきました。折り合いさえつけば、牝馬同士ならトップクラスの能力の持ち主なのは間違いありません。ただ、前走(チューリップ賞2着)もいい感じで競馬が出来たと思ったのに、馬なりで交わされてしまった。ウオッカがものすごく強いのは間違いないけど、もしかしたらスカーレットももっと力を出せる乗り方があるのかもしれないと思っています」

 

 

感想

チューリップ賞では、ウオッカが一着、ダイワスカーレットが二着だった。わずかクビ差ながらも、当時は着差以上の勝利と考えられ、ウオッカ一強の様子を呈したようだ。今回は取り上げなかったが、30Pの「ローテ、タイム、コース適性など桜花賞ウイナーを予測するTOP⑤直接比較」からもそれが伺える。ローテ、近走内容、タイム、コース適性、血統と五部門全てウオッカが一位となり、総合順位は25ptで一位となった。後に1.4倍となったように、ウオッカ一強ムーブは強かったと言える。ちなみに、三部門でマーチャンが二位、二部門でスカーレットが二位となり、総合順位はマーチャン18ptで二位、スカーレット17ptで三位となった。桜花賞の単勝人気と同じ順番だ。

とはいえ、注目とその強さへの支持は衰えておらず、後に秋天・有馬で見せたようなタフさが注目されていた。しかし、これは後に成せたものではないが、決め手勝負となったときのキレが求められていた。牝馬は牡馬と違い、一瞬のキレが目立つものが多い傾向にあるので、それが求められたのは必然と言える。

そして、僕が今回最も注目したのは、安藤騎手の「もしかしたらスカーレットももっと力を出せる乗り方があるのかもしれないと思っています」という言葉。これは桜花賞で見せた、早め抜け出しのことを指しているのではないだろうか。皆さんご存じの通り、桜花賞で安藤騎手はスカーレットにゴーサインを少し早く出し、ウオッカがそれにつられるのを狙った。そして、スカーレットはそれに応え、直線では自前の二の脚を繰り出し、一馬身半差をつけて快勝した。これを前月の優駿で言っていたのは、安藤騎手の考えに震えるし、してやったりというようなゴール後の顔に頷く。

 

以上、引用と感想です。

この号はDWCデーについても巻末で取り上げており、そこにはスカーレット牝系のヴァーミリアンとダイワメジャーについても書いてあるので、ぜひ読んでほしいです。次回は、ダイワスカーレットの桜花賞制覇とチューリップ賞の回顧がされた5月号です。お楽しみに。

 

(カバー画像は中京2歳S)