組成による鑑定方法 | 和同開珎ー皇朝銭専科のブログ

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お客様より和同開珎品位の件で、個体差が大きく、鑑定はどのような基準で行われているのか?というご質問をいただきましたのでこの場をお借りし、分析による鑑定を行っているかご説明させていただきます


新和同開珎の銅品位ですが、表面品位は5%くらいのものから90%以上のものまであり、先日某ショップの依頼品ですごかったのは鉛85%銅2%程度の個体もありました
もちろん本物です
あくまでも表面品位ですので内部は全く異なるものでしょうが、表層部は埋蔵環境により全く異なります
皇朝銭に限らず、その鑑定は主要元素はほとんど関係ございません


時代、原材料調達地、鋳造地などの特徴が現れますのはそれこそ0.01%以下の微量含有物の混合比率からわかります
逆にこの部分の数値は人為的にどんな小細工をしたところで調整は不可能な数値です

贋作などは銅や鉛、錫などといった主要元素の比率を本物に近づけているものもあるため雰囲気はやはり似たものに仕上がります
ですが、0.01%以下の微量元素の含有比率までは人工的に行えるものではないためにこの数値をもとに鑑定いたしております

皇朝銭期以外の貨幣になりますと、明銭などの鋳潰しや、国産材と明材混合材などが存在するのでより複雑なデータになり見極めは難しくなってきますが、それこそその時代背景や、その貨幣が作られた経緯などを参考にすると判定のヒントにはなります


例えば江戸時代初期に私鋳としてできた寛永通宝二水永などは当時たくさんあった明銭を鋳潰してつくられたので国産銭ではなく中国銭のデータを示します
逆に二水の贋作銭の多くは後の時代に作られているため国産寛永銭などを鋳潰したり、国産材で作られていることが多いため、国産銭のデータを示す個体が多いです

貨幣ごと時代背景など異なりますので、気をつけないとこのような場合中国銭のデータを示す寛永通宝が贋作で、日本銭のデータを持つものが本物と誤った判断を下すことになります
もちろん日本銅、中国銅の差も、主要元素比率は全く関係なく、微量元素の含有比率で判ります

微量含有元素について実際に見ていただきます


添付の写真をご覧ください
こちら分析時に得られるスペクトルデータです
左表がマシンが計算した含有率数値で、レポートとしていつも見ていただいております数値です

写真はスペクトルを部分的に拡大したものです

いくつもの元素でマシンは0.0000と表記しているのにもかかわらず実際にスペクトルで反応があるのがわかります
これはあまりに微量な含有のため当方のマシンスペックですと、計算しきれずに数値に表れていないためで、実際には極々微量の元素が含有されていると言うことです


いくつかの元素で数値を入れておきました
このようにマシンが計算しきれないレベルでの微量元素の含有比率、、
皇朝銭の場合最も重要視しているものは鉛:カドミウム比や銀を含有する個体に対しては、銀:金比を・・鉄:マンガン比率などで、かなりの限定した(前期、中期、後期くらい)の時代もわかりますし、皇朝銭期以外の貨幣との差は歴然です


鑑定はこのようにして、当時の材料であるか、また純国産材であるか・・または外国材なのか?と言うことを見ます
その上で基本的なつくり、表面構造など総合的な判断をします

皇朝銭以外ですと、この基本的なつくりが当方ではわからないため、あくまでも、当時の時代に沿った材料であるか?
また表面構造からだいたいの製造方法の推定を行い矛盾がないかを見ております

分析器でチェックして、ぴっ、、これは本物、、ぴっ、、これは偽物。。。。といったイメージを抱かれると大間違いです。。
このようにして非常に微細なデータを比較して初めて真贋がはっきりするのです

1件2000円の鑑定がいかに破格かお解かりいただけるかと思います
(2000円はあくまでも消耗費用ですので鑑定そのものはサービスなのですが・・・)

当然このような判断を可能とするためには、それこそ何百、何千といったデータの蓄積が必要です
また検量線方式による分析の場合、そのプログラムによっても、またマシンのスペックによっても感度はそれぞれ異なりますし、登録外元素はどんなにたくさん含まれていても拾うことは出来ません
それぞれのマシンのスペックに沿ったデータ解析も必要となります
これはこれで、なかなか難しいものなのです

比較的鑑定が容易なのは金貨銀貨で特に電解精錬を経ていない材料かそうでないかというものは、素人の方でもデータを見ていただけたら一目瞭然です
電解精錬材であっても明治初期のもの、また明治中期~昭和初期頃のもの、それ以降のものと、それぞれ大きく技術が異なるためにデータを見ますとどの時代の精製材であるかの判定は容易です
当方ではこの時代の貨幣の専門知識はございませんが、貨幣の発行年代と、その貨幣がいつ精製された材料で作られたか比較し矛盾がないかをみて、矛盾があるものはその説明をさせていただいております
例えば明治3年銘の銀貨が昭和に入ってからの精製材で作られているのであればどんなに見た目は完璧であったとしても100%贋作であるということは誰でもわかることです
組合鑑定間違い品の払い戻し請求などに当方が用意いたしております鑑定所見はこのような科学的根拠に基づく内容とデータを添付いたしておりますので反論の余地は一切ないものです
2014年3月20日現在、鑑定間違い品 34件の払い戻し請求をお手伝いさせていただき100%の返金実績となっております
組合鑑定は付いているが不安!!という方は是非科学鑑定をお勧めいたします

当方では1件 2000円~分析ならびに鑑定を行っております