徳島県の西南、名峰・剣山(つるぎさん)の
ふもと近くに位置する
人口わずか900人程度の小さな村。
周りを山と、その間を流れる川に囲まれ、
人間よりも、確実に野生動物の方が多い
とても自然豊かな地。
父が、山のお巡りさんとして
その村に赴任して約20年。
毎年、お正月をこの小さな村で
迎えています。
今年の幕開けは、
素晴らしく澄み切った青空でした。
TVなどで目にする空も、
どこもとても美しく、
全国的に穏やかな空が
広がっていたのではないでしょうか。
村で見上げた空も、この20年弱の中で、
最も青くて、広く感じました。
この春で、父が退職を迎えるため、
こんな空をこの村で拝めるのは、
きっと最後だと噛みしめながら、
ポストに投函するよう頼まれた
お年賀を手に郵便局までの
つか間の散歩を楽しみました。
郵便局との往復では物足りず、
あっちへウロウロ、こっちへウロウロ。
あまり時間を費やしては
心配をかけてしまうだろうと、
そろそろ戻ろうかと振り返った瞬間、
▼さっきまで雲一つなかった空に、突然
鳳凰が現れたように見えたのです。
こんな青空のプレゼントに、さらに
鳳凰までも翔んできてくれるなんて、
感動でいっぱいでした。
それでも、わたしは、もう一つ
見上げたい空がありました。
その村で見る、満天の星空です。
ビルはもちろん、住居も少なく、
灯りと言う灯りがほとんどない
その村の夜は、月が出ていなければ
文字通り「漆黒の闇」
10年ほど前の秋、そこで見た
「しし座流星群」は、
流れてくる星のひとつくらい
キャッチできてしまうのではないか?
と、錯覚してしまうくらいの星空でした。
あの星空を、もう一度
眺めたかったのですが、
なかなか条件が揃わないと、
それは見ることができないのです。
灯りが無い分、月が、とりわけ
満月の夜は、その光がとても明るく、
あまり大きな声では言えませんが、
ヘッドライトを消して、代わりに
月明りで車を進めることもできるほど。
なので、お月さまが明るいと、
どうしても視覚に入る星の数が
少なくなってしまうのです。
元日の夜、父とジョギングに行くため
家を出たわたしの頭上に、なにやら
チカチカするものがありました。
視線を上げると...
懇願しつづけた、満天の星空。
スマホのカメラでは、それを納めるなど
到底無理な話で、どのように言葉で
表現すれば良いのでしょうか。
真っ黒な布に、接着剤を塗りたくって、
その上から、スパンコールやビジューを
勢いよくまき散らし、それを天井に向け、
バッ!と飛ばしたような、
その下に自分が立っている、
そんな感覚でしょうか。
感激でした。わたしは走るのを止め、
走る父との距離がどんどん離れるのも
お構いなしに、ただひたすら
満天の星空を仰ぎ見て、
ゆっくりと歩きました。
昼間の青空・夜の星空、どちらも、
天からの贈り物のように思いました。
とても素敵なプレゼントに
天に向かって「ありがとうございます」
そう、唱え続けておりました。
この夜空を見上げてから
一週間と少し経った日、
偉大なるロックスター
David Bowieが亡くなりました。
『Starman』
わたしが大好きな
David Bowieの曲。
きっと、次に星空を眺めるときは、
やや暗めに輝く星が、一つ
増えているのだろう。そう信じています★