先日,国際会議で一週間ほどスペインに行ってきました.
原子分子物理分野では最大規模の会議で600名以上が参加していました.
会議が行われたトレドはかつて西ゴートの首都であり,ユダヤ教,キリスト教,イスラム教の文化が交差した歴史上重要な街として,現在は旧市街全体が世界遺産に登録されています.
2015年は国際光年ということで,日本でも様々なイベント(http://iyl2015-japan.org/event/internal)が行われていますが,会議でもフェムト秒化学の先駆者でノーベル化学賞受賞者のアハメッド・ズウェイルさんや,量子光学の功績でノーベル物理学賞を受賞したセルジュ・アロシュさんによる講演が行われました.光科学の発展における一里塚を解説するレビュー的な内容でした.
色々な発表を聴いてきましたが,生体分子標的を用いた実験がトレンドでしたね.特にDNA損傷への寄与が無視できない数eVの電子による解離性電子付着がホットトピックという感じでした.かく言う僕も,最近,DNAやRNAを構成する核酸塩基を標的に用いたMeVイオン衝突実験を行っていますが,世界の中での自分の立ち位置が良くわかりました.
個人的には,希ガスダイマーの内殻電離に伴うクーロン緩和過程(ICD:Interatomic Coulombic Decay)を多価イオン衝突で観測した実験が面白かったです.電離プロセスの違いによってKERが異なるところがミソですね.古典的オーバーバリアモデルともコンシステントである点もきれいだなぁと思いました.
論文はこれ→ http://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.114.033201
つづく...

