病気による社会の負担(早死、障害による損失の合計)の統計で、がんに次いで社会負担の大きな疾患は、うつ病であることがわかっている。このように、さまざまな統計の結果、うつ病は日本の国民病として、その重大さが認識されるようになってきている。ところがその一方で、うつ病とは何かを考えるにあたり、社会には混乱も生まれている。
昔はうつ病は特別な人が、特別な環境に置かれるとなる病気であると考えられてきましたが、今では、高血圧症や糖尿病などの生活習慣病(日常の生活習慣と関連したありふれた病気)のように、誰でもなる可能性のある病気であると考えることができるでしょう。うつ病の人と言えば、見るからに表情も沈穆で、何かと自分を責めてしまうといったイメージを、誰もが共有していた。