珊瑚の伝説 四部 六話、闇に落ちる。「ラストレジェンド」(百九十話)

 

晴れへ暖かい日の午後。
遊び疲れ木の下で眠っている幼き黄河が姉の赤城に見守られ安らかに眠っていた。

そこへ綺麗な色をした小さな小鳥が黄河の肩にとまる。

赤城はその光景に、素敵ねと思いながら眺める。
ふと黄河は目を覚まし、姉の赤城に素早く抱き着く。

どうしたの黄河
と悪い夢でも見たかのように優しくなだめる赤城。

黄河はそんな姉に対して。
俺はお前を大事にしたい
と当然言うのだった。

この時赤城は何のことかわからなかった。

赤城はそんな黄河に恋愛的な夢を見たのかなと思いつつ聞いた。
お姉ちゃんの事じゃないよね?

すると黄河は顔を赤くして。
うん、お姉ちゃんじゃないけど、きっとこれはもっと大事な人だと思う
そう純粋な年の頃の黄河は素直に答えた。



一方アレックスの試練に話は行く。





アレックスは自分たちが暮らしていた町に戻っていた。


珊瑚はそのままレジスタンス軍が引き取ってくれた。

こうしてしばらくした時である。

だがアレックスの家では・・・
二日酔いで朝過ぎても起きてこないフォルテさんに怒り、無理やり起こそうとしていた。



おい!!!いい加減にしやがれ!!
と言って無理やり寝ている布団から叩き起こす
えー!!何しやがる!!
フォルテさんが布団を掴み子供のように布団にこもる
それを見てアレックスが思う。
あーこの人だけすごく再現度高い。
マジでコイツだけ本人じゃないのか?
そう疑っていたアレックスは怒鳴りつけながら、そのまま家に出るのだった。


掃除、洗濯、料理、買い物、あーもう、大人になった珊瑚ですらゲーム三昧で趣味ばかりして、寝坊して、だらだらしながらだけど、分担して一緒にやってくれるのに、夜な夜な俺が寝てる間に抜け出して酒飲んでは散らかして、そのせいで今日は寝坊しちまって。
ほんとあの人、マジの世界でも家に寄生するから今度追い出そう。

歩きながらアレックスはうんざりしながらつぶやいて学校に行くのだった。


まったく、珊瑚ちゃんがいない中で学校行くのはしんどいぜ。
そうアレックスは言いながら不機嫌そうに歩いて校内に入っていると。

目の前にウリンが一人歩いていた。

アレックスはウリンに挨拶変わりとしてウリンの耳元に 、「わっ!!」っていう声を大きく出して驚かせた。

ウリンは驚くあまりに転びそうになる。
その様子にアレックスはウリンが転ばないように手を握る。

ウリン聞いてよ、またフォルテさんが俺の言う事聞かずに好き勝手やりあがるんだよ。

不満そうにそれを話すとウリンは大変だったねと答えてくれた。


でも聞いてくれよお嬢ちゃん、あたし、それでもまた。
顔を赤くして照れるアレックスが頭を抱え。

あーもう、あたし、ダメ、コレは言えない、いくら負荷をかけられたからっと言って、このあたしはまだ食べられる訳にはいかないのよ。

アホみたいにおどおどするアレックスを見てウリンは笑った。



何だよ、今日の君は特別に面白いね。

アレックスはそんなウリンに聞く、もうコレ現実なんでしょ、試練って嘘だったんじゃいのかな?

そうウリンに聞くと。
試練ってなんのこと?今日はすごく面白ね。
ウリンは笑いながらそう答えるのだった。


この時アレックスはこれがもう現実なんじゃないかと完全に思い始めているのだった。





それから学校について一時間目の授業が終わると。
アレックスがあまりに授業が簡単すぎて眠くしている中、学校ではレジスタンス軍に入り起きた事やゴードン戦での事でアレックスの事が話題となり有名となっていた。
そのためクラスのガキ大将からも恐れられる存在として、むしろ尊敬されるようになっていた。
よお、アレックス、どこか不満なねぇか?
そうクラスの悪ガキ達が集まってきてアレックスを一目見ようと群がるので。
アレックスは
じゃあお前たち今日から俺の配下な。

そう何気なく言い放ち
席に立ちカッコ良さそうなポーズを取るのであった。

決まったぜ!!
年齢早々にアレックスは無邪気に決め顔をした。

ウリンはそれを面白そうに笑うので、アレックスはウリンの手を握り言った。
これが本当に現実ならば俺は迷わず君に決める。
好きよ。
照れくさい顔をしながらはっきりウリンに言うのだった。
ウリンは驚いた顔をしながらも
顔を赤くし、恥ずかしいじゃない、こんなみんなが堂々といる中告白するなんて
そう恥ずかしそうに言うので
あーごめんと謝るのだった。

それからアレックスは何かを考えながら席に戻る。

うーん。俺にとって珊瑚とは何だっけ?
ウリンを思い浮かべ本物の珊瑚が何か思い出そうとする。

珊瑚、珊瑚、俺はお前が恋しい。
そう思いながら珊瑚ちゃんと離れる前に珊瑚が言った事を思い出す。
回想。

珊瑚がアレックスに。
ちゃんと言ってなかったね。
ありがとう。
私をあの場所から連れ出してくれて。

私、うれしかった、暴力振るわれる生活から抜け出せてよかった。
あんたのおかげだよ。
そう言って。
微笑む珊瑚を見てアレックスは。
俺は当たり前の事をしたまでだよ。
と言って照れくさく言うと。
珊瑚はアレックスに。
アレックス、あなたは私の救世主だよ!!
そう言って照れくさく言う珊瑚。
アレックスはそんな珊瑚に
ああそうだ、俺はお前の救世主だぜ。
と言って手をつなぐのであった。
だけど珊瑚はアレックスに。
一つだけ約束していい?
そう言うと。
アレックスはドキドキしながら。
俺、珊瑚ちゃんとけっ、けっ 結婚!!
と妄想しながら思う中。
珊瑚はアレックスにこう告げるのだった。
あんた、ウリンちゃんをいじめないであげてね。
私の救世主さん。
そう微笑み珊瑚はアレックスを見つめるのであった。

回想終わり。

アレックスは は?
アレ?そうだっけ? 
何か大きな違和感があるような?

珊瑚、どうしてだ? なぜすなおに俺との結婚って言ってくれなかったんだよ。
そうつぶやきながらウリンへの暴力の事を思い出すアレックス。
俺がウリンに暴力だと?ありえねぇだろ馬鹿がっ!!


そう言ってると八代先生がアレックスに。
話があるからついてきて。
と言われ職員室に行くのであった。

八代先生が呆れた顔でアレックスに。
あなた、今朝の登校中にウリンちゃんを無理やり追いかけて殴ったでしょ。
ダメよ、そんな暴力振るう子は。
そう言ってアレックスの頬をペチン!!とビンタする八代先生。
は?何で
意味が分からず、コイツ適当言って俺に暴力振いやがったと思い睨むアレックス。

そんな八代先生が。
ウリンちゃんと仲良くしなさい、この事はウリンちゃん本人に直接謝ってあげてね。
そう言い八代先生はアレックスに良い子になれるわよね。
と言って頭を優しく撫でるので。

アレックスは もう意味が分からず、はぁ?と声を上げ困惑するのだった。

それからあの先生怖い、何なん?サイコなんですか。
そう思い怖がるアレックス。



アレックスは職員室から出て次の授業でアイスホッケー場での見学のために向かうのだった。


アレックスはウリンに言った。

あの八代先生マジでやばい奴だわ!
訳が分からない事言って俺をビンタしたと思ったら今度は優しくなでて来やがる、そうやってもうしないでねとやってない事を説教して来やがった

そうあった事をウリンに言い出すと。
クラスの女子たちがアレックス最高!!
あんたまた悪を倒したんだって!!
とうるさく称賛しに来て、可愛いとばかりに集まりアレックスをなでなでし始める。
それがもうなんかやばい勢いで迫るためすかさずもうやめて!!
と叫んだ。

そんな状態から手を差し出すウリンはアレックスを連れ抜け出した。





すると校長先生が来てうるさいぞ!!お前たち、席に付け!
と言って。担任の八代先生が来るのであった。
アレックスはやべぇとつぶやきながらウリンと仲良く席につくのである。
八代先生はそんなアレックスにニヤニヤしながら顔をしながら近寄り。
ちょっと話しでもどう?
と言って誘ってくるのでそれに対してアレックスは怖がった。



それから話しをするのだった。



広い会場で選手たちが戦う中。

歓声が鳴り響き。
見てるか!!お前ら!!俺様のクールなプレイを!!
と叫ぶ一光選手に。
ミスんなよ雑魚
と応援する観客の生徒たちが叫んだ!!

おいおい 口悪いですぞ。
と注意する担当の先生が言う中。

八代先生がアレックスの隣に座るウリンちゃんを見て
おかしいですね、たしか君は、その子をいじめてた訳ですが?。
とニヤニヤしながら答えた。

怖いですよ。
はっきり言い怯えるアレックス

八代先生は。
そう、無理に仲良くはそうできないはずなのよね。
と言いながら。

それでこれって浮気よね?
もう珊瑚ちゃんの方に気持ちは戻れないのかしら?

アレックスはそんな八代先生の事を嫌な顔をしながら無視すると。

八代先生がニヤニヤしながら続けた

聞いてるわよ珊瑚ちゃんへのあなたが優しい行動をしたことを。
と言って微笑む八代先生。
アレックスはさすがに口を開き言った。
黙ってくださいよ
そう言うと

八代先生が。
そう、だけど私には、ウリンちゃんも珊瑚ちゃんと同じように虐待されて苦しんでいるように見えるけど。
そう言って 八代先生が立ち上がり

私ちょっと席を外すね。
と言って去っていくのであった


アレックスはそんな八代先生に。
ウリンは珊瑚ちゃんと同じじゃねえんだぞ!!
とつぶやくき手が震えていた。
ウリンはそんなアレックスに大丈夫?と言って手を握り安心させてくれる。

あーもうこの手の暖かさがとても安心する。
そう思いながら

ふとアレックスは思い出す。

虐待されていた頃の珊瑚が雨の日なのに。
外に追い出されていた時に。
アレックスが通りかかったときに珊瑚を見つけて
珊瑚に。
元気出せよ。

と言って食べ物をあげて元気付けた日や


また珊瑚が家庭内で問題となり。
みんなが家に行き怒りに行った帰りに
珊瑚の自転車を隠そうと仕返しする悪い奴から
アレックスが そんな事しねぇで今からどっか行かねぇ?と言ってみんなで海に行った日の事を思い出し。
この記憶に何だか恐怖を覚え始め、意識がもうろうとして気持ち悪くなっていく。

そんな異変にウリンは心配しながら見つめ。
保健室一緒に行く?
そう切り出してくれた。


保健室に向かおうと一緒に歩いてくれるウリン

手を握り、ありがとうと言ってどうにか正気に戻り歩くアレックス。

するとどこからか


アレックスとウリンの間にドカンと斬撃が飛んできて
椅子やらが斬られて立っていた地面が崩壊し始めた

これはなんだ!!
と驚くアレックスにウリンがアレックスの手を握る

アレックスはとっさにウリンを持ち上げ陥没して落ちる地面から大きくジャンプしてアイスホッケー場に着地した。

いったいなんなんだ!!
と混乱するアレックスの目の前にアイスホッケー選手の悲鳴が叫ぶ。


するとそこには巨大なカマキリのような化け物が現れるのであった。

こいつはなんだ!!と驚くアレックス。
そんなアレックスにウリンが手を掴み。
敵が来ます!!

そう言うと、アレックスに目掛けて小さなカマキリが襲い掛かった。
ドカン!!とアレックスはカマキリの釜を大恐竜拳の炎の拳で受け止める。
アレックスがウリンに。
ウリンは俺が守るから安全な場所に下がって、こいつは俺が倒す。
と言って接近をするが攻撃をかわされる。

ええい 逃げるなバカヤロー!!
具合が悪かったため不機嫌なアレックスは焦っていた。

迫るアレックスの追跡をかわすカマキリのような化け物が今度は特殊な液体を噴射してきたため
まずいと言ってアレックスは炎でバリアーのように体を包み込んで防いだ。
しかしドカンとカマキリのような化け物の蹴りの一撃を受けて飛ばされるのだった。
畜生!! なんて野郎だ!!
そう言って立ち上がるアレックスの手を ウリンが触れて。
アレックスにはわかるはずよ、あなたに力をっ!!
そう言うと。
アレックスの体がドクン!!と音を立て
アレックスは。
見えるのか?
と言ってカマキリの化け物の素早い動きを見切り蹴り上げ。
そして大恐竜拳の一撃をくらわすのであった。

ドカンと撃破すると
ウリンが次が来ます。
そう言うと。
次のカマキリの化け物が襲って来た。

ええい もう一度!!
と叫ぶアレックスはまた体がドクン!!と音を立て
一瞬で相手の動きを見切り、ドカンと大恐竜拳を浴びせ撃破するのだった。

アレックスは。
どうなっている? 俺は?と驚くと。
ウリンが油断しないでアレックス。
と優しく心配するのであった。
するとアレックスはウリンの手を握る。
すると
ウリンはアレックスの体温を確かめるためおでこを触った。

熱があるみたい。
アレックスは熱を出していた。


何が何だか気持ち悪く倒れ出すアレックス

すると矢代先生が出てきてすぐにアレックスを保健室に運んだ


敵は?と聞くアレックスに
もう敵はいないはと言う
一安心してアレックスは眠りにつくのだった。


それから一時間くらいは眠っただろうか。




ようこそ問題児ちゃん。
と言い目が覚めると、そこにいたのは八代先生だった。

アレックスは八代先生?
と驚くと、体が拘束されていた。
場所は保健室ではなくどこかの凍った湖だった。
はぁ?
訳が分からず混乱する中。
アレックスは八代を睨み聞いた。
ウリンはどうした?
ウリンちゃんならすぐに家に帰したわよ、それより私はあなたが気になるの。
ふと回りを見ると近くに

ナイフが落ちていた。
それは八代先生が投げたナイフだと気が付いた。


おい!!てめぇ!!
拘束を解き腕にドラゴンのような形状で鋭い爪を持つ竜の腕の形に炎をまとってアレックスが八代先生を睨み怒鳴りつけた。

貴様、六王の幹部だな!!

そうぶちキレるアレックスに八代が

悪い子。
私を受け入れなさい。そうすれば私が全身全霊をかけて愛してあげる。
そうニヤニヤしながらほほ笑むと
紐のような糸が絡みつきアレックスは瞬時に拘束された。


八代先生がアレックスに。

殺しはしないさ、これでたっぷり愛してあげられるわね。
そう言ってにっこりと笑顔で笑うと。
アレックスが。
あいにくそううまくいかなくてね。
と言いながら全身に炎をまとい糸を焼き切ろうとする。


しかし
なぜだ!!力が吸い取られる。
拘束された糸からエネルギーが吸収される仕組みになっていてね。
素晴らしいでしょ。
そう言いながらアレックスにナイフを突きつける。

あんたの能力って訳かクソ女
睨みつけるアレックスはグレンドモードになろうと全力を出すも
出来なかった。

アレ?俺、今何か違和感が?
しかしその違和感を思い出す事も出来すこの状況に混乱するのだった。



するとアレックスは八代先生に脚をナイフで刺されてしまった。

しかし声をあまり上げず、この痛みでこれが悪夢なら覚めれくれと祈るのだった。

八代先生が。
あらかわいらしい悲鳴。 まるで天使のように鳴くのが聞きたかった。
そう言ってアレックスの顔を優しく触り。
食べちゃいたい。
そう言ってアレックスが流した血液をなめるのだった。

アレックスはこれが現実であると理解し。
殺されるのか? 俺は!!

そう心の中で思い恐怖した。


八代先生に。
ゲームオーバーだよ。
と言われる。

すると矢代の体が黒い何者かの影となりアレックスを包み込む。

アレックスはそれを見て心底震え上がった。

そこになんとグロンドルフが現れた。

アレックスはそれを見て叫んだ

貴様らグルだったのか!!

グロンドルフの砂がアレックスを包み込み砂に埋もれるのだった。

駄目じゃないか、君は、死んでなきゃ。

そういう声が聞こえたと思った。

そんなかすかの意識の中、アレックスは周囲の意識を感じ取っていた。

アレックスの家では夕食を作りながら何も知らずに待っているフォルテさんが夕食のカレーを混ぜている。
そこへ雪が降り窓を見るフォルテさんであった。
アイツまたなんかやってるな!!
とつぶやくフォルテさん。

時刻は既に八時を回っていた。



場面変わり、珊瑚が引き取られ先の家でアレックスの事を思っていた。
今日は冷えるから珊瑚ちゃんと大好きなシチューだぜ。
と珊瑚ちゃんを大事に保護するおじさんとおばさんの姿があった。
珊瑚は。
はい、とてもうれしいです。
と言って満面の笑みを浮かべるが、アレックスへのどこか胸騒ぎをなんとなくだが感じ取っていた。
まさかね、大丈夫よ、きっと。
そう珊瑚は思いシチューを食べるのだった。

その場面をふと感じ、珊瑚ちゃん、ごめん俺、死んだ
そう思って冷たい凍った湖に落とされるのだった。

アレックスは珊瑚が危ないと思い怒りながも思った。
本当にこれが現実なんだろうか?

 

かすかになぜかウリンが、自分を真剣に見守って心配してくれている気が確かに感じていた。

なぜだろう、ウリン。

ふと心の中を感じるとなぜか珊瑚の事を思うべきだと強く感じた。


珊瑚、会いたいよ、珊瑚。

アレックスは意識がもうろうとしだすのである。

頑張って。

ふとそんな声が強く聞こえる。

だけどもう力が入らなかった。

深い闇に落とされているようだった。