流れを読む 心理学史 世界と日本の心理学 サトウタツヤ・高砂美樹著

要約


4 アメリカの心理学

4-1 アメリカ心理学前史

19世紀後半になるまでは、スコットランドの常識学派と呼ばれる哲学が好んで教えられていた。当時の大学では、画一的な教育がなされていたとされている。ハーバードやエール大学でさえも、大学の授業は復唱中心で、その中心となっていた。重要視されていたのは、様々な分野の要素が含まれて教えられる道徳哲学であった。これは、精神哲学とも呼ばれ、日本でも心理学としてまず最初に輸入されたのがこれらの分野であるといわれている。アメリカの哲学者はこの影響を受けていた。ホールはバスコム、ボールドウィンはマコッシュといった哲学者の傾倒していた。そのことから、ドイツの実験心理学は、アメリカに入る際に、新心理学として区別された。

(p.p35-36)

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要約

ヴァルツブルグ学派とエビングハウス

 ドイツ中央部の同名の大学にて、心理学研究室で指導していたキュルペを中心に集まった学派。彼は、ヴントとG.E.ミラーと共に研究し、ブレンターノの支持者でもあった。同学派の特徴は、当時の心理学実験で当たり前であった、被検者=実験者という実験設定を破ったことである。第三者に課題を提出させ、そこで初めて解くということで、問題解決に向かう構えができ、その解決法に対する決定傾向が生じると考えた。

また、19世紀後半から、ベルリン大学にはじめて心理学実験室を作ったエビングハウス無意味つづりの研究も有名である。彼の実験方法は、G.E.ミラーなど多くの研究者に影響を与えた。また、心理学の過去は長いが、歴史は短いと解いたのもエビングハウスである。


(p.p33-34)

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要約

3-1ブレンターノの流れ (1)

ヴントが「生理学的心理学綱要」を出版したとき同じくして、ブレンターノは「経験的立場から見た心理学」を出版した。そして同年ウィーン大学から哲学教授として招聘された。著書の中で、彼は、実験心理学の限界と性的な心の見方に対する反論(これらはヴントと同じ指摘)を述べたうえで、作用心理学を考案した。特徴は、心の内容よりも過程に注目した点で、自分が見る赤い色と見られている赤い色は違うという志向性を意識した考えである。彼の弟子には、聴覚心理学を記したシュトゥンプや記憶や色彩視覚の研究をしたG.E.ミラーがいる。彼の現象学的発想は、シュトゥンプの弟子ケーラーヴェルトハイマーなどのゲシュタルト心理学者、哲学者で現象学者のフッサールに受け継がれた。


(p.p32-33)